ジルさんとレキのお話です。
アネットとの話の続きで…
微笑ましいことにしようと思ったらたまにシリアスっぽくなりました、なぜ←
*ATTENTION*
ジルさんとレキのお話です
ほのぼのなお話です
ジルさんとレキのお話です
アネットとの戦闘ネタの続き的な…
一緒に夕食食べる二人を書きたくて
食べることが好きなジルさんが可愛いなと
レキにからかわれて赤面してほしい←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
アネットとの剣の手合わせを終えて、ジルは部屋に戻る。
ちょうど、任務を終えて帰ってきたらしいレキとはち合わせた。
「ジル、外に行ってたのか……何処に行ったのかと思ったよ」
レキはそういって笑う。
ジルは"すみません"と彼に詫びつつ、微笑んだ。
確かに、ジルが外に出かけていることは珍しい。
だから、仕事を終えて戻ってきたレキも不思議に思ったことだろう。
どうして彼が室内にいないのか、と。
「外にでていたらアネットと言う名の少年に声をかけられましてね。
一緒に、剣術の練習をしていたのです」
久しぶりで良い運動になりました。
ジルはそういって目を細める。
レキはそれを聞いてなるほど、という顔をしつつ、笑った。
「何でもないなら良かったよ。
また何処か……否、何でもない」
変なことは思い出さないに限る。
そう思いつつ首を振ったレキはジルに笑みを向けて言った。
「夕飯食べに行かないか?任務でてたから、おなかすいてさ」
少し時間は早いけど、とレキ。
ジルはにこにこと笑いながら、頷いたのだった。
***
「久しぶりにご飯をたくさんいただきたいですねぇ」
そう呟いて、ジルは食前酒のグラスを傾ける。
ビュッフェ形式で食べたいものを食べるスタイルの食事だからそれは出来るのだけれど……
レキは少し意外そうな顔をしつつ、いった。
「ジルがそんなこと言い出すの珍しいな」
いっぱい動いて腹減った?とレキは問いかける。
ジルは彼の言葉に少し頬を赤く染めながら、答えた。
「珍しいですかねぇ……?
私、これでも美食家でご飯をいただくことは大好きですよ?」
「んー、イメージ、かな?
ジルは上品だし、線も細いからあんまりがっつりご飯食べる、って感じしないし」
お前が美味しいもの好きなのは知ってるけど、とレキはつぶやく。
ジルは彼の発言に少し悩ましげな顔をしつつ、言った。
「むう……肉が付きにくい体質と言いますか、んんん……やはり育った環境が環境だからでしょうか」
そういいながらジルはグラスをくるくると回して、自分の体をみる。
貧相、というほどではないけれど、がっちりしている訳ではない。
人並み程度に筋力もあるが、それが目に見えはしない。
レキも、剣を振るう剣士としては華奢な方だとは思うが、ジルよりは幾分しっかりした体つきをしている。
遺伝?
体質?
いずれにせよ肉が付きにくいタイプなのだ、とジルは苦笑した。
レキはそれを聞いて少しおかしそうに笑う。
そしてぽん、とジルの体をたたきつつ言った。
「まぁいいんじゃないか?
今のままでもジルは強いし、十分魅力的だよ」
そういってレキはにっこりと微笑んだ。
「な……」
いきなりのレキの発言にジルは赤面する。
言葉を失って固まった彼の頬をくすくすと笑いながらつついた。
「ははは、魅力的だから魅力的だっていったんだよ。
そうして照れてるのも可愛いよ」
レキはそういいつつパンを一口食べる。
ジルは彼の言葉に頬をさらに赤くしつつ、もう!と声を上げた。
「あ、あんまりからかわないでください!」
恥ずかしいです!
そういいながら、ジルはぐいっとグラスを呷った。
いっぺんに酒を飲む彼をみてレキは慌てていった。
「ごめん、ごめんって!
あんまりいっぺんに飲むとまた酔いつぶれるよ!」
そういいながらレキはジルの頭をなでる。
ジルはぷぅうっと頬を膨らませつつ、パンを口に運んだ。
「……恥ずかしいです」
「ごめんって。でも、事実だよ?」
そういって、レキは微笑む。
じとっとした目でレキを見つめたジルだったが、すぐにふっと笑みを浮かべる。
そして"仕方ないですねぇ"と呟きつつ、ふつうに食事を取り始めた。
「……別に、そういった言葉をかけられるのが嫌な訳ではありませんし、ね。
ただ、本当に照れくさいだけなのですよ」
ジルはそういって、照れくさそうに微笑む。
レキはそんな彼をみて目を細めつつ、言った。
「ジルは意外と照れ屋だよな
……あぁ、でもちょっと酔ってる?」
さっき一気飲みしたもんな。
そういいながらレキは顔を寄せる。
突然顔を近づけられて、ジルは少し視線を逸らした。
−− あぁ、そういえば。
こんな風に、食堂で堂々と親しく出来るようになったのは、つい最近だ。
ジルに危険がないことを、レキが証明してくれたから。
ほかの人間が自分を認めてくれるまで、ずっと傍にいてくれたから。
それまでは、こうして彼の傍にいるのも不安だった。
彼まで、悪いことを言われてしまうのではないかと思って。
彼だって、普通の人間ではない。
それにこの国の騎士でもない。
この国で嫌われたら、自分と同じ境遇におかれかねなかったのに……
それでも、彼は傍にいてくれた。
不安な自分を抱きしめて、大丈夫だと慰めてくれた。
何度も、何度も、何度も……
思えば、今の状況はとても幸福なのだ。
"青髭"である自分が認められて、仕事をさせてもらえて。
さっきのようにアネットが声をかけてくれたのも、奇跡のようなこと。
嫌われたって、避けられたって、おかしくなかった。
実際、最初はそうだった。
でも、それを乗り越えられたのは……レキが、傍にいてくれたからだ。
彼が、愛しい人が、出来たからだ。
幼い少年を拐って、辱めて、殺すという衝動よりも強い、愛し、愛されたいという想いを抱かせてくれたから。
あぁ、思考が纏まらない。
これも、アルコールのせい、だろうか。
ジルがそう思ったとき。
「ジル?」
レキが、呼んだ。
優しい、柔らかい声。
それを聞いて、ジルははっとする。
「あ……」
「どうした?やっぱ、気分悪い?」
大丈夫か?と問いかけながら、レキはジルの額をなでる。
ジルはゆっくりと首を振って、微笑んだ。
「いえ……少し、酔っているかも知れませんが大丈夫です。
この前のように、貴方を襲ったりはしませんよ」
そういって、ジルは笑う。
レキは彼の言葉に瞬きをしてから、おかしそうに笑った。
「あはははっ、襲われるのは勘弁」
あのときは大変だったからな。
そう呟いて笑うレキ。
明るい彼の笑み。
少し吹いた風が彼の前髪を揺らす。
「ねぇ、レキ……」
「あ、ジル!!」
聞こえた、明るく大きな声。
それを聞いて振り向けば、先ほど一緒に剣をぶつけていた赤髪の騎士の姿。
隣にはジルが聖女の生まれ変わりと思っているフィア、その従兄であるルカの姿もある。
「なぁ、俺たちも一緒に飯食っていいー?」
「レキ、かまいませんか?」
ジルはレキの方をみて首を傾げる。
レキはきょとんとした表情で、言った。
「ん?かまわないけど……ジル、何か言い掛けなかった?」
「……あとで言いますよ」
そういってジルは微笑む。
そして混み始めた食堂の入り口に固まっている"仲間"たちに頷いて見せたのだった。
−− 伝えたい言葉は −−
(たくさんあるのです。
けれど、一番強い想いは…ありがとう)
(初めてこの世界に来たときよりもずっと穏やかな気持ち。
まるで、此処にずっと昔からいたような…)