話題:妄想を語ろう
腐的な話題です。
イライラを妄想にぶつけたという代物につき、色々な意味でご注意ください。
昔々ある所に、仲睦まじい夫婦がいました。
穏やかな、しかし曲がったことは許さない夫と、そんな夫を陰ながら支え、やわらかな愛情で包む妻。
程なくして夫婦には待望の男子が生まれました。
もとは爵位を戴いた由緒正しい一族の、次代当主の誕生でした。
栄光に翳りの見えはじめた家でしたが、それでも跡取りは慶ばれました。
その時代の理想の夫婦像を体現する両親のもと、息子はすくすくと育ちました。
しかし、その幸福も四季が十回と少し巡る頃に終わりを迎えます。
夫の妹が儚くなったのです。
夫は嘆き悲しみました。
その嘆きぶりといったら、まるでこの世の終わりのよう。
昼となく夜となく、夫は自室に籠って慟哭したのです。
その姿は、つがいを亡くした野の獣によく似ていました。
夫の妹というのは、魔性でした。
“生まれながらの淫婦”と呼ばれたその妹という人は、十にもならない内から気だるげな美貌にたっぷりと色香を滲ませて男を惑わす、そういう女でした。
斜陽の一族はことさら外聞を気にしました。ただでさえ傾いた家です。ひとつ小さな穴が空いただけでも崩れてしまいそうだというのに、そんな娘がいては堪ったものではありません。
娘に入れあげていた出入りの呉服屋が首をくくった(娘が気まぐれに「そんなに私を好いているのなら命を懸けてみろ」と言ったためだと遺書にはありました)のを機に出家させてみるも失敗し(檀家に手を出したのです)、頭を抱えていた所を、成り上がりの起業家が「是非とも」と多額の結納金を提示したので、その縁談を受けたのです。
無論そこには情緒的なものはなく、貴族の名で箔を付けたい男と厄介払いしたい娘の家の要望が合致したためでした。
妻は首を傾げました。
本家当主たる夫は、妹を「厄介者」と言って、快く思っていないはずでした。
しかし、そのわけを訊く機会は永遠に失われてしまいます。
夫が死んだのです。妹の報せを聞いてから、ひとつきも経たないうちに。
妹と同じく、階段から足を踏み外して。
しかし、両者の違う点は、夫は遺書をのこしたという所でした。
曰く、夫は淫放な妹のおぞましさに魅せられていた、と。
妹が贅沢な毒婦でいられるように、成金(ぞっとするような成功をおさめた、商才だけはある男です)とめあわせた、と。
妹から送られてくる、諸々の男達との行為を綴った爛れた手紙は一通として処分せず、先祖から受け継いだ舶来品の上等な鍵つき小箱に納めていた、と。
すべてを知らされた未亡人の手から、死んだ夫の手記(生真面目な人となりが窺える、丁寧な字です)が落ちました。
空っ風に吹かれる枯葉のように、ひらりはらりと、息子の前に。
貞淑な妻であり、慈愛に満ちた母であった未亡人の心は、風に吹かれるまま行方知れずになりました。
こうして、彼はひとりぼっちになったのです。
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み・た・い・な★ミ
ちなみにこの息子(ガチアッーだよ)は、このあと対人恐怖症になり、社会からドロップアウトします。
数々のゴタゴタが片付いたのち、新たな当主(イカレポンチ兄妹の間に挟まれた可哀想な次男坊=息子の叔父にあたる人物)の尽力で療養します。
しかし、それでも接触嫌悪等は残ったまま。齢三十、魔法使いの誕生です。
そもそもこの人は他のお話の脇役だったんですけども、気付けばこんな濃い主人公格になってしまいました。
最初は「ふらふら遊んでるガチホモ」って設定だけだったのです。
しかし、話を盛り上げるために「好みの同僚にやたらベタベタする」「飄々として捉え所のない性格」「慇懃無礼な笑顔」と盛りに盛った結果、こうなっちゃったっていう。
生い立ちの部分は前々から決めていたのですが(当初は、そんな状況で悟ったり諦めたりしてドライに生きている設定だった)もっと掘り下げちゃえ!と私のアッーしき心が進言してきたのでね! 止まらなかったよ!
「好みの同僚にやたらベタベタする」→接触嫌悪を克服するための荒療治
「飄々として捉え所のない性格」→素に戻ったら正気を失ってしまいそうで怖いから、自分を誤魔化すためにわざとそうしてる
「慇懃無礼な笑顔」→他人と一定の距離をたもつための便利道具
なんていうか……………すごいメンヘラ(^O^)ノ
でも、そのぶんお仕事(体を張った特殊な業務内容)はできるから目を瞑ってもらってる状態。
ぶっちゃけ、雇い主は件の叔母の子供だから★ 負い目があるからある程度の我が儘は聞いてくれるぞ★
語り出したら止まらなくなるので(もうそうなりつつありますが)一旦これで切ります。
まだまだあるんだぜ!
語っても引かれるだけだからどうしようなんだぜ!