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不器用な彼(親就)

不器用な彼は甘えるのも下手らしい

「……」

ごりごり
ごりごりごりごり

…痛い。

「あー…元就?どした?」

「何だ」

いや何だじゃねェって

先程から俺の肩に額をごりごり擦り付けてくる

骨に当たってマジ痛い

「ほら、判った、判ったから」

俺の肩に押しつけている頭を撫でてそのまま胸まで引き寄せる
あぐらの上に元就を乗せ抱き締めてやるとおとなしくなった

「…元親」

「アアン?」

「……チカ」

俺の首に手を回しそう呼ぶのは甘えてる時だ

返事の代わりに綺麗な髪を撫でてやった

甘えたい時は素直に言えばいいのに。

甘え方を知らない上に素直じゃない女王様にそんなことを期待しても無駄だろうから肩が痛くても我慢する

甘えられるのは嫌いじゃねェし、何より可愛い

でもその方法じゃあんたの額も痛むだろ

これからはもっと早く気付いてやろう

「…ナリ、ちょいこっち向け」

素直にこちらを向いた端正な顔の
不器用な愛の犠牲になった白い額に口付けた










―――――
お互い「チカ」とか「ナリ」とか呼ばせたかっただけ←



#何かを求めたすこし前(慶小太)

例えばああそう、彼の持つ風は春のそれにそっくりで

「…どうしたの?」

自分の持つものとは対極にあるそれを心地好く感じていた最中

「また何か考えてた?」

そうかただぼんやりしてた?
無表情な自分には不釣り合いな程眩しい笑顔で心中言い当てられる
何故彼はこうも自分の考えていることが判るのだろう
自分の纏う風の微妙な変化に気付き、察してくれる彼が、純粋に凄いと思った

「アンタって結構ぼけっとすること多いよな」

どうやら後者ととられてしまったらしいが嫌悪など感じない
彼の問いに、耳は傾けるものの反応など何一つ返さぬ自分が悪いのだから
寧ろこうやって自分と人並に接してくれる彼に感謝している自分がいるということを、最近知った

「どうしたよ」

からから豪快に笑いながら髪を撫でてくる彼に向き直り、少し驚く彼の名を、唇に刻んだ

け い じ

声なんか出そうにも、もう何年も出してないから出し方すら忘れたけれど
でも聡い彼は口の小さな動きだけで判るのだから矢張り凄い
一瞬目を見開き、だがすぐに優しく細めて名前を呼ばれた

「何だ?小太郎」

その名は風魔の一族の血塗られた名前なのに、彼が呼ぶとああなんて柔らかい風になるのだろう

(例えばああそう、彼の持つ風は春のそれにそっくりで)
(少し、羨望してしまった)

まだ春は来ないけれど、春が来たら貴方が知らせに来てほしい
京の桜も綺麗なんだろう
だけど小田原の桜も綺麗なんだ
主人には見つからないように

傭兵にあるまじきことを考えつつ、柔らかな髪に顔を埋めた

(来てくれないかな、春は自分に)

彼の笑い声と共に、春の香りがした










―――――
慶小太!うわぁ無茶な!
でもバサラだし何でもありだよねと開き直る自分←
コタロは喋らないのが可愛いと思う(*´ω`*)
しょうがないから捏造←



#錆付いた自尊心をひるがえし、(元就)*

*親←就で元就ストーリーED(つまりアニキ死んでます)*










暁の刻
厳島は我ら毛利の元へと戻った



アニキアニキと喚く雑魚共を斬り付ける

断末魔の悲鳴が耳障りだ

頬に飛び散った赤い液は気味が悪い程温かかった

長曾我部元親を庇うように倒れたそれらを蹴り飛ばし、細めた目で見下ろしたのはもう二度と動くことはない西海の鬼

ただの肉塊
ぬめりを帯びて光る赤
風に靡く銀色の髪
開くことのない隻眼
ただの肉塊

酷く、快感
そして安堵



愚かな鬼

貴様だけでも生き残れる術はあった
駒を捨てればいい。単純。至極簡単
それを貴様はしなかった
馬鹿な情を抱いて死に急いだ

恐ろしい鬼

我にまでその情を振るおうとするな
我の心に土足で入ってくるな
我をそのような目で見るな
我にそのような戯言を申すな

優しすぎた鬼

貴様のような者は知らぬ
暖かさなど人は持たなくてもよいものだ
暖かいのは日輪だけで充分だから

残酷な男

我の 虚無が 貴様に 判るか
怖い。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い、
怖、かった



だがもうおらぬ

鬼はもう、この世におらぬ



ふらふらした足取りで海岸へ向かった

日輪に照らされた瀬戸内は
嗚呼なんて美しい



我が心奪われた鬼は、もうおらぬ



これでもう、何に恐れをなしえようか
これでまた、無感動で無慈悲な心に戻れるのだ

壊れたそれが、音を立てて割れていく



「おお…っ、日輪よ…この幸せ…!」





そしてまた独り。



#必要な嘘の数(フォル←サザ)

俺はアンタみたいに嘘は上手くない。
無愛想ってよく言われるけど、それでも嘘は苦手なんだ。

『…やはりお前には無理だ』
『大丈夫』
『の割に手が震えているようだが』
『…!』
『お前はお前で出来ることがあるだろう』
『…怖くないっ』
『裏方も大切な仕事だ、アイクもお前を信頼している』
『それだけじゃ駄目なんだ』
『サザ』
『俺、怖くないよフォルカさん。だから教えて、人の殺し方。』

騙すことに、いつからか抵抗がなくなっていた。
それでも嘘は苦手なままだ。

「あれから三年経つけど…俺昔よりは上手くなったかな?」

暗殺者に教えてもらったことは、上手い嘘の吐き方。それだけ。

フォルカさん。
俺ちゃんと生き延びてるよ。
フォルカさん。
俺ちゃんと裏の仕事もやってるよ。
フォルカさん。
俺ちゃんと

「エディのは両刃剣だから勝手が違うけど…こうしたら綺麗に人を殺せる」
「へ、ぇ…すげェなサザ」
「…人を殺すくらい簡単だ。」

自分を騙し通せているよ。
(ねェフォルカさん、アンタの隣を歩くにはどれくらいの嘘が必要ですか)





振り返れば嘘の山



#空間をうめる音の意味(銀高)

「なァ」

「んー?」

「何か喋れ」

「何かって言われても」

「なんでもいい」

「んじゃ、高杉大好き」

「ん」

「あいしてる」

「ん」

「キスしていい?」

「やだ」

「けち」

「ククッ…お前の声聴いてると安心する」

「癒し効果があるから」

「キモイ」

「なァ高杉」

「ん」

「銀サン傍にいるから大丈夫だよ。」

君が微笑むならどんな優しい嘘でも吐いてあげよう(君の言葉をただ待つよりはずっといい)



彼も嘘と知っているだろうにどうしてだろうお互い音がなくなることがおそろしいんだ
(傍になんかいられないことを知っているからかな)



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