大佐殿とカルセでの未来篇なお話です。
飛び級してもなお大佐殿とカルセは交流があるといいなぁとか…
相変わらず他人想いな大佐殿が書きたかっただけです←
*attention*
大佐殿とカルセのお話です
本家Laurentia!設定のお話です
未来篇のお話です
ほのぼのなお話です
ちらとシリアス
カルセは大佐殿を大切に思ってます
他人(基兄弟)おもいの大佐殿ならいいなと
また遊びに来てあげてください大佐殿←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
さわやかな風が吹き抜けていく、保健室。
そこで一人、仕事を続ける淡水色の髪の男性……カルセ。
彼の癖のある柔らかな髪を風が揺らしていく。
降り注ぐ陽射しは強い。
すっかり夏だな、と思いながら彼は藍色の瞳を細める。
この時期になると、熱中症になる生徒が多い。
特に、体育館での体育中だとか、長時間の死集会の時だとか。
室内だから安全だと思うらしい。
こまめに水分補給をするように、と伝えてやっているのだけれど……
なかなか患者が減らないのは、困りものだ。
「もう少し何か対策を考えるべきですかね……」
どうすれば良いでしょうかねぇ、と呟きつつ彼は溜息を一つ。
そして、ペンをくるりと回した。
と、その時。
ガラリ、とドアが開いた。
カルセははっとして崩していた体勢を直した。
今はまだ授業の時間。
もしかしてまた、誰か倒れでもしたのか。
それとも体調不良者、或いは怪我人か……
そう思って顔を上げたカルセだったが、目の前に立つ人物を見て酷く驚いたような顔をした。
それから、ふっと目を細めて、笑う。
「貴方でしたか」
驚きましたよ、とカルセは呟く。
そんな彼の言葉に来訪者……シュタウフェンベルクが微笑んだ。
「久しぶりに……遊びに来たくて。
今日は、兄さんたちが遅い日なんだ」
今時間良いか、とカルセは問いかける。
それを聞いてカルセはふっと笑って頷いた。
今は、別に仕事はない。
それに、久しぶりに彼に会えて良かったとも思っている。
それをカルセが伝えると、シュタウフェンベルクもほっとした顔をした。
そして、ややすまなそうな顔をしながら、いう。
「でも、いきなり来てしまって……迷惑では、なかったか……」
「気にしなくても良いですよ。
今日はそんなに立て込んでいる仕事もありませんし……
何より、久しぶりに貴方に会えてうれしいですよ」
そういいながら、カルセは彼に椅子を勧めた。
それに礼を言いながら、シュタウフェンベルクは椅子に座る。
カルセは"お茶を淹れますね"といってコンロにかけていた湯をポットに入れた。
「それにしても……」
紅茶の用意をしながら、彼はふっと息を吐き出した。
そして穏やかに微笑みながら、彼はいった。
「貴方が大学生とはね」
そういって、カルセは笑う。
そして彼はいれた紅茶のカップを彼に渡して、いった。
「飛び級すると聞いた時は驚きましたが、大学は楽しそうですね。
お兄さんたちと同じ学校で同級生ですしね」
貴方の表情を見ていればわかりますよ、と彼はいう。
その言葉にシュタウフェンベルクは幾度か瞬きをした後、嬉しそうな表情を浮かべた。
「楽しく、やってますよ。
学部は違うとはいえ、一般教養の授業では一緒になる時もあるし……」
今までは学年が違っていたから、同じ授業を受けることなどなかった。
だからこそ、嬉しいという想いは確かにある。
カルセはそんな彼の言葉にふわりと笑った。
それは何よりです、といいつつ彼は首を傾げる。
「でも、ペルはごねたんじゃありませんか?
貴方が大学に行くことに対して」
カルセの問いかけにシュタウフェンベルクは苦笑する。
そして、肩を竦めながら言った。
「かなり、拗ねてたな……
説得するのが大変だった」
思い出す、あの時の事。
拗ねて口をきかなくなった弟を宥めすかした。
早く帰れる時には早く帰って一緒に居るから。
そういってやれば、彼は漸く機嫌を直したのだっけ。
「ふふふ、そうでしょうねえ」
あの子は貴方たちが大好きですから。
そういって、カルセは笑った。
その言葉にシュタウフェンベルクも嬉しそうに表情をほころばせた。
「流石にペルが大学に行くのは無理だからな……
それでも、あそびに来ても良いとはいってあるんだ」
なかなかそういう暇もないみたいだけど、とシュタウフェンベルクは言う。
家での彼の様子を見るに、彼は彼で忙しい様子だ。
それは、そうだろう。
中学校と高校では、勝手も違う。
勉強だって難しくなるだろうし……
相変わらず部活はやっていないようだけれど、それでも帰りが自分や兄たちより遅いことの方が多い。
それを思ったとき、ふっとシュタウフェンベルクは目を細めた。
そして"カルセ先生"と静かな声で彼の名を呼んだ。
真剣な声色。
それを聞いてカルセは少しだけ驚いたような顔をした。
そして、小さく首を傾げる。
「どうしましたか?シュタウフェンベルク」
その問いかけに、シュタウフェンベルクは真っ直ぐカルセを見つめる。
そして、真剣な声で言った。
「ペルを……まもって、やってくれますか」
「え?」
思わぬ発言。
それを聞いてカルセは少し驚いた顔をする。
そしてすっと目を細めると、彼は問うた。
「……それは、どういう意味ですか?」
守ってやってくれとは、なんだか物騒だ。
何から守れというのだろうか?
そう言いたげなカルセの表情にシュタウフェンベルクも蒼の瞳を細める。
ふ、と息を吐き出しながら、彼はいった。
「あの人……フロムが、ペルに手を出すかもしれないから」
彼の発言にカルセは更に目を見開いた。
シュタウフェンベルクの発言。
それはきっと、冗談なんかではない。
ありうる、事態だ。
シュタウフェンベルクを辱め、弄んでいた教師。
そんな当人……シュタウフェンベルクが大学に行ってしまったから、その代わりに弟であるペルに手を出すかもしれない。
もしそうなってしまったときに、守ってやってほしい、と彼はいっているのだ。
それを聞いてカルセはふわりと微笑む。
そして、力強く頷いた。
「勿論……任せてください」
あの子は、私が守りますよ。
貴方がそう望むなら。
そういって、カルセはふわりと微笑む。
それを聞いてシュタウフェンベルクもほっとしたように頷いた。
「あぁ……あの子に、辛い想いはさせたくない。
でも、私の所為でその可能性があるから……」
そういいながら彼は少し辛そうな顔をする。
それが、一つ気がかりだった。
自分が、飛び級で大学に行くことに関して。
まるで、捨て置くようだった。
自分が蒔いた種。
それを処理することなく、弟を危険に置いてきたような気がしたのだ。
カルセは彼の発言に小さく溜息を吐き出した。
そして軽く彼の頭を小突いて、いう。
「貴方の所為ではないでしょう。
貴方は何も悪くないのですよ」
そういいながらカルセは彼の頭を撫でてやった。
その手のやさしさに幾度か瞬きをして、シュタウフェンベルクは俯いた。
少し涙をにじませつつ、"ありがとうございます"といった。
カルセはそんな彼の頭を優しく撫でてやりながら言った。
「何かあったら……
否、なくてもいつでも遊びに来なさい」
私はいつでも此処で待っていますよ。
そういって、カルセは微笑む。
それを聞いて、シュタウフェンベルクは小さく頷いた。
彼の頬をつぅっと一筋伝う、涙。
それをそっと撫でてやりながら、カルセは目を細めていたのだった。
―― 力となる存在 ――
(いつでも、守るから。いつでも力になるから。
例え、いる場所が変わったとしても…)
(いとおしい存在、彼を置いていってしまった気はした。
けれど、一人ではないから…)