「すべてを受け入れて」の続きで大佐殿とジェイドの絡みメインなお話です。
このシリーズでのやり取りも割と好きなので…←
とりあえず大佐殿色色すみません←
*attention*
大佐殿とジェイドの絡みメインのお話です
シリアスなお話です
「すべてを受け入れて」の続きなお話です
どうにか城に帰ってきた大佐殿
全てを明らかにされても混乱するだけの美人さん萌えるなって←
ヘフテンさんやペルも出てきます
大佐殿とりあえずいろいろすみません←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
そっと頬を頬をなでられる感触。
それを感じて、クラウスはゆっくりと目を開けた。
「う……」
差し込んできた眩しい光。
それに彼は目を細める。
彼の呻き声に気づいたのか、傍にいたらしい緑髪の男性……ジェイドが覗き込んできた。
「シュタウフェンベルク、目が覚めましたか」
大丈夫ですか?
そう問いかける声。
クラウスは瞬きをした。
「ジェイド……?私、は……」
掠れた声を漏らす。
記憶が、混乱した。
此処は?
いつもの、教会じゃないのか。
自分は、いつの間に帰ってきて……――
そこまで思ったところで、ふと思い出す。
ああ、そうだ。
自分は、城には帰れないんだ。
自分は、人を殺したから。
罪人だから。
そう思うのに、ジェイドは穏やかに微笑む。
そして優しく彼の頭をなでながら、言った。
「もう大丈夫ですよ。
此処は、安全ですからね」
もう大丈夫。
まるで、酷い目に遭った仲間を保護するかのようにジェイドは言う。
その言葉にクラウスは怪訝そうな顔をする。
「……どうし、て……?」
どういうことなのか。
そう問いかけるクラウスにジェイドも眉を寄せる。
そして、小さく呟くような声で言った。
「どうして?それは、僕も疑問ですよ」
「……?どういう、ことなんだ」
さっぱり状況が掴めない。
クラウスがそういうと、ジェイドはそんな彼の黒髪を指先で撫でながら言った。
「貴方が姿を消した理由が、わからないんです。
いったいどういうことなんですか?
誰かにさらわれたとか、そんなことでは?」
彼の問いかけにクラウスは首を振る。
それから目を伏せた。
本当はあまり話したくない。
けれど話さないわけにはいかないからと、クラウスは言った。
「私は……人を、殺めたから」
そういう彼。
ジェイドはそれを聞いて驚いた顔をする。
「え?」
「爆弾を……仕掛け、て」
彼は、語る。
自分が起こした事件を。
もしかしたらジェイドは詳しく知らないのかもしれない、そう思って。
しかし。
「……シュタウフェンベルク、それは勘違いです。
そんな事件は、起こっていませんよ」
ジェイドはきっぱりとそういった。
その言葉にクラウスは驚いた顔をする。
「え……」
「爆発なんて、起きていない。
そんな事件があったら、騒ぎになっています」
一体どうしてそんなことを?
そういうジェイドは、嘘をついているようには見えない。
「う、そ……」
だって、フォルは言っていた。
城下で騒ぎになっていると。
あれは、一体?
クラウスが小さくそう呟くと、ジェイドは顔を歪めた。
そして、きっぱりという。
「そちらが嘘です。
……おそらく、魔術か何かの所為でしょう」
あの堕天使がどう言う気質か。
それは、ジェイドもよく知っている。
クラウスはジェイドの言葉に視線を揺らす。
まだ今一つ信じ切れていない様子の彼を見つめ、ジェイドは穏やかに微笑んだ。
「嘘じゃ、ないですよ。
大丈夫ですよ……大丈夫です」
もう貴方を脅かすものはいない。
慣れたこの場所に"帰って"おいでと、ジェイドは言う。
「っ……ふ……」
クラウスは掠れた泣き声を漏らす。
まだ、信じられない。
完全に記憶が混乱して、どうしていいのかもわからない。
ジェイドはただただ、そんな彼の背を優しく撫でてやっていたのだった……――
***
それから少しして、ジェイドは一度部屋の外に出た。
クラウスも少し落ち着いた様子だったし、彼を介抱するにも必要なものはたくさんある。
一度外に出なければならなかった。
廊下に出たジェイドはそこに来た人物を見て翡翠の瞳を細めた。
そして、いつもより幾分低い声で小さく呟くような声でいった。
「……何をしに来たんですが」
そう問いかける医師の声に、そこにいた人物は目を細めた。
そして彼……フロムは不機嫌そうな声で言った。
「部下の見舞いに来て何が悪い?」
そういいながら首を傾げるフロム。
ジェイドはそんな彼を見つめて、口元に笑みをうかべる。
そして呟くような声で言った。
「おや、見舞いという言葉を知っていましたか」
部下を見舞うのは確かに当然ですね、とジェイドは言う。
その"見舞い"という言葉に含みを持たせて。
フロムもそれを感じ取ったのだろう。
一層不服そうな顔をして、言った。
「生憎ですが、今は面会謝絶です。
貴方に関しては、ですけどね」
きっぱりとそういうジェイド。
遠回し、という言葉さえ消えたその声色と言葉に、フロムはむしろ面白いとでも言うように目を細めた。
「ほぅ?」
それはどういう意味かね?
そういいながら首を傾げるフロム。
ジェイドはそんな彼を鋭い表情で睨みながら、言った。
「貴方が彼にした仕打ちを、僕は知っています。
彼を貴方がどれくらい傷つけたか、彼がそれにどれくらい苦しんでいたか」
これ以上は言いませんが。
そういいながらジェイドはフロムに背を向ける。
そして、低い声で言った。
「患者に余計な負担をかけたくないんですよ。
彼が望む人間以外との面会は暫く謝絶します。
……わかったら早いところ仕事に戻ってください」
僕が此処を開けることはありませんよ。
きっぱりとそういう彼。
フロムは暫しそんな彼の背を暫し睨みつけていたが、やがて"出直そう"といい、帰っていった。
ジェイドはふっと息を吐き出す。
そして、何からしようか、と悩んだ顔をする。
と、その時。
「ジェイド……さん」
「お医者様……」
聞こえた声。
それにジェイドはふり向く。
そこにいたのは心配そうな顔をした、クラウスの大切な、副官と弟。
「ヘフテン、ペル……」
ジェイドは彼らの名を呼ぶ。
ヘフテンはそんなジェイドを見つめながら、言った。
「大佐は?」
「もう目を覚ましましたよ。
少し休ませてからですが……会いたいですか」
そう問いかけるジェイドの声に、ヘフテンはこくりと頷く。
「はい」
「大丈夫……?」
隣にいた漆黒の髪の少年……ペルも問いかける。
心配そうな彼に微笑みかけて、ジェイドは言った。
「えぇ……外傷は、あまりありません。
ただ……」
途中で、言葉を切った。
そんな彼を見て、ヘフテンとペルは不安そうな顔をする。
「ただ?」
「何やら、記憶の混乱があるみたいで。
自分が爆弾で人を殺した、と話しているんです」
ジェイドはそういう。
その言葉に、ヘフテンは大きく目を見開いた。
「!爆弾で……?」
彼の、オリジナル。
その記憶を知るヘフテンは顔を歪める。
「……森の、なかで、ひとつ、壊れた家、あった」
ペルが、ジェイドの話を聞きながらそういう。
そして、顔を歪めつつ小さく呟いた。
「……御主人が、何かしたのかも」
あのあたりは、ペルの主人である堕天使の領域(テリトリー)。
それは、ペルも良く知っている事だった。
だから彼が何かしいたのかもしれない、と言う。
ジェイドは彼の言葉にしっかり頷いた。
「あり得ますね。
……でも、状況の分析よりも……とりあえずのところは、体と心の回復が先ですね。
軽くでも食事をとらせないと……酷い栄養失調状態ですし」
このままだと、本当に死んでしまうかもしれない。
ジェイドは、そういった。
ヘフテンとペルもその危機には理解出来ているようで、彼らは項垂れながら頷いた。
「……そうですね」
今は、とりあえず彼の回復を待つのが先だ。
ヘフテンがそう呟くと、ジェイドはせめて彼を慰めるような穏やかな口調で言った。
「彼がある程度元気になって会えそうなら、連絡しますよ」
その言葉にヘフテンは頷く。
そして自分が落ち込んでいてはいけないというように笑いながら、言った。
「ありがとうございます」
「待ってる」
ペルもそういって頷いた。
そして、ヘフテンと一緒に歩いていく。
ジェイドはその背を見送りながら、小さく息を吐き出した。
どれくらいで、彼は回復するだろう。
そう、心配しながら……――
―― Care and… ――
(僕に出来るのは、どれくらいのことでしょうか。
別段何が出来るわけでもない僕自身の無力さが悔しくて、苦しくて…)
(混乱した記憶。
どれが夢で、どれが現実?今自分がいるのは何所…?)