翌朝。

「かつやぁ、朝だよー起きてー」
目覚まし時計が鳴るより早く、呼び声と共に揺り起こされた。
まだ閉じていたがる目を、ぼんやりと開ける。
――目の前に、須藤。
「……ッ!!」
オレは、冷水を浴びせかけられたように、一瞬にして覚醒した。
反射的に跳ね起きる。
オレはいつの間にか、眠っていたらしい。
制服の須藤が、ベッドの隣に居た。
「おはよう、かつや」
にっこりと微笑む須藤が、何よりも恐ろしかった。

登校。
須藤と一緒。
朝の空気など肺に入らない。
授業中。
須藤は黒板ではなく、オレを見つめている。
常に感じる視線の方に目をやると、いつも須藤と目が合った。
休み時間。
須藤は、チャイムと同時にオレの席へ駆け寄ってくる。
オレの悪寒はずっと止まない。

昼休み。
やはり授業終了と同時に駆け寄ってきた須藤が、手に包みを持っている。
「はい、お弁当」
「…あ……ああ」
差し出された包みを、拒絶出来たならどんなにか良いだろう。
須藤の微笑がそれを許さない。
「今日のおかずは和風ミニハンバーグと、にんじんのグラッセと、ブロッコリーだよ。頑張って作ったから、残さず食べてね」
「…いただき、ます」
味の分からない弁当を、箸で中身を改めながらもお茶で流し込むようにして、飲み込む。
向かいに座っている須藤を見ないように、食べている間はずっと弁当箱を見つめていた。
昼休みは50分。
ただでさえ遅い時計の針が、ほとんど止まって見えた。

放課後。
早々に教室を出たオレの隣に、やはり須藤はひたりとくっついてくる。
昨日と同じ。
須藤と二人きり、生暖かい風に吹かれ、震えながら帰宅する。
「それじゃあ、また明日」
手を振る須藤。
オレは目を伏せる。
その顔を見てしまったら、深夜になっても目蓋から消えなくなるから。

一人きりでいられる夜は余りにも短く、僅かな安息さえ隣家の気配に脅かされた。
朝が来なければ良いのに、とどれだけ願っても、それが叶う筈もない。
眠ることさえも恐ろしかった。
射し込む朝日にも絶望した。
一日が、始まってしまう。
そうしたら、また須藤が――



翌朝。

「かつやぁ、朝だよー起きてー」
目覚まし時計が鳴るより早く、呼び声と共に揺り起こされた。
まだ閉じていたがる目を、ぼんやりと開ける。
――目の前に、須藤。
「……ッ!!」
オレは、冷水を浴びせかけられたように、一瞬にして覚醒した。
反射的に跳ね起きる。
オレはいつの間にか、眠っていたらしい。
制服の須藤が、ベッドの隣に居た。
「おはよう、かつや」
にっこりと微笑む須藤が、何よりも恐ろしかった。

登校。
須藤と一緒。
朝の空気など肺に入らない。
授業中。
須藤は黒板ではなく、オレを見つめている。
常に感じる視線の方に目をやると、いつも須藤と目が合った。
休み時間。
須藤は、チャイムと同時にオレの席へ駆け寄ってくる。
オレの悪寒はずっと止まない。

昼休み。
やはり授業終了と同時に駆け寄ってきた須藤が、手に包みを持っている。
「はい、お弁当」
「…あ……ああ」
差し出された包みを、拒絶出来たならどんなにか良いだろう。
須藤の微笑がそれを許さない。
「今日は肉じゃがと、卵焼きと、あと炊き込みご飯だよ。頑張って作ったから、残さず食べてね」
「…いただき、ます」
味の分からない弁当を、箸で中身を改めながらもお茶で流し込むようにして、飲み込む。
向かいに座っている須藤を見ないように、食べている間はずっと弁当箱を見つめていた。
昼休みは50分。
ただでさえ遅い時計の針が、ほとんど止まって見えた。

放課後。
早々に教室を出たオレの隣に、やはり須藤はひたりとくっついてくる。
昨日と同じ。
須藤と二人きり、生暖かい風に吹かれ、震えながら帰宅する。
「それじゃあ、また明日」
手を振る須藤。
オレは目を伏せる。
その顔を見てしまったら、深夜になっても目蓋から消えなくなるから。

一人きりでいられる夜は余りにも短く、僅かな安息さえ隣家の気配に脅かされた。
朝が来なければ良いのに、とどれだけ願っても、それが叶う筈もない。
眠ることさえも恐ろしかった。
射し込む朝日にも絶望した。
一日が、始まってしまう。
そうしたら、また須藤が――




翌朝。

「かつやぁ、朝だよー起きてー」
目覚まし時計が鳴るより早く、呼び声と共に揺り起こされた。
まだ閉じていたがる目を、ぼんやりと開ける。
――目の前に、須藤。
「……ッ!!」
オレは、冷水を浴びせかけられたように、一瞬にして覚醒した。
反射的に跳ね起きる。
オレはいつの間にか、眠っていたらしい。
制服の須藤が、ベッドの隣に居た。
「おはよう、かつや」
にっこりと微笑む須藤が、何よりも恐ろしかった。

登校。
須藤と一緒。
朝の空気など肺に入らない。
授業中。
須藤は黒板ではなく、オレを見つめている。
常に感じる視線の方に目をやると、いつも須藤と目が合った。
休み時間。
須藤は、チャイムと同時にオレの席へ駆け寄ってくる。
オレの悪寒はずっと止まない。

昼休み。
やはり授業終了と同時に駆け寄ってきた須藤が、手に包みを持っている。
「はい、お弁当」
「…あ……ああ」
差し出された包みを、拒絶出来たならどんなにか良いだろう。
須藤の微笑がそれを許さない。
「今日のおかずは鶏の唐揚げと、粉ふきいもと、ほうれん草の胡麻炒めだよ。頑張って作ったから、残さず食べてね」
「…いただき、ます」
味の分からない弁当を、箸で中身を改めながらもお茶で流し込むようにして、飲み込む。
向かいに座っている須藤を見ないように、食べている間はずっと弁当箱を見つめていた。
昼休みは50分。
ただでさえ遅い時計の針が、ほとんど止まって見えた。

放課後。
早々に教室を出たオレの隣に、やはり須藤はひたりとくっついてくる。
昨日と同じ。
須藤と二人きり、生暖かい風に吹かれ、震えながら帰宅する。
「それじゃあ、また明日」
手を振る須藤。
オレは目を伏せる。
その顔を見てしまったら、深夜になっても目蓋から消えなくなるから。

一人きりでいられる夜は余りにも短く、僅かな安息さえ隣家の気配に脅かされた。
朝が来なければ良いのに、とどれだけ願っても、それが叶う筈もない。
眠ることさえも恐ろしかった。
射し込む朝日にも絶望した。
一日が、始まってしまう。
そうしたら、また須藤が――



翌朝。

「かつやぁ、朝だよー起きてー」
目覚まし時計が鳴るより早く、呼び声と共に揺り起こされた。
まだ閉じていたがる目を、ぼんやりと開ける。
――目の前に、須藤。
「……ッ!!」
オレは、冷水を浴びせかけられたように、一瞬にして覚醒した。
反射的に跳ね起きる。
オレはいつの間にか、眠っていたらしい。
制服の須藤が、ベッドの隣に居た。
「おはよう、かつや」
にっこりと微笑む須藤が、何よりも恐ろしかった。

登校。
須藤と一緒。
朝の空気など肺に入らない。
授業中。
須藤は黒板ではなく、オレを見つめている。
常に感じる視線の方に目をやると、いつも須藤と目が合った。
休み時間。
須藤は、チャイムと同時にオレの席へ駆け寄ってくる。
オレの悪寒はずっと止まない。

昼休み。
やはり授業終了と同時に駆け寄ってきた須藤が、手に包みを持っている。
「はい、お弁当」
「…あ……ああ」
差し出された包みを、拒絶出来たならどんなにか良いだろう。
須藤の微笑がそれを許さない。
「今日のおかずはアジフライと、ポテトサラダと、ミニパスタだよ。頑張って作ったから、残さず食べてね」
「…いただき、ます」
味の分からない弁当を、箸で中身を改めながらもお茶で流し込むようにして、飲み込む。
向かいに座っている須藤を見ないように、食べている間はずっと弁当箱を見つめていた。
昼休みは50分。
ただでさえ遅い時計の針が、ほとんど止まって見えた。

放課後。
早々に教室を出たオレの隣に、やはり須藤はひたりとくっついてくる。
昨日と同じ。
須藤と二人きり、生暖かい風に吹かれ、震えながら帰宅する。
「それじゃあ、また明日」
手を振る須藤。
オレは目を伏せる。
その顔を見てしまったら、深夜になっても目蓋から消えなくなるから。

一人きりでいられる夜は余りにも短く、僅かな安息さえ隣家の気配に脅かされた。
朝が来なければ良いのに、とどれだけ願っても、それが叶う筈もない。
眠ることさえも恐ろしかった。
射し込む朝日にも絶望した。
一日が、始まってしまう。
そうしたら、また須藤が――



翌朝。

「かつやぁ、朝だよー起きてー」
目覚まし時計が鳴るより早く、呼び声と共に揺り起こされた。
まだ閉じていたがる目を、ぼんやりと開ける。
――目の前に、須藤。
「……ッ!!」
オレは、冷水を浴びせかけられたように、一瞬にして覚醒した。
反射的に跳ね起きる。
オレはいつの間にか、眠っていたらしい。
制服の須藤が、ベッドの隣に居た。
「おはよう、かつや」
にっこりと微笑む須藤が、何よりも恐ろしかった。

登校。
須藤と一緒。
朝の空気など肺に入らない。
授業中。
須藤は黒板ではなく、オレを見つめている。
常に感じる視線の方に目をやると、いつも須藤と目が合った。
休み時間。
須藤は、チャイムと同時にオレの席へ駆け寄ってくる。
オレの悪寒はずっと止まない。

昼休み。
やはり授業終了と同時に駆け寄ってきた須藤が、手に包みを持っている。
「はい、お弁当」
「…あ……ああ」
差し出された包みを、拒絶出来たならどんなにか良いだろう。
須藤の微笑がそれを許さない。
「今日はチキンカレーだよ。牛乳プリンもあるよ。頑張って作ったから、残さず食べてね」
「…いただき、ます」
味の分からない弁当を、箸で中身を改めながらもお茶で流し込むようにして、飲み込む。
向かいに座っている須藤を見ないように、食べている間はずっと弁当箱を見つめていた。
昼休みは50分。
ただでさえ遅い時計の針が、ほとんど止まって見えた。

放課後。
早々に教室を出たオレの隣に、やはり須藤はひたりとくっついてくる。
昨日と同じ。
須藤と二人きり、生暖かい風に吹かれ、震えながら帰宅する。
「それじゃあ、また明日」
手を振る須藤。
オレは目を伏せる。
その顔を見てしまったら、深夜になっても目蓋から消えなくなるから。

一人きりでいられる夜は余りにも短く、僅かな安息さえ隣家の気配に脅かされた。
朝が来なければ良いのに、とどれだけ願っても、それが叶う筈もない。
眠ることさえも恐ろしかった。
射し込む朝日にも絶望した。
一日が、始まってしまう。
そうしたら、また須藤が――