ワルキューレコンビのお話です。
ツイッターのお題を使ったお話です…
こういう話もいいな、と←
*attention*
ワルキューレコンビのお話です
本家Laurentia!設定でのお話です
ほのぼのなお話です
ちょろっとシリアスちっくなお話です
色々迷惑をかけてないかと不安になる大佐殿と、
全然そんなことはないって言うヘフテンさんとを書きたくて…←
自分だけの特権っていいですよね(^q^)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
放課を告げるチャイムが響く、夏の夕方。
夏至も過ぎ、少しずつ秋の訪れを感じ始めたこの時期は、
少しずつ、少しずつ、日が暮れるのも早くなり始めていた。
そんな放課後。
通学路をならんで歩いていくのは、黒髪の少年と金髪の少年。
背の高い黒髪の彼……シュタウフェンベルクは、隣を歩く友人、ヘフテンを見た。
彼の鞄はいつもより少しだけ膨らんでいる。
今日は、授業日程の関係上、少し教科書が多かったからだろう。
シュタウフェンベルクはそうおもいつつ、少しすまなそうな顔をした。
片腕を事故でなくしている彼は、自分で重たい鞄を持つことができない。
だから、ヘフテンが彼の分の教科書もいれて持っていってくれるのだ。
そうしてくれるのはありがたいと思う。
重いものを持つと腕が疲れてしまうのは事実だし、
万が一転んだりなどしたときに手がつけないと言う事態は怖い。
けれど……
今日のように教科書がやたら多くなってしまったり、
体操着等かさばるものが必要だったときは、
ヘフテンに申し訳ないと感じるのだった。
「いつもすまないな、ヘフテン」
シュタウフェンベルクがそう詫びると、ヘフテンは少し驚いたように顔をあげた。
そして小さく首をかしげて、言う。
「?何がですか、大佐?」
唐突に謝られて、いったいどうして謝られたのかわからない、という表情だ。
シュタウフェンベルクはキョトンとしている彼を見て、視線を彷徨わせる。
そして小さく溜め息を吐き出すと、いった。
「いつも、そうして持たせてしまうから……」
いつも、すまないと思っていた。
色々な面で、ヘフテンに負担をかけてしまっていると。
いつもいつも彼らは隣同士の席。
無論席替えと言うものは存在するのだけれど、
シュタウフェンベルクとヘフテンは暗黙の了解という奴で、いつも隣同士。
ノートテイクをするのも、体育等の時に着替えを手伝うのも、彼だ。
シュタウフェンベルクはそうして手伝ってくれることに感謝している。
いつでも隣にいてくれる彼のことは大切に思うし、
一緒にいたり話したりしていて楽しいとも思う。
けれど、それと同時……――
多少、不安でもあった。
いつも、ヘフテンには必要以上の負担をかけてしまっている。
他者より重い鞄も、移動教室の時に運ぶ荷物の量も、
ノートだって二冊分とらないといけないわけだし、
体育の授業の時にシュタウフェンベルクと一緒に遅刻という事態は多々ある。
そうして彼に負担をかけてしまうことを申し訳なく思う。
どう恩返しすれば良いだろうと思うけれど、
体を不自由にしている自分では出来ることといっても限られている。
「すまない。いつも、ヘフテンには迷惑をかけてばかりだから……」
シュタウフェンベルクはそういって、小さく俯く。
口に出してみたら、いっそう強くそう感じた。
申し訳ないとおもう。
彼に負担をかけたくないとも。
でも、その一方で……
彼から、離れたくないとも思うのだ。
自分の世話なんて焼かなくても良いからと言えば、彼は自分から解放される。
でもそれは必然、彼と一緒に過ごす時間も少なくなるわけで、
少なからずそれを嫌だと思っている自分がいる。
解放してやりたい。
でも、手放したくない。
そんな我儘な感情に、シュタウフェンベルクは辟易する。
表情を暗くしたシュタウフェンベルクを見て、ヘフテンはまばたきをする。
そして小さく溜め息を吐き出すと、ちょっと背伸びをして、
シュタウフェンベルクの額を軽く小突いた。
「痛っ」
「なぁに馬鹿なこと考えてるんですか大佐ぁ」
もう、と唇を尖らせつつ、ヘフテンは言う。
シュタウフェンベルクはまばたきを繰り返しつつ、彼を見つめた。
ヘフテンは少し拗ねたような、でもそれと同時にどこか嬉しそうな顔をしている。
「僕は、大佐のお手伝いがしたくていつも傍にいるんですよ?
だってそうしたら、長い時間大佐と一緒にいられるでしょう?」
そういって、ヘフテンは首をかしげる。
彼の言葉を聞いてシュタウフェンベルクは大きく目を見開いた。
その思いは、シュタウフェンベルクの想いと同じだった。
少しでも長い時間、一緒にいたい。
少しでも長い時間……――
「迷惑だなんて思ってませんし、寧ろ大佐が僕以外に頼んだり、
他の人に頼んだりしたら……
僕、ちょっと寂しいし、悲しいですよ」
そういって、ヘフテンは苦笑した。
その表情に嘘偽りはなさそうだし、彼の声は優しく暖かく……――
「ヘフテン……」
シュタウフェンベルクが小さく名前を呼ぶと、ヘフテンはにっこりと微笑んだ。
そして、鞄を抱え直すと、片方の手でシュタウフェンベルクの手を握った。
「え……」
彼の行動に、シュタウフェンベルクは大きく目を見開く。
ヘフテンはにこっと笑うと、彼にいった。
「お礼というなら、一緒に手を繋いで帰ってください、大佐。
片方しかない大佐の手……僕が独占しても良いですか?」
そんな、彼の言葉。
自分の手より少し小さなヘフテンの手がシュタウフェンベルクの手を握る。
暖かく、握っていると安心できる手……
「それで、良いのか?」
シュタウフェンベルクがそう問いかけると、ヘフテンは微笑んで頷く。
そして彼の手をぎゅっと握りながら、いった。
「もちろん。
だってこれも、僕の特権でしょう?」
これで十分なんですよ。
そういいながら、ヘフテンはシュタウフェンベルクの手を握って歩いていく。
穏やかな夕日。
コンクリートの照り返しも少し弱くなっている。
そんな帰り道を、二人は手を繋いで歩いていったのだった。
―― 手をつないで、微笑んだら ――
(そう出来るのも僕の特権
大好きな彼と一緒にいられることが、何よりの幸福)
(迷惑をかけてしまって申し訳ないと思う。
でも、彼も私が思っているのと同じことを考えてくれていて)