ヘフテンさんとブランのお話です。
「憧れていたもの」の続き的な感じで…
ヘフテンさんにまた遊びに来てほしいけどそれを素直に言えないブランと、汲み取ってあげる優しいヘフテンさんの絡みです←
*attention*
ヘフテンさんとブランのお話です。
ほのぼのなお話です
「憧れていたもの」の続き的な
ヘフテンさんとお茶するブラン
武器トークとかしてるのにほのぼの
甘やかし上手なヘフテンさん可愛い
ブランは不器用さんゆえこんな愛情表現
遊びに来てあげてください←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
お茶の支度をして、ブランとヘフテンは一緒に部屋に戻る。
そして、ソファに腰かけた。
ブランはティーカップを傾けながら、ヘフテンの方を見る。
そして彼に問いかけた。
「あの人の副官ってことは……君も騎士なんでしょ?
じゃあ、戦えるんだよな……」
そういうブランに、ヘフテンは瞬きをする。
それからにこりと微笑んで、いった。
「まぁ一応戦えますよ?」
「ふぅん……良いなぁ。
僕、戦闘はあんまり得意じゃないんだ……」
そういってブランは目を伏せる。
彼は堕天使によって創りだされた操り人形なのに、身体能力が著しく低い。
体力がなく、力もない彼。
それ故に、戦闘はすさまじく苦手だ。
ブランにはそれがコンプレックスでもある。
そんなブランの発言にヘフテンは目を細める。
そして小さく息を吐き出しながら言った。
「僕も戦闘は苦手ですよぅ。
なかなか馬に乗れなくて一時は弁護士してましたからねぇ」
小さく苦笑を漏らすヘフテン。
彼の言葉にブランは興味深そうな顔をした。
「へぇ?武器は?僕は短剣でしか戦えないんだよなぁ」
そういいながらブランは腰のベルトに挿していた短剣を抜いた。
ブランの手にちょうど良い大きさの小さな剣。
"へぇ、綺麗ですね"といって目を細めると、ヘフテンはいった。
「僕は基本的には爆弾と自動小銃ですねぇ……
軍からの支給品なので簡単に扱えますしね」
そういって笑うヘフテン。
ブランはそれを聞いて興味深そうな顔をした。
「ふぅん……爆弾、か。
僕、力がないから短剣しか使えないんだよね。
爆弾くらいなら僕でも使えるかなぁ……
使うのって簡単?」
そういって首を傾げるブランを見て、ヘフテンは微笑む。
いいことを思いついた、というような表情を浮かべながら、彼は自分の武器である小型爆弾を取り出した。
「使えると思いますよー。
此処のスイッチをカチッと押すだけで……」
そういいながらヘフテンはカチッと爆弾のスイッチを入れた。
そんな彼の行動にブランは驚いて大きく目を見開く。
「わぁ?!何で起動させてんの?!ちょ、外、外に放り投げて!」
馬鹿馬鹿!と声を上げて逃げ出す体勢を取るブラン。
そんな彼の目の前で爆弾が爆発した。
ぽんっ!と、軽い音。
それと同時にぶわっと、花弁が舞った。
「な……っ」
ブランは驚いて固まる。
瞬く漆黒の瞳の前にひらひらと舞う花弁。
ブランの様子を見てヘフテンは声を上げて笑った。
「ふふふ、びっくりしました?」
可愛い反応だなぁ、と思う。
こういう反応が見たくて、わざとあれを渡したのだった。
ブランはほぅっと息を吐き出した。
そしてむくれたように頬を膨らませて、いう。
「もぅ……びっくりしたじゃんか」
そう呟いて唇を尖らせるブランシュ。
彼の帽子の上にひらりと一枚花弁が乗った。
ヘフテンはそれを見て緑の瞳を細めると、指先でそれを取った。
「ふふ、ごめんなさい。
でも、綺麗でしょう?」
そういってヘフテンは笑う。
ブランはそれを聞いて少しむくれたような顔をしつつ、言った。
「そりゃ、確かに……確かに綺麗、だけどさぁ」
でもびっくりしたよぅ、と呟くように言うブラン。
それを聞いてヘフテンは小さく笑う。
「ふふ、良かったです、喜んでもらえて」
ヘフテンはそういって笑う。
ブランは"まぁ、面白いものは見れたかな"と呟く。
そんな彼は頬を薄く赤く染めていたのだった。
***
そんな、夕方。
ヘフテンは暫しブランとお茶をした後、ペルが帰ってきてから彼と一緒に帰った。
「随分遅いなと思ったらそんなことだったのか」
シュタウフェンベルクはヘフテンの話を聞きながらそういった。
ペルのかつての仲間であった少年……
彼は相当ペルを敵視していたようではあったけれど、その実悪い子ではないのかもしれない。
そう思いながらシュタウフェンベルクは目を細める。
「えぇ。ちょっと素直じゃなかったですけど、可愛くて良い子でしたよ?
僕のこの武器にも興味持って……って」
そういいながら持っていた爆弾を机に並べていたヘフテンは口を噤む。
シュタウフェンベルクが"どうした?"と問いかけると、ヘフテンは並べた爆弾を数えた。
「一、二、三……あれっ、やっぱり一つ足りませんっ!大変です!」
そう声を上げるヘフテン。
それを聞いてシュタウフェンベルクは"本当か?"と声をかけた。
「ほ、本当ですよぅ……何処にやってしまったんでしょうっ」
「何処かに置き忘れたんじゃないか?」
「何処か……あっ、もしかして……」
一つ、思い当たることがあるとしたら……
さっきまで一緒に居たあの少年のいる屋敷。
もっとも、彼の前で爆発させたaの一つ以外を出した記憶はないのだけれど……
「まぁ、幸い危険な爆弾ではないんで急いで探しに行くこともない、ですけど……」
「でも処理にも困るだろうし、ちゃんと取りに行くんだぞ」
シュタウフェンベルクはヘフテンにそういう。
それを聞いて、ヘフテンは苦笑まじりに頷く。
"出したつもりはないんだけどなぁ"と思いながら……
―― 一方。
薄暗い森の奥の屋敷では、帽子を被った少年が手に小さな爆弾を握っていた。
それは間違いなく、ヘフテンのもの。
しかしそれは、ヘフテンが置いていったものではなかった。
「……気づいた、かなぁ」
そう呟くブラン。
彼はくるりとヘフテンの爆弾を回す。
それは、彼が帰り際のヘフテンからこっそりと掠め取ったもの。
しかし別に爆弾が欲しかったわけではなくて……
「取りに来て……くれる、かな」
誰もいない部屋で、ぽつりとつぶやくブラン。
彼はぎゅっと、手の中のものを握りしめた。
ブランがヘフテンの武器をとったのは、彼がもう一度此処に来るよう仕向けるため。
武器を一つ置き忘れたとなったら、多分取りに来てくれるだろう。
他のものをとることも考えたが、服飾では多分気づくし、困るだろう。
小銃は危険すぎるし、戦闘用の爆弾もなくしたとなれば焦るはず。
そう思った末に、ブランはこれを取ったのだった。
"また来てね"
そう一言言えれば、きっと彼はまた来てくれるだろう。
でもその一言を言えないのが、ブランだ。
それ故に、こんなややこしい行動に出てしまったのである。
でも……
本当に、取りに来てくれるだろうか?
ブランはそう思いながらそっと、彼の"忘れ物"を撫でたのだった。
***
その、翌日。
穏やかな昼下がりに、ヘフテンはブランのところに来た。
"僕、爆弾置き忘れていきませんでした?"なんて訊かれて、ブランはちょっとおかしそうに笑った。
「あったよ、これでしょ?」
そういいながらブランは自分が彼からこっそりとったそれを差し出す。
ヘフテンは"良かったですぅ"といってそれを受け取ろうとした。
しかし、ブランはそれを渡すのを少し躊躇っている様子だった。
それを見て、ヘフテンはそっと目を細める。
彼の行動の理由、意図は何となくわかった。
これを返したら、もう自分が来ないと思っているらしい、ということ。
だから返すのを渋っているのではないか、と。
そしてそれが可愛らしいとも思った。
「ブランさん」
ヘフテンはそう声をかける。
ブランはびく、と体を強張らせて顔を上げた。
そんな彼を見つめてにこりと微笑むと、ヘフテンはいった。
「また遊びに来てもいいですか?
お茶がおいしかったのでまた飲ませてくださいよぅ」
そういうヘフテン。
ブランは彼の言葉に大きく目を見開いた。
それから、ぱぁと表情を明るくする。
しかしそれを隠すように俯きながら、いった。
「っ、し、仕方ないなぁ……来てもいいよ!
また、淹れてあげるから……」
しょーがないなぁ、といいつつ彼は嬉しそうだ。
ヘフテンはそんな彼を見てくすくすと笑う。
そして"また遊びに行きますね"といって彼の頭を撫でてやったのだった。
―― 素直さがなくて… ――
(口で、また来てねっていえたら、良いのに。
でも僕は、そんなことできないから…)
(素直じゃない人には僕も慣れていますから…
大丈夫ですよ、また僕は遊びに行きますからね?)