もう七月も半ば。
最近、近所の外壁や公園の柵づたいに、縄がはりめぐらされるようになった。

縄に等間隔にとりつけられた特殊な形をした白い紙は、神社なんかでよくみる形をしてて、なるほど、時期的なものも考えれば、地域のお祭りが近いのかな、なんて連想させた。

(でも、この地域一帯に注連縄(しめなわ)か。こんな地域もあるんだな)

いつも近所を車で走行しながら僕はぼんやり考えていた。

(ああ、ここも)

車で横切った場所は、薄暗い林。
人一人が通れるスペースがある道が、奥に続いている。
たぶんこの林の奥に民家はない。
なぜなら、この林のすぐ隣には広い墓地があるからだ。
なんのためにこの道があるのか、ぼくにはわからないが、一つ、気づいたことは、この道が、注連縄で遮られてから、いつも通るたびに味わってた嫌な感じがしなくなったことだ。

墓地のすぐ真後ろの小さな公園もそうだが、昼間であっても、注連縄がないときは、なんとも言えない気味悪さというか嫌な感じがしていた。

これが、なくなった。

たぶんこれは、察するに注連縄のおかげなんだと思う。

(きのせーかな)

なんて思ってたら、ぼくの心を読んだのか、タルパもどきのにゃんたろうの声がした。