科学者道化師コラボのお話です。
バトンでムッソリーニさんがカルセを焦らせてみたい、という回答したのを思い出して…←おい
*attention*
科学者道化師コラボのお話です
ほのぼのなお話です
いつもとちょっとたち位置逆ちっくに…←
寝てるカルセの顔をじっと見たり照れたりなムッソリーニさんを書きたかった(笑)
カルセはこういうリアクションをする人だろうな、と…←
個人的に膝に恋人を座らせるのが好きなのです(^q^)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
ディアロ城の長い廊下をぱたぱたと駆ける金髪の少年……ムッソリーニ。
彼の手に乗っているトレーには紅茶の入ったティーカップが入っている。
彼が用意してきたものだった。
それは仕事中の恋人に届けるためのもの。
今日も彼は仕事中。
医師として、そして研究者として働く彼はかなり多忙だ。
そこまで無茶をするところは見ないのだけれど、
わからないところで無理をしているような気がしてならない。
少しでも彼の力になりたくて、こうして紅茶を淹れてきたのである。
いつもならばそろそろ終わりにして休憩する頃だ。
普段は自分で紅茶をいれている彼なのだけれど……
「俺が淹れたので、飲んでくれるかなぁ……」
ムッソリーニは自分が淹れた紅茶の入ったカップを見つめる。
彼に教えてもらったことを思い出しつつどうにか淹れた。
喜んでくれたら良いなぁ、と思いつつ彼は自分の恋人……カルセの部屋に向かった。
医療棟の一角にある彼の部屋。
そこにつくと、彼は片手でトレーを支えながら軽くドアをノックした。
「カルセさんー、入っても良い?」
室内にいるであろう彼に声をかける。
しかし、中からの返事はない。
あれ?と首をかしげながら、ムッソリーニはドアを開けた。
「あれ……?」
仕事用の机の方へ視線を向けたムッソリーニは驚いたような、不思議そうな声をあげる。
そこに彼の姿はなかった。
てっきり、まだ仕事をしているものだと思ったのに……
もしかして何処か出掛けた?
そう思って視線を動かしたムッソリーニは驚いたように固まった。
その視線が向いたのは、ベッド。
そこに横たわっているのは他でもない、この部屋の主だった。
「ね、寝てる……んだ」
ムッソリーニはその姿をみて、驚いたように呟いた。
幾度も青い瞳が瞬く。
そう。
彼……カルセは、ベッドの上に寝ていた。
長い淡水色の髪が白いシーツの上に流れて、波打っている。
それにしても……
彼がこうして完全に寝入っているのを見ることは、決して多くない。
いつでも余裕の表情を浮かべてムッソリーニの寝顔を見ているのが、彼なくらいだ。
「寝てるの、カルセさん?」
ムッソリーニは紅茶ののったトレーを再度テーブルにおきつつ、声をかけた。
そしてベッドの上から彼の上から彼の顔を覗き込む。
その声にも、カルセは答えない。
静かな寝息が聞こえる。
すぅすぅと深い寝息。
ムッソリーニは彼のそれを聞いて、目を細める。
「すげえ……こんな近くで見たの、初めてかも……」
ムッソリーニはそういいながら、そっとカルセの顔を見つめた。
透き通るように白い肌。
部屋から出てする仕事は早々多くないからだろう。
日焼けなどそうそうしないのだろう。
長い睫毛が瞼に影を落としている。
いつもは見える少しつり目気味の藍色の瞳も、今は見えない。
左目の目尻にある泣きぼくろは、何処か色っぽい。
長い癖毛はふわふわと白いシーツの上に波を描く。
梳かすのが大変なのだと彼は苦笑しながらそう話していたっけ。
ムッソリーニはそう思いながら、シーツに流れている長い髪をそっと撫でる。
柔らかい、彼の淡水色の髪。
それを自分から触れることはあまりなかったなぁ、と思う。
甘い紅茶の香りが満ちる部屋。
そこで眠る、自分の恋人……
ムッソリーニはそんな彼のからだの上に乗り出しながら……
ふと、思った。
「これ……この、体勢……」
なんだか、自分が彼を押し倒してるみたいだ。
そう思ったムッソリーニはぱっと顔を赤くした。
いつもは組み敷かれる立場の彼。
それが今は逆だ。
眠っているとはいえ、カルセの上にいる自分。
それはなんだか変な感じがするのと同時……
少しだけ照れ臭くて、嬉しい。
ムッソリーニはそっとカルセの頬に触れた。
しなやかな肌。
それを撫でる……
と、その時。
「おやおや、随分積極的ですねぇ」
不意に聞こえたその声に、ムッソリーニは固まった。
それは他でもない、自分の下にいるカルセの声で。
「な、え、あ……」
「ふふふ、焦らなくても良いのに」
そう笑った後、彼はゆっくり目を開けた。
鮮やかな藍色の瞳はまっすぐに、ムッソリーニを見つめていた。
ムッソリーニは視線を彷徨わせて、彼に返す言葉を探す。
そしてあわあわと焦りながら、いった。
「か、カルセ、さん、いつの間に……」
「貴方がベッドに手をついた辺りから、ですかねぇ……?」
流石にあの感覚では目が覚めますよ、とカルセは言う。
ムッソリーニは慌てて彼の上から退こうとしたが、
それより先に彼に腰の辺りを抱き寄せられる。
「わ……っ」
バランスが崩れて、ムッソリーニはカルセの体の上に落ちた。
重くないかと心配になって慌てて体を起こそうとしたムッソリーニだったが、
カルセは彼の体をしっかりと抱き寄せて、離そうとしない。
「ふふふ、変な感じがしますねぇ……貴方に乗られているというのも」
カルセはそういいながら藍色の瞳を細める。
そんな彼の手は優しくムッソリーニの腰を撫でる。
その感覚にムッソリーニはびくっと体を強張らせた。
「ちょ、か、カルセさ……っ」
擽ったいですよ、とムッソリーニは慌てたように言う。
カルセはそんな彼をみてくすくすと笑いながら、そっと彼の耳元に囁く。
「貴方に寝込みを襲われるとは、ねぇ……?」
「!そ、そんなつもりじゃ……っ」
顔を真っ赤にするムッソリーニ。
別に寝込みを襲うつもりはなかった。
珍しく眠っているカルセ。
それをじっくり見たくて、こうしてベッドに近寄った。
そのまま彼の顔を覗き込んだ結果……こういう体勢になっただけだ。
それは、カルセにもわかっているのだろう。
くすくすと笑いながら、彼はいった。
「本当に貴方は可愛いですねぇ……
私を観察するのがそんなに楽しかったですか?」
確かに貴方の前で眠ることは珍しかったですしねぇ、とカルセは言う。
そんな彼は悪戯に笑いながら、優しく彼の背を、腰を、頭を撫でる。
「カルセさん、本当にずっと起きて……」
「えぇ。でも、貴方が部屋に入ってきたのは気がつかなかったですよ」
ちょっと疲れて眠っていたんです、とカルセは言う。
ムッソリーニはそれを聞いて幾度かまばたきをすると少し眉を下げた。
そしてじっとムッソリーニを見つめながら、いった。
「あんまり無理はしないで、ね?」
心配だから、とムッソリーニは言う。
カルセはその言葉を聞いて、一度目を見開いた。
そしてふっと笑いつつ、言う。
「貴方に心配されるようでは末期ですねぇ……でも、大丈夫ですよ?」
無理はしませんから。
カルセはそういって、微笑む。
ムッソリーニもそれを聞いてふわっと微笑んだ。
良かった、と呟く彼。
カルセはそれを愛しげに見つめて、優しく撫でる。
「ありがとうございます、ムッソリーニ。
紅茶も、貴方が淹れてきてくれたんでしょう?」
冷める前にいただきますね、といいながら、カルセは体を起こす。
しかしムッソリーニの体を離すことはせず、膝に座らせたままだ。
「か、カルセ、さん?」
「ふふ、このままで一緒にいましょう?」
そういうのもたまには良いでしょう?
そういいながらカルセはティーカップを手に取る。
そして彼が淹れてくれた紅茶を口に含んで、微笑んだ。
「美味しいです」
「ほんと?俺、あんまり淹れたことないから自信なくて……」
「貴方が淹れてくれたというだけでも十分ですからね。
それに、上手ですよ……ありがとう、ムッソリーニ」
そういいつつ、カルセは彼に口づける。
柔らかな紅茶の香り。
それを口のなかに感じつつ、ムッソリーニは目を閉じる。
無意識にかぎゅっとカルセの服を握るムッソリーニの手。
カルセはそれを感じつつ小さく微笑んで、優しく彼の頭を撫でたのだった。
―― 一番近くで ――
(その優しい笑顔も、無防備な寝顔も
誰よりも一番近くで、こうして見つめることができる)
(貴方の優しい声も、優しい笑顔も、すべて私のもの
あぁ、愛おしい……また、その思いは強くなって)