話題:自分の気持ちがわからない

彼がまたしても風俗に行っていた。あたしが実家に帰っている日と仕事だと言っていたきのう。考えてもどうしようもないのに考えてしまう。風俗に行くのは、性処理目的だけと男友達は言い、ネットで調べても行く理由は、ありあまる性欲ようなことが羅列されていた。仮にそうだったとしても腑には落ちない。黙認するのか、別れるのか、そのふたつしかない選択肢がかなしかった。彼の風俗問題を考える度に苦しくなる。底のない沼に足を滑らせたような、身体中が苦しさで窒息しそうになる。

2年前くらいから始まった風俗や夜遊び通い。最終的には、ソープに通うだけになったけれど、それをいいとはもちろん感じない。あたしとの行為に満足していないのだろう。性欲の差は仕方ないと割りきりたいのに割りきれない。情けなさでいっぱいになっては、涙さえ流れることはなかった。彼は言う、お前がこれまでに俺の気持ちを汲み取らなかったから、支えてくれなかったからこうなったんだと。グチグチ言うのもまた男をそういうところへ行かせるんだと堂々と。きっと、彼にとって行くことに問題はなく、今までの仕返しだというくらいに軽く考えているのだろう。責められないように、過去のことを掘り返しては、お前がわるいんだと責任転嫁させる。その度に、あたしは彼のことがよくわからなくなる。
風俗に行くことを百歩譲って認めたとしても、それをあたしのせいにすることがあたしは嫌だった。どんな理由があれ、行く選択をしたのを自分なわけで、最後まで行ったことに責任を持つべきだ。それをしないから中途半端で、余計に深く傷つける。それは、風俗に行かれる彼女の気持ちを彼はまったく考えてくれないことの証のように感じてしまうのが苦しかった。
開き直れば簡単で、あたしが彼以外のひとと関係を持つことは容易い。それを知った彼は、あたしを責めることはできず、堂々巡りのように悪循環だけが螺旋のようにつづいてゆく。

ネットや職場のひとと浮気されるよりかは、利害関係のある風俗に行くほうがマシなこともわかる。理屈はわかっても生理的には理解できていない自分がいる。行かないひともいるから、そういうひとを探せばいいんだよと言われる。風俗行くから別れるのか、行かないから付き合うのか。こんなことも付き合いつづけてゆく理由として必要なことがかなしかった。

彼だけではないと思う。恋してくれたひとたちのことがよみがえる。戻れない過去に恋しても取り戻すことはできない歯がゆさを抱えながら、彼とこのまま一緒にいるべきなのかを考える。わからない、わからなくなる。すきなのに、すきだから苦しくなり、悩む。風俗行くのならもう、あたしを抱かないでほしいと思った。他で吐き出せるのなら排他的な気がした。