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 それは任務から、機関して、任務結果をサイクスに報告しようと彼の部屋に向かおうとしたときのことだった。

 「ん、誰かの話し声」

 いったい、誰かと思い、覗いてみると、そこには何やら、話し込んでいるらしいアクセルと探し人であるサイクスがいた。

 「だから、俺はロクサスとは別に仲間で友達でしか思ってねえって言ってるだろう」

 「友達や、仲間とお前は簡単にキスするのか」

 キスという言葉に俺は何日か前に、アクセルにされた口付けを思い出した。

 (あのことかな)

 だけど、なぜ、サイクスが怒るのだろうか??

 「お前はあいつのことが好きなのか」

 「‥‥」

 黙り込むアクセル。

 そんなアクセルに、痺れを切らしたらしいサイクスは突然、彼の顔を上に向かせ、口付けしたのであった。

 (え、な、なんで)

 突然のことに驚いた俺は思わず、声を上げそうになり、慌てて、両手で口を抑えて、壁に身体を潜めたのであった。

 (いったい、なんで)

 気になった俺が再び、覗いてみると、まだ、口付けしていた。
   
 それは俺がこのあいだされた口付けとは違い、濃厚な口付けだった。

 (二人って、あんなことする仲だったのか‥)

 二人の関係は一体、どういう関係なのか、俺にはよく、分からなかった。

 「リア、俺のことを裏切る気か」

 「裏切るわけねえだろう」

 裏切るとは何に対してだろうか。

 (よく、わからないけど、立ち去ったほうがいいよな)

 バレないうちに立ち去ったほうが身のためだと思い、早々にその場を立ち去ったのであった。

 「二人の関係だって」

 「うん」

 気になった俺はデミックスに、訪ねることにした。

 「仲間じゃねえのか」

 「‥のかな」

 「なんだって??」

 イマイチ、俺の言った言葉が、聞こえなかったらしく、デミックスは俺の顔近くに耳を近づけてきた。

「仲間となら、キスや、それ以上のこともするのか」

 「それ以上って」

 「せ、セックスとかすることかな」

 思わず、俺の言葉を聞いて、驚いたらしいデミックスは彼の愛用のシタールを床に落としてしまった。

 「今、なんて言ったんだ」

 「セックスって、同性でも、可能なのかな」

 「あのな、ロクサス、いきなり、何言い出すんだよ」

 俺は先ほどのことをデミックスに話した。

 「なるほどな、つまり、アクセルの奴と、サイクスの野郎が、揉め合いしてるところにたまたま、出くわしてしまい、二人はキスしてたわけだな」

 そう言いながら、先ほど落としてしまったシタールが、壊れてないか、デミックスは確かめていた。

 「大丈夫か」

 「大丈夫じゃねえって」

 思っていたよりも、強く落としてしまったらしい。

 「ごめん」

 しゅんとうなだれた俺の頭にデミックスの手がぽんと置かれた。

 「気にするなとは言わねーけど、今度からはきをつけろよ」

 「デミックス」

 普段は任務をサボったり、文句垂れたりと、どうしようもない奴だけど、根は悪い奴ではないみたいだ。

 「ありがとう」

 「‥‥‥」

 「?‥デミックス」

 「なあ、ロクサス」

 「ん」

 「アクセルと、サイクスの関係、教えてやるよ」

 「え」

 いきなり、腕を引かれたかと思うと、口付けられていた。

 (な、なんで)

 突然の口付けに驚いた俺は思わず、デミックスを突き放した。

 「な、なんで、急に」

 「好きだから」

 「え」

 「好きだからに決まってるだろう」

 その言葉で、ようやく、俺は理解した。

 (サイクスも、アクセルのことが好きだから、キスや、それ以上のことをしようと思ったのか)
 
 「好きな奴にキスしたい、抱きしめたい、セックスしたいって、思うのは当たり前のことだろう」

 「そうなのか」

 て、ことはデミックスや、アクセルも、俺のことを好きなのか??

 「デミックス」

 「何、続きでもする」

 「いや、デミックスも、俺のこと、好きなのか」

 その瞬間、デミックスの顔は真っ赤になった。

 「んなわけないでしょうが!!たまたまだよ、たまたま」

 焦る様子からして、どうやら、図星らしい。

 「一体、いつ「それより、ロクサス、明日も早くから、任務だろうから、早く、部屋で、寝ろよ」

 俺が述べるよりも、早く、デミックスは俺を部屋から、追い出した。   

 「なんだよ、デミックスの奴」
   
 部屋に入ろうにも、ロックされてしまったらしく、あきらめるしかないため、仕方なく、俺は部屋に戻った。

 (好きなわけねえよな、俺があんなガキを)

 (デミックスは俺のこと、好きなのかな)   

 その日、俺は考え込んでしまい、1日、寝れなかった。

 それはデミックスも同じらしく、翌日は二人揃って、任務中、欠伸ばかりして、サイクスに怒られてしまった。

 「きちんと、前日に身体を休めておけ」

 「はいはい」

 デミックスのいい加減な返事に眉をサイクスは顔をしかめた。

 「お前もだ」

 ジロリと睨まれて、思わず、俺はこくりと、頷いた。

 「あれ、アクセルは??」

 デミックスの言葉にそういえば今日はアクセルの顔を一度も見てないことに気づいた。

 「奴は別の任務に出ていて、当分は帰らないだろうな」

 そうなのかと思いながらも、イマイチ、信用が出来ないのは俺だけではなく、デミックスも同じだろう。

 「そんなことより、明日の任務はお前たち、二人で行ってもらうから、体力を温存のため、部屋で、ゆっくり、休んだほうがいいのではないか」

 そう言い残して、サイクスはロビーを去っていった。

 あとに残されたのは俺と、デミックス、二人だけだった。

 「さてと、部屋に戻るか」

 部屋に向かおうと、デミックスを俺は慌てて、引き止めた。

 「なんだよ」

 「昨日のことだけど、デミックスはやっぱり、俺のこと、恋愛好き的な意味で好きなのか」

 「‥‥」
 
 沈黙のデミックスに不安を抱きつつも、彼の本当の気持ちを聞きたかったので、後悔はしてない。

 しばらくして、ようやく、デミックスは喋り出した。
 
 「そうだよ」

 「え」

 「なんてな」

 「え、どういう「昨日も言ったけど、嘘に決まってるでしょうよ、かわいいな、ロクサスは」

 腹を抱えて、笑っているデミックスを見て、気づいたら、頬を打っていた。

 「なにすんだよ」

 「最低だ」

 「‥ロクサス」

 こっちは真剣に考えたというのに‥‥

 気づいたら、俺の目からは波がとめどなく、溢れていた。

 「おい、ロクサス」

 「デミックスなんか、大嫌いだ」

 デミックスの手を振り払い、俺はロビーを走り去ったのであった。
  
 「お子ちゃまだな、ロクサスは」

 嘘に決まってるだろうがというデミックスの呟きは走り去っていったロクサスに届くはずがなかった。

           エンド

  

 

ほろ苦い飴玉

 任務帰りにいきなり、リアの奴が俺の自室にやってきたかと思うと、突然、袋を渡された。

 中を開いてみると、たくさんの子供が喜びそうな菓子がたくさん、入っていた。

 「なんだ、これは」

 「何って、お菓子だろう」

 「そんなことは分かっている。俺が言いたいのはなぜ、いきなり、、菓子の袋なんか、よこしてきたのかということだ」

 「なんでって、友達だからだろう」

 リアの話しによると、任務帰りにロクサスと、駄菓子屋にたち寄り、そこで、袋詰め放題100マニーということだったらしく、ロクサスとシオンと一緒に買ったらしい。

 「100マニーは安いからな。買わなきゃ、損だろう」

 そう言ってリアは袋の中から、チョコを取り出し、口に入れた。

 「うまいな」

 「お前の分はないのか??」

 先ほど、リアが口にしたものは俺がもらった物だった。

 「ねえよ」

 「なぜ??」

 「なんでって、そりゃ、アイザと一緒に食べるからだろう」

 たしかに一人分にしては少し、大きい袋で、量が多いとは思っていたが、まさか、二人分だったとは考えつかなかった。

 「なるほどな、だが、なんで、一緒に食べるんだ??」

 リアなら、ロクサスや、シオンなど、一緒に食べてくれる奴らはたくさんいるだろう。

 「アイザは一番の親友だからな、うまいもんはやっぱり、親友と食べるのが、一番だろう」

 「お前も食えよ」と言って、リアが渡してきたのはピンク色の飴玉だった。

 色からしておそらく、桃味だろうと、口に含んでみると、それは俺の予想と外れて、見た目からは全く想像のつかない味だった。

 「桃味ではないのか」

 「その飴玉、見た目と味が、全く、違うみたいだぜ」

 「お前も食べたのか??」

 「ああ、ロクサスにもらってな」

 「ロクサスだと」

 どうやら、俺の部屋に来る前にロクサスから、飴玉を貰ったらしい。
 
 「見た目は緑色だから、てっきり、メロン味かと思ったら、まさか、さくらんぼ味だもんな」

 「まんまと騙されたぜ」と両腕を後ろで組みながら、笑うリア。

 「ほんとに仲が良いんだな」
 
 「ん、なんか、言ったか??」

 ロクサスは奴に似ている気がする。   
 まだ、俺達に心があり、人間だった頃にリアが、興味を引かれた少年に。

 だからだろうか。リアがロクサスに惹かれるのは‥‥

 「妬けるな」

 あのときまで、リアには俺だけだった。

 「目的達成のために、二人で、頑張ろうな」

 目的のために二人で、頑張ってきた。

 それはこれからも、変わらないだろう。

 いや、変わらないでほしいというのが俺の願いだろう。

 だが、もし、二人の間で何かあり、対立することになったら、俺はきっと、リアに刃を向けるだろう。

 (きっと、リアも)

 「仕方ないことか」

 「あ、何が、仕方ないって」

 「なんでもない。それよりも、そんなにバクバク、食うな。俺の分も取っておけ」

 いつの間にか、袋の中身はほとんど、無くなっていた。

 どうやら、リアがほとんど、食べてしまったらしい。

 「だって、ずっと、机に置いとくってことは「いらないから、食べてくれ」ってことだろう」

 「勝手に解釈するな。それに机の上に置いておくのは後で、食べようと思ったからだ」

 「後でなんかじゃ、全部、俺に食われちまうぜ」

 貰ったり、買ったりしたものはすぐに食べるリアに対して、俺はどちらかというと、すぐには食べずに後で食べようと取っておくほうであった。

 そのたびにリアに食べられたものだ。

 「すぐに食べないってことは「いらないから、食べてください」ってことだろう」

 昔から、変わらないリア。

 だけど、俺は変わってしまったようだ。

 俺は欲望的な意味も含めて、リアのことを見ている。

 いつからだろうか。

 自分ではわからないうちから、リアを親友以上の存在として見るようになっていた。

 誰にも、笑いかけてほしくない。

 欲望に任せて、リアを抱きたい。

 どこかに、閉じ込めてしまいたい。

 そう思ったのはもう、何度目になるだろうか。

 (いっそのこと、そうしてしまおうか)

 だが、出来なかった。

 俺の心を留めさせたのはリアの俺に対する信頼だった。

 もし、俺が思っていることを行動に移してしまったら、リアは俺を親友とは思わなくなり、憎むだろう。

 そんなことにはなりたくないから、これからも、自分の思いは隠し通し、親友として付き合っていくつもりだ。

 「失いたくないからな」

 「誰をだよ。もしかして、お前、好きな奴、出来たのか」

 「とうとう、アイザも、童貞卒業かぁ、いやぁ、お兄さんは嬉しい限りだ」などと言っているリアの頭を叩きつけ、俺は袋の中から、さっきとは違う飴玉を取り、口に含んだのであった。

 それはオレンジ色の見た目とは全く、違うほろ苦い味だった。
 
 
           エンド

 
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