数日が経過したが…相変わらず文通相手は教えて貰ってはいない
可愛らしい便せんを読みながらファーはクスクスと楽しそうに笑みをこぼしている
クライムにとってはひじょ〜〜〜に面白くない状態が未だに続いているのだ
何度ともなく問いただすのだがこの主は予想以上に口が堅いらしい
心底楽しそうな笑みをこぼしつつ…内緒と指を唇に当てるだけだった
ここ数日すっかり拗ねているクライム
テーブルの下に座り恨めしそうにファーを睨みつける
『…ファーって……意地悪だったんだね…』
「失礼な〜そんな事ないですよι」
苦笑しながらファーは否定する
ブスッとふてふくされながら…クライムはキッと睨みつける
『んじゃ何で教えてくれないの!!』
「……約束したから」
先程までの楽しそうな笑みは一瞬で消え、真剣な眼差しに変わる
『………』
クライムは言葉が上手く出てこず、じっとファーを見る
ファーはすぐに楽しそうな笑みを浮かべ
「ずっとじゃないし…時が来ればわかるから♪」
ポフポフと頭を撫でられながら
ーはぁ〜待つか…ー
時がこない限り話してくれない事は長い付き合いでよく解ったのだ
それから数日たったある日のこと
クライムが気になる可愛らしい便せんを読んでいたファーが突然椅子を跳ね飛ばし(ぁ)
「……やった〜〜♪♪」
大喜びでその場を飛び跳ねる
何が何やらわからないクライムは怪訝そうに視線をファーに向ける
『……ファー……床が抜けるってばι』
「クライム〜〜新しい同居人着ますよ♪♪」
嬉しくって嬉しくってどうしようもない感じでファーはクライムに抱き付く
『同居人ってその文通相手?』
「うん♪……言って見るもんですね〜///
良かった良かった♪♪」
『やっと文通相手見れるのか…どんな子??』
「椿ちゃん……かぁいい女の子ですよ///」
『……ファーが好きそうな相手だね…でも隠す必要あったの??』
「……んふっ……クライムもよく知ってる子だし…ま、当日まで内緒♪」
『はぁ……わかるならいいや……んで何時来るって??』
「えっとね……今夜♪」
『へぇ〜こん……は??』
「ん〜と…今こっちに向かってるんじゃないかな??」
『って……早!!』
「家具とか居るものは…明日一緒に買いに行くか…布団は…今夜はお客さん用で良いか…」
驚くクライムをスルーしながらファーは準備を始める
『…一体どんな子なんだ…』
呆然と呟いていた
誰かが扉を叩く音
酷く弱々しい…子供が悪戯でもしてるのかなとクライムが思っていると
「お……来たかな…」
トタトタと玄関まで歩いて行き、扉を開ける
クライムも興味津々で玄関まで迎えに行く
「ふぁーおねぇちゃん♪」
見た感じ7、8歳くらいの幼い少女
瞳は赤紫色。まん丸とした瞳なのだがややきつめの印象
もみあげだけ長いショートヘアー
猫耳帽子がトレードマークなのか目に付きやすい
身長はファーとほとんど変わらない…と言うか同じ位か…
少女はニパッ笑いながら
「べにきたでしゅよ〜♪」
「椿ちゃ〜ん☆」
ファーはムギュっと抱きしめ…二人は玄関ではしゃぎ始める
「よく来たね〜椿ちゃん♪」
「うん♪……べにね〜ここまで一人できたの」
「そうなんだ〜…偉いですね」
ファーは優しく微笑み掛けながら小さな少女(と言っても身長は同じなんだけど…)の頭を撫でていた
「……あ〜〜〜くらいむだ〜!!」
少女はダッシュで僕に駆け寄り、背中に飛び付く
久々な感触を受け止めふと我に返る
『あれ…何でこの子…僕の名前知ってるの?』
不思議そうに問いかけるクライムの耳を少女は引っ張って遊び始めた
『あいた……耳引っ張っちゃダメ〜〜!!』
「うきゃ〜〜しっぽももふもふでしゅ〜♪♪」
キャッキャ笑いながら少女はクライムのしっぽで今度は遊び始める
『って、尻尾の毛を引っ張るな〜!!』
賑やかにじゃれあう二人を眺めていたファーは懐かしそうに笑みを浮かべる
そう言えば…昔はよくクライム悪戯されていたな…
散々じゃれ付いて、興味が他に移ったのか少女はピョンとクライムから飛び降り
お部屋探索へと移った
「およ、小さい子は切り替え早いですね〜……っておよ…クライム大丈夫??」
グッタリとその場で脱力しているクライム
『忘れたかったデジャブ…子供って…ここまで元気よかったんだよね…』
疲れたように盛大にため息をつき、やれやれと体を起す
「エネルギーの塊ですからねぇ〜…って、コラ〜(笑)
そこ危ないからダメだよ〜」
台所をひょっこりと覗き込んでいる少女をファーは慌てて捕まえに行く
『賑やかになるな〜…』
シミジミ呟きながら、クライムは質問した事をすっかりと忘れていた(ぁ