「Bubble…」の続きなお話です。
ペルはマフラーないとそわそわしそうだな、というお話を書きたくて(笑)
ペルに甘い大佐殿が可愛いです←
*attention*
シュタウフェンベルク兄弟&ヘフテンさんのお話です
ほのぼのなお話です
「Bubble…」の続きなお話です
マフラー洗濯中のペルにゃ
落ち着かないペルを何とかしてあげようとするお兄様たち
そして大佐殿はペルに甘くあってほしい←
一緒にお買い物行ってあげてください(^q^)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
穏やかな空気に満ちる、屋敷の部屋。
そこで朝食をとるのは、シュタウフェンベルク家の兄弟と、クラウスの副官であるヘフテン。
食後のコーヒーを飲んでいるところで、席を離れていた長兄……ベルトルトが戻ってきた。
彼はひとり、ホットミルクを飲んでいる末弟……ペルに声をかけた。
「とりあえず洗濯したよ。
今日は天気もいいし、夕方までには乾くと思うけど……」
そういって微笑むベルトルト。
ペルはそんな彼を見て"ありがと"という。
「汚れたっていっても洗顔料の泡だろ?
大丈夫だってそんなしょんぼりした顔しなくても」
そういいながら、次兄……アレクサンダーが苦笑する。
ペルはむぅ、と唇を尖らせた。
いつもと少し違う見た目なペル。
その原因は、いつも身に付けている長いマフラーを身に付けていないことだった。
と、言うのも遡ること数十分。
クラウスが買ってきたという洗顔料でヘフテンと遊んだ後、泡だらけの口元にそのままマフラーを口元につけてしまったのだった。
事情を説明すれば、ベルトルトは苦笑まじりにそうか、といった。
そしてこうしてペルのマフラーを洗ってくれた次第である。
アレクサンダーの言う通り、汚れたといっても洗顔料。
クリームやらなんやらを付けてしまったわけではないのだから綺麗にはなる。
それに今日は天気も良いからすぐに乾くだろう。
だから、何ら心配はいらないのだけれど……――
大変なのは、ある意味そこからのようだった。
今日は兄たちもヘフテンも仕事が休み。
皆で家でゆっくり過ごせるね、という話を前からしていた。
そうして、一緒にのんびりしていたのだけれど……
「ペルさん?」
ヘフテンは傍にいるペルを見て不思議そうな顔をした。
緑の瞳がぱちぱちと瞬く。
ヘフテンが気にかけたのも無理はない。
ソファに腰かけたペルは何処か落ち着きがなかった。
「……なんか、変」
ペルは小さく呟く。
その手は彼の口元にあった。
いつもマフラーで口元を覆っているためだろう。
そうして口元を隠す何かがないために、落ち着かないようだ。
手で口を覆ったり、着ている服の襟もとに顔を埋めようとしたり……
何やらずっと、そわそわしている。
そんな彼の様子は、なんだか可愛らしくもある。
クラウスは暫し、口元の違和感を誤魔化すために奮闘する弟を見ていたが、
やがてそんな彼の様子が憐れになってきたようで、声をかけた。
「大丈夫か?ペル」
そんな兄の声かけに、ペルは少し困ったような顔を兄に向けた。
べつに、体の具合が悪いわけでも、マフラーがないといけないほど寒いわけでもないけれど……
「なんか変、なの」
落ち着かない、とペルは言う。
ふうと溜息を吐き出す彼を見て、クラウスは少し困ったような顔をした。
いつも身に付けているものがないと落ち着かないという感覚は、わからないでもない。
気持ちはわかるのだけれど……
「さっき干したばっかりだから流石にまだ乾いてはない、よな」
「だと思うよ」
ペルのマフラーを干して来たベルトルトが頷く。
だよな、と呟くクラウス。
アレクサンダーは暫し悩む顔をした後、ぽんっと手を打った。
「そうだよ、口元がすーすーするから落ち着かないんだろう?」
彼の言葉にペルは少し迷いつつ、こくり、と頷く。
それなら、とアレクサンダーは笑って、一度椅子から立ち上がる。
そして、何やら探しにいった。
「?何してる、の?アレクサンダー兄さん……」
「良いから待ってろって……あ、あった」
何かを見つけ出したアレクサンダーはペルにそれを差し出す。
そして笑顔で言った。
「これつけていればいいんじゃないかペル!」
そういいながら彼が差し出しているのは……
「マスク?」
「みたいですね」
クラウスとヘフテンはそう呟く。
アレクサンダーはそんな彼らに頷いて見せながら、言った。
「マスクなら、口元も鼻も隠れるだろ?
似たような状態になるんじゃないかな」
そういう彼。
ペルはなるほど、と納得したように頷いた。
そして小さな手でアレクサンダーからマスクを受け取って、つける。
……暫し、沈黙。
先程のように落ち着きなく動くことはなくなったが、ペルから発言はない。
「どう?ペル?」
ベルトルトはぼぅっと固まっているペルにそう問いかけた。
ペルは落ち着いた?と問いかける彼の方を見た。
「マスクで、大丈夫なのか?」
クラウスもそう問いかける。
ペルはそんなクラウスの方へ視線を向けつつ、マスクをしたまま、言った。
「……やっぱり、なんか違う」
ぽつり、とそういうペル。
声のくぐもり方は少し似ているけれど……
やはりしている本人からすると、感覚はまったく違うのだろう。
落ち着きのなさは改善されたが、それはどうやらいつもと違う感覚に戸惑っているかららしい。
「アレクサンダー兄さん、やっぱりペルはマフラーでないと落ち着かないみたいだ」
クラウスはそういう。
ペルはアレクサンダーがくれたマスクを外しつつ、しょぼんとした顔をする。
兄の思いやりは嬉しい。
優しいお兄ちゃんがいて良かったとは思うけれど……
やっぱり、落ち着かない。
「やっぱりダメかぁ」
アレクサンダーは苦笑する。
そうみたいだね、と頷きつつ、ベルトルトはペルに問いかけた。
「ペル、替えのマフラーは持ってないの??」
「うん……いつも、あれ。
落ち着く、から……つけてる、の」
こく、と頷くペル。
どうやら、予備などはもっていないらしい。
「なら、買いに行こうかペル。
流石にまったく同じものは売っていないかもしれないけれど……
こういうことだってありうるから、あった方がいいだろう?」
そう問いかけるクラウスにペルはぱっと顔を上げる。
良いの?と問いかける彼に、クラウスは小さく頷いた。
「新しいのを買いに行こう。
春になったら、マフラーは売らなくなってしまうし」
そういう彼。
ペルは嬉しそうに顔を輝かせる。
ヘフテンはそんな二人のやり取りを見て、小さく笑った。
「大佐はほんとにペルさんには甘いですねぇ……」
まぁ僕にも甘い気はしますけど、という言葉は心にしまいつつそういう。
クラウスは少しむくれたような顔をしつつ"甘やかしているわけでは……"と言い訳した。
そんな弟を見ながら、双子の兄たちも笑う。
そして、言った。
「せっかくみんないるんだし……
みんなで、街に買い物に出かけてみようか?
たまのお休みだし、こういうのもいいよね」
どう?とベルトルトが問いかける。
アレクサンダーは"良いな!"と笑い、ヘフテンとクラウスは微笑みながら頷いた。
ペルはそんな兄たちを見て、嬉しそうな顔をする。
「皆で、お出かけ……嬉しい」
嬉しそうにはにかんだペルは口元を手で覆う。
そんな彼の仕草は愛らしく、クラウスも破顔する。
「そうだな、皆で出かけるのは久しぶりだし……」
「行きたい……」
そう呟くペル。
じゃあ決まりだね、というアレクサンダーの言葉と一緒に、彼らは出かける支度を始めたのだった。
―― 落着けるモノ ――
(マフラーは、僕の大事な宝物だから。
ないとやっぱり、少し落ち着かないんだよ…)
(そわそわしている可愛い弟。
このまま見ていても良いけれど…何だか可哀想だからな)