久々に信号機トリオのお話です。
まぁ、メインは赤髪金髪コラボなのですが…
からかわれまくるアネットとからかう諜報お二人可愛いです←
*attention*
信号機トリオのお話です
ほのぼのなお話です
多分、ほのぼの…←
アネットをからかう諜報のお二人
アネットはそれを真に受けやすいので…←
何で気づいてくれないか、って怒るライニさん可愛い
そしてカナリスさん色々すみません(笑)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
夏の陽射しも大分和らぎ始めた、晩夏の夕方……
頬に絆創膏を貼りつけたアネットは、美しい金髪の少年の前に正座させられていた。
……外だというのに。
そんなハイドリヒと一緒に居るのは黒髪の青年……カナリス。
彼もハイドリヒを止めることなく、アネットとそれを見ているハイドリヒを見つめていた。
ハイドリヒは小さく息を吐き出す。
そしてアネットの頭を小突きながら、言った。
「一体何回言ったら貴方はたちの悪い怪我をして帰ってこなくなるんですか」
「……ごめんって」
アネットはしょぼんとして俯く。
彼を見つめながら、ハイドリヒは溜息を吐き出す。
そして、アネットを見つめながら、言う。
「正直ベスティアのほうが賢いですよね」
べスティア、というのはハイドリヒが使う、召喚獣だ。
アネットはそれを聞いてむぅっとむくれた顔をする。
要するに、魔獣以下扱いされたのだから、当然だろう。
カナリスはそんな二人の様子を見て苦笑を漏らして、フォローの言葉を口にだす。
「……ま、まあアネットさんは人語話せますし……」
そう言い出すカナリスにハイドリヒは蒼い瞳を丸くする。
アネットはといえばやっと助け舟を出してくれたと思った相手からの思わぬ二の矢に目を丸くした後、憤慨したように声を上げた。
「俺が勝ってるところそこだけかよヴィル!」
人語喋れるって人間の特徴じゃねぇか!
それまで奪われたら俺人間じゃねぇじゃん!
アネットはきゃんきゃんと吠えるようにそういう。
ハイドリヒは彼の様子に眉を寄せつつ、言った。
「喧しいですよアネットさん。
それに、ベスティアは話せませんが私とならばテレパシーが使えます、アネットさんはそれができません」
その点べスティアより劣ってますよ、とハイドリヒ。
完全に遊びモードに入っているな、と思いながら、カナリスはアネットをちらと見て、言った。
「あー……ではアネットさんは二足歩行ではないですか」
そう言い出す彼。
最早ダブルで刺されているアネットは溜息を吐き出す。
「ヴィル、もういいよそれ庇えてねぇよ」
はぁ、とアネットは溜息を吐き出す。
反撃する気力さえなし、といったところか。
怪我をして帰ってきたことは一応反省しているらしいのだけれど、如何せんその癖は治りそうにない。
おそらくその度にこうしてハイドリヒに反省させられるのだろうな、と思うとカナリスは思わず小さく笑みを零した。
「笑うなよヴィル!ふざけんな!
お前なんか黒染めしてる白髪のくせに!
俺知ってるんだからな!お前のオリジナルが若白髪だったって!!」
アネットはそう叫んだ。
刹那、ぴしりと空気が凍る。
ハイドリヒも"あ"と小さく声を漏らした。
口に出した当人も流石にその空気の変化には気が付いた様子で、焦ったように視線を揺らす。
カナリスはゆっくりと口を開いた。
そして、聞いたこともないほど低い声で、アネットにいう。
「……それ以上白髪と黒染めというと本気で沈めますよ、海に」
静かな声での洗礼にアネットは冷や汗を流す。
助けを求めるようにアネットはハイドリヒの方を見る。
しかしハイドリヒは平然と答えた。
「アネットさんは泳げませんからねー頑張ってくださいねー」
しれっとそういってのける彼に、アネットは縋り付く。
そして目が据わっているカナリスを見ながら、彼は叫んだ。
「ラインハルト助けて!ヴィル眼がマジ!!」
そういって縋り付くアネット。
彼を見つめながら、ハイドリヒは言った。
「その一、ヴィリは海軍所属で船を持っています。
その二、ヴィリはスパイマスターです私のライバルです。
その三、貴方は炎属性で泳げません。
以上からあなたがどうなるか、予想はできますよね?」
そう問いかけるハイドリヒ。
アネットはそれを聞いてひくり、と表情をひきつらせて、叫んだ。
「うんしってる!!
死体すら見つかんなそうだよどうすんだよ……」
海に放り込まれる。
しかも、放り込むのがカナリスとなれば……
どう考えても、証拠も残らず棄てられそうだ。
アネットがそういえば、ハイドリヒは少し悩む顔をする。
そして、呟くような声で言った。
「溺れてるところ海獣の餌になるか溺れ死んで……海獣の餌か」
「やっぱ見つかんなそう!!」
アネットは悲鳴じみた声を上げた。
それを聞いているカナリスも怒りは何処かに行ったのか、アネットとハイドリヒの茶番を見ている。
ハイドリヒはぽん、と彼の肩を叩いた。
そして、いつもは見せないような笑みを浮かべて、言った。
「大丈夫ですって長官のヒュドラ借りて助けますから」
そういってのけるハイドリヒ。
アネットは彼の言葉に瞬きをする。
それから、ふっと息を吐き出して、言った。
「なあラインハルト……それ、毒蛇だよな」
「ええ毒蛇ですね」
しれっと頷くハイドリヒ。
アネットはそれを聞いてまた悲鳴じみた声を上げた。
「死ぬじゃん!それ俺死ぬじゃん!?」
毒蛇に助けられる、なんて……
どう考えたって、殺される。
アネットは涙目になりながら、恨みがまし気にハイドリヒを見上げた。
そして、泣き声で訴える。
「ラインハルトはいいんだな?俺が死んじゃってもいいんだな?!」
そう声を上げるアネットにハイドリヒは眉を寄せる。
そして、溜息まじりに言った。
「それぐらいで死ぬなんて見損ないましたヴィリと仲良くします」
そういってカナリスに寄り添うハイドリヒ。
完全に遊びでの発言だったのだが、どうやらアネットにはダメージが大きすぎたらしい。
彼は大きく目を見開くと、ぐっと唇を噛んでから、叫んだ。
「うう……ラインハルトのばかぁああっ!」
そういってばたばたと走っていくアネット。
彼の姿にハイドリヒは驚いて、青の瞳を見開く。
「あっ、アネットさん……もう!」
「追いかけなくていいんですか?」
カナリスは苦笑を漏らしつつ、隣にいるハイドリヒに声をかける。
するとハイドリヒはむっとしたような顔をして、溜め息を一つ吐き出した。
「……いつになったらあの人は私の真意を理解するようになるんですか」
まったく、とぼやく彼。
しかしその表情は何処か心配そうなもので、それを見ているカナリスはふっと笑みを漏らしたのだった。
***
それから、少しして。
ハイドリヒは城の空き部屋の中で一人拗ねているアネットの姿を見つけた。
そして、溜息まじりに拗ねた背中に声をかける。
「こんなところにいましたか」
そう声をかけても、アネットはふり向かない。
ハイドリヒはそんな彼を診て溜息を吐き出すと、彼の方へ歩み寄った。
「言うこと聞かない駄犬は嫌いです」
そういうと、アネットは漸く顔を上げる。
そしてじとりとした視線を向けながら、拗ねたように言った。
「……良いよもう、別に……
ヴィルと仲良くするんだろ、捨てりゃいいじゃん駄犬の俺なんて」
そういってぷいとそっぽを向くアネット。
言葉通り、捨て犬のような目をする彼を見てハイドリヒは一度青い瞳を見開く。
それから、半ば苛立ったように髪を掻き揚げると、アネットの顔を自分の方へ向かせながら、言った。
「っとに、貴方は!私が素直になれないの知ってて、なんでそんなこと言うんですか!」
思わぬキレ方にアネットは少し面食らった顔をする。
それから、溜息まじりに呟いた。
「……わかってるけどさぁ」
それは、わかっている。
ハイドリヒが素直でないことも、先程のが本気でアネットを傷つけるためにした発言でないことも。
けれど……とアネットはジト目をハイドリヒに向ける。
そして、呟くように言った。
「……さっきのはあんまりじゃないか、ラインハルト」
「捨ててもいい、何て言い出した貴方も同罪です」
ハイドリヒはそういって、ぷいとそっぽを向く。
アネットは彼の様子にくすっと笑って、言った。
「先にいったの、ラインハルトだ」
俺だけの所為じゃねぇよ、とアネットは言う。
それを聞いて、ハイドリヒもふっと息を吐き出す。
もう知りません、などといいながらそっぽを向く彼ではあったが、その表情は何処か穏やかなものになっていたのだった。
―― 好きだからこそ…? ――
(好きだからこそ、弄りたくなる。
その加減を忘れてしまうのも、貴方が愛おしいからこそ…?)
(お前の意地悪の理由も原因もわかってるけどさ……
やっぱり、ちょっとくらいフォロー入れてくれよな?!)