ヘフテンさんとブランシュという珍しいペアでのお話です。
この二人のほのぼのしたやりとりが書きたかったのです…←
本当はもう少し色々話してほしかったな(笑)
*attention*
ヘフテンさんとブランシュのお話です
ちらっとロシャも
ほのぼのなお話です
ヘフテンさんと仲良くなってほしかった←
ブランは素直じゃないのです
ヘフテンさんの優しさが天使ならいいなって
とりあえずお世話かけますヘフテンさん(笑)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
薄暗い森の奥……
そこに佇む大きな屋敷。
ゆっくりとそこに近づいていく、鮮やかな金髪の少年……ヘフテン。
彼が一人で此処に来るのは、初めてだった。
「ペルさん居るかな……」
そう呟くヘフテン。
彼が此処に来たのは、彼の上官であるシュタウフェンベルクの弟であるペルを探しに来たから。
今日は、シュタウフェンベルクが仕事で不在。
一人でいるのも退屈だし、と彼は昔住んでいた屋敷に戻っていたのだった。
それを迎えに来たのである。
とはいえ、此処はある意味"敵陣"。
一人で来るというのは少しおっかない。
少し緊張して、少し警戒して、彼は此処に来た。
屋敷の前で立ち止まる。
入るか否か、悩んでいた時。
不意に開いたドアからぽんと何か……基、誰かが飛び出してきた。
「わ……っ」
腰の辺りにぶつかった思わぬ衝撃。
それにヘフテンは驚いた声を上げる。
そして自分にぶつかってきた影を見た。
一瞬ペルかと思った。
しかし、ぶつかってきた影はペルより更に小さい。
それを見てヘフテンはゆっくりと瞬きをした。
彼にぶつかってきた小さな影はヘフテンの方を見上げる。
小さな、黒髪の少年だ。
グレーの帽子を被っている。
ペルと同じように黒髪に黒い瞳……
影猫のメンバーか、と思う。
彼はすっと目を細めた。
そして険しい声色で言った。
「誰?」
そう問いかける声。
幼いながらになかなか迫力のある声色だ。
ヘフテンは幾度も瞬きをしてから、いった。
「わ……僕は、ヴェルナー・フォン・ヘフテン……
此処に来たことあるでしょう、シュタウフェンベルク大佐の副官です」
それを聞いて、少年は一瞬眉を寄せた。
そして、小さく呟くように言う。
「……貴方が」
貴方があの人のか、と呟く少年。
ふぅん、といった少年はヘフテンから離れた。
それを見て、ヘフテンはとりあえず彼に要件を伝えようとした。
「……ペルさんが、あそびに来てるかなと思って」
此処に来たんですよ、というヘフテン。
それを聞いて、少年はゆっくりと瞬きをして、いった。
「ペル?さっき来たけど……」
「あら、出掛けてるんですか」
そう呟くように言うヘフテン。
それを聞いて少年は小さく頷く。
それから、少し悩むような顔をしつつ、屋敷のドアを開けた。
「え?」
彼の行動にヘフテンは少し驚いた顔をする。
きょとんとしたように瞬きをする彼に、少年はいった。
「……僕は、ブランシュ。
皆、ブランって呼ぶよ」
「へ?」
いきなりの自己紹介にヘフテンは不思議そうな顔をする。
ブランと名乗った彼は、少し拗ねたような声色で言った。
「名乗らせたのに僕が名乗らないのは変でしょ。
……折角来たんなら、ちょっと休んでいけば。
遠かった、だろうし……」
どうぞ、というブラン。
それを聞いてヘフテンは目を輝かせた。
「わぁ、本当ですか?嬉しいですぅ」
純粋に、嬉しい。
初めて此処に来たわけだし……
てっきり自分を嫌っていると思っていた彼らが嫌ってはいないようで、ほっとしたのだった。
開かれたドア。
中に入っていくと、出掛けようとしていたらしい癖毛の少年がいた。
「あれ、誰か来たの?」
そう問いかける癖毛の少年。
それを見て、ヘフテンは言った。
「確か、ロシャさん……ですか」
「アンタか。誰が来たのかと思ったよ。
ペルとシャムなら出かけてるよ」
ロシャはそういう。
それを聞いて、ヘフテンは微笑みながら頷いた。
「えぇ、今そう聞いて、此処で休ませてもらうことに……」
「え?ブランが?」
ロシャはヘフテンの言葉に少し驚いたようだった。
何故それにそんなに驚いているのか、ヘフテンには理解出来なかったが……
ロシャはブランをちらとみる。
ブランは少し拗ねたようにぷいとそっぽを向いた。
そんな彼らの様子を見て、ロシャは小さく笑った。
「……ふぅん、珍しい」
ブランが"人間"を通すなんてねぇ?
そういうと、ロシャは屋敷から出ていった。
部屋を出ていくロシャを見送ると、ブランは小さく息を吐き出した。
そして、くいとヘフテンの服を引っ張る。
「こっち。客間なら、少し涼しいから……」
そういう彼。
ヘフテンは彼に引っ張られるままに大きな客間に入っていった。
勧められたソファに腰かけつつ、ヘフテンはブランに問いかけた。
「あの……良いんですか?」
「何が?」
いきなりどうしたの?
そう問いかけるブラン。
それを見て、ヘフテンはいった。
「一緒に居ても……
僕のこと、嫌いなんじゃないかな、って……」
少し躊躇いつつそういうヘフテン。
彼の発言にブランは少し驚いたような顔をした。
それから、視線を揺らす。
そして、溜息を吐き出すと、呟くような声で言った。
「……アンタの上官は、ノア兄様のことが嫌いみたいだから僕も嫌だけど……
でも、君個人のことは、嫌いじゃない、よ」
そう呟くように言うブラン。
ヘフテンはそれを聞いて瞬きをした。
それからふわりと笑みを浮かべる。
「ふふ、そうですか。じゃあ、仲良くしましょう?」
彼の言葉に今度はブランが驚いたような顔をした。
漆黒の瞳がぱちぱちと瞬く。
「仲良く……?」
小さく呟くブラン。
そんな彼を見て、ヘフテンはにこりと笑う。
そして小さく首を傾げつつ、言った。
「嫌ですか?」
僕と仲良くするのは、というヘフテン。
それを聞いてブランは視線を揺らすと、
「い、いや、じゃない……
とりあえず、お茶淹れてくるから……そこで座って待ってて」
ブランはそういってヘフテンから離れていく。
そんな彼の頬は、少し照れているように赤く染まっていた。
それを見て、ヘフテンはくすくすと笑う。
どうやらブランは、少し素直でない性格らしい。
「あ、僕も手伝いますよ?」
ヘフテンはそういってブランの隣に立つ。
ブランはそんな彼の方を見た。
それから、呟くような声で言う。
「……背、大きいね」
ポツリ、聞こえたその声にヘフテンは少し驚いた顔をした。
そして、嬉しそうに笑う。
「え?あはは、そんなこと言われたの、初めてですよ」
今まで誰かにそんなことを言われたことはない。
ヘフテンがそういうと、ブランはきょとんとした顔をした。
「え?十分大きいと思うんだけど……」
それでもいわれた事ないの?
そう問いかけるブランに、ヘフテンは微笑みつつ、言う。
「一緒に居る大佐が大きいですからね」
ヘフテンと一緒に居るシュタウフェンベルクはかなり長身だ。
だから、ヘフテンも小さく見えてしまうのだろう。
ただでさえ彼は童顔だし……
……自分でそんなことを思い始めると虚しいから、やめにしたのだけれど。
「ふぅん……確かに君の上官さんは大きかったなぁ」
そう思い返すブラン。
とりあえずのところは、お茶の支度をしよう。
そう思いながら、彼は二つ分のティーカップを並べる。
そして彼は目を細めた。
二人分のお茶の支度。
それが出来るのは、何だかうれしいと思って……――
―― 憧れていたもの ――
(心の奥では、憧れていたのかもしれない。
"友達"という存在に…)
(少し照れ臭そうに、でも何処か嬉しそうにしている彼。
その様子が、僕の大事な人の弟にもよく似ていて…)