勝手に量産してごめんなさい、なフォルスタSSです。
いろんなパターン書けて楽しいです(おい)
*attention*
・フォルスタSSです
・以前ナハトさんが描かれた猫耳なスターリンさんが可愛くて、
ついつい猫ネタを書きたくなっちゃいました
・フォルのチョーカーはどうにも首輪にしか見えなくて…
・タイトルはそのまま。「僕の子猫ちゃん」です←
・相変わらずのグダグダクオリティ
・ナハトさん、相変わらず勝手にごめんなさい…!
以上がOKという方は追記からどうぞー!
びたん、びたん、と長い猫の尾が不機嫌そうに床を叩く。
それを見て、亜麻色の髪の青年は楽しそうに笑みを浮かべていた。
「ふふっ……書記長様、よく似合うよ」
「……いつまで、この格好をしてろと言うんだ、おまえは」
不機嫌そうに、スターリンはフォルを見た。
眉を顰め、半ば睨むように見られても、フォルは相変わらず平然としている。
「僕が満足するまでだよ。そういうルールでしょ?」
愉快そうに笑うフォル。
テーブルの上には散らばったカード。
そう、これはフォルが言いつけた"罰ゲーム"だった。
―― 書記長様、暇だし……トランプでもやらない?
―― は?
―― あ、ただゲームってのもつまらないよね……
"負けたほうが勝った方の言うことを何でも聞くってことでどう?"
そんなフォルの提案。
初めは面倒だからとほうっておいたスターリンだが、
"勝つ自信がないの?"などと挑発されてはそういうわけにも行かない。
そして、至る現在、である。
「お前に勝とうと思った俺が馬鹿だった」
「ふふ。僕、こういうゲームは強いからね」
誰も、フォルが強いからとは言っていない。
確かに彼は策略家だが、後一歩のツメが甘いことが多い。
隙を付けば、スターリンだって勝つことが出来るだろう。
彼が言わんとしているのは……
スターリンはちらり、とフォルを見ながら訊ねた。
「イカサマしてないか、フォル」
「……さぁね。どうだか」
肩を竦め、目をそらすフォルに、スターリンは思わず溜息を吐いた。
この様子では、それも全く否定はできないのかもしれない。
とはいえ、スターリンのこの姿……
猫耳猫尻尾という姿を保っているのは他でもないこの堕天使。
解け、といったところでスターリンがゲームに負けた以上、
そうそう簡単に解くつもりがないのだろう。
「あ、そうだ」
ふと、なにか思いついたような顔をするフォル。
逸らしていた視線をスターリンに戻した彼は、
何だか悪戯を思いついた子供のような表情をしている。
スターリンは思わず顔を引きつらせた。
フォルは自分の首元に手を伸ばすと、いつも身につけている黒い革のチョーカーを外す。
鎖についた黒い逆十字のチャームが小さく音を立てた。
嫌な予感しかしない、と言わんばかりに半歩下がりかけたスターリンの腕を掴んで、
フォルはニッコリと微笑む。
「これ、つけてみよ?」
「嫌だ」
「拒否権なしだよ。ゲーム負けたでしょ」
「一個言うこと聞いただろ!」
反論するスターリンだが、フォルは笑みを崩さない。
わざとらしく首をかしげて、言った。
「一個だけ、なんて言ってないよ」
「此奴……っ」
確かに、ひとつだけとは言われていない。
スターリンはわなわな、と羞恥と憎たらしさから体を震わせる。
とはいえ、反論の術はない。
「ほら、おとなしくしてて。僕の猫さん」
くすくす、と笑いながらスターリンの首にチョーカーを回す。
先程まで彼自身が着けていたものだからか冷たさはあまり感じなかったが、
それを着けるフォルの指先が冷たい。
わざとそれがぶつかるようにしてチョーカーを付けているのだろう。
フォルの指が掠めるたびに嫌でも体がこわばる。
フォルはそれを見て楽しそうに笑っていた。
「はい、出来た。こうしたら、いよいよ猫だね、書記長様」
チョーカーを留めると、フォルは指先で逆十字のチャームをつつく。
鎖がぶつかり合って、高い音を立てた。
「鈴に付け替えてあげようか?」
「……後から一発蹴ってやる」
スターリンは恨みがましげにフォルを見ながら言う。
今蹴ったら余計酷いことが起きる気がして、"後から"と言ったのだろう。
フォルは"はいはい"と軽い返事をしつつ、スターリンの髪をなでている。
「可愛いよ、書記長様。さすが僕の猫さん」
"僕の"を強調するあたりが、彼らしい。
スターリンも反論するだけ無駄だと思ったのか、
フォルが気が済むまでおとなしくしていることにしたらしい。
この堕天使は自分が嫌がれば嫌がるほど楽しそうな顔をする奴だと、
彼も嫌というほど理解している。
「いい子」
に、と笑うとフォルはスターリンの頭を撫でるのをやめ、顔を自分の方に向かせた。
くい、と顔を上向かせると、いつものようにくちづけた。
何度か角度を変えてキスをすると、フォルは悪戯っぽく笑って、言う。
「猫化しても、キス上手だね、書記長様」
「ば……っ」
馬鹿なことを言うな!と言おうとした途端、スターリンの通信機が鳴り響く。
スターリンは呼吸を整えてから、応答した。
それは、この城での部隊長からの任務命令で。
すぐに行く、と返答してから、堕天使の方を向き直る。
フォルはつまらなそうな顔をしていた。
「えー……行っちゃうの?」
「仕事なんだから仕方ないだろ……さっさと魔術を解いてくれ」
「やだ、っていったら?」
「な……っ」
スターリンは目を見開く。
まさか、この格好で任務に行けというのか。
フォルはむすっとした顔をしたまま、スターリンを見つめている。
「そのまま任務行けばいいじゃないか。可愛いし」
「こんな恥晒して行けるかっ!」
スターリンは顔を真っ赤にして怒鳴った。
まさか、仲間の前にこんな姿を晒したいとは思わない。
寧ろ、こんな姿を見られるくらいなら死んだほうがましだ、とさえ思った。
フォルはじーっとスターリンを見つめたあと……溜息を吐いた。
「……だろうね。仕方ないな……」
その言葉と同時に解かれる魔術。
幾分ほっとした顔をして、歩き出しかけたスターリンの背中に、
フォルは言葉を投げる。
「帰ってきたら続きだからねっ」
その言葉に一抹の不安を覚えつつ、スターリンは部屋を出ていった。
***
「ま、最も……あの格好のままで僕が行かせるはずないけどね」
窓から、城を出ていく彼の姿を見送りつつ、フォルは小さく呟いた。
独占欲の塊のような彼が、ほかの人間に、あの姿を見せさせるはずがない。
小さく口角をあげ、フォルは部屋の中に引っ込んだ。
「あ」
ふと気づく。
手を首元に持って行って、そこにいつもあるそれ……
黒いチョーカーがないことに気づいた。
「あー……外すの忘れちゃった」
スターリンも急いでいたため、すっかり忘れていたのだろう。
フォルは"まぁ、いっか"と呟いて笑う。
―― 僕と遊んでるのをほっぽり出したんだから仕方ないよね。
自分で何とかするでしょ、と思いながら、フォルは彼の帰りを待つことにした。
……スターリンが、見慣れぬチョーカーを仲間に指摘されないように苦心したのは、
また、別のおはなし……
―― My Kitty ――
(ちょっぴりズルしても君にその姿をさせてみたかったんだ。
そんなことを言ったら君はまた、怒るんだろうね)
2012-12-31 11:06
コメありがとねー!
体調復活の兆し。
油断大敵やけどね(^_^;)