ワルキューレコンビ&ペルのお話です。
ヘフテンさんとペルの絡みがやりたくなりまして…
無感情系男子のペルと感情がよく顔に出るヘフテンさんの絡みも好きです←
*attention*
ワルキューレコンビ&ペルのお話です
ほのぼのなお話です
メインはヘフテンさんとペルの絡みです
ある意味対照的な二人
ペルは無感情に見えますが他人の感情には敏感です
ペルの言葉に改めて大佐殿のことが好きだなぁって思うヘフテンさんであってほしい←
そして直球で感情ぶつけられて照れる大佐殿であってほしい←おい
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
よく晴れた夏の日の午後。
ディアロ城の中庭に、金髪の少年は一人座り込んでいた。
陽射しが強く、外での訓練は辛かろう。
自分の近くで剣を振るっているまだ幼い騎士たちを見ながら、
金髪の彼……ヘフテンは溜め息を吐き出す。
彼は別に訓練のために此処にいるわけではない。
彼はそもそもの話此処の……ディアロ城の騎士ではない。
何故彼が此処にいるのかと言えば、答えは単純。
人を待っているのである。
誰を待っているかは誰も問わない。
彼がこうしておとなしく誰かを待っているとなると、答えはひとつ。
彼の上官である黒髪の少年だ。
「はぁあ……大佐、まだ戻って来ないなぁ……」
そういいながらヘフテンはもうひとつ溜め息を吐き出した。
シュタウフェンベルクは現在会議で不在。
昼間からこうしていないというのは珍しいことなのだが、ないわけではない。
そういった時にヘフテンがつれていってもらえることは少なくて、
大体こうして外で待機を命じられるか、他の仕事を任されるかのどちらかだった。
部屋での書類仕事は任されていたのだが、それは全て終えてしまった。
他にやることはないだろうかと探してみたが、特には無さそうで、
ヘフテンは完全手持ち無沙汰状態でこうして中庭にいるのだった。
会議室はこの中庭からも見える。
会議が終わったら、出てくるのが見えるだろう。
そうしたらすぐに彼のところにいけば良い。
そう思っていたのだけれど……
会議が長引いているらしく、なかなか会議室のドアは開かない。
こうして中庭の木陰に座っているヘフテンだったが、
まぁ、当然飽きてもくるし、何より大好きなシュタウフェンベルクと別々にいるのが寂しい。
早く終わらないかな、と思いながらヘフテンが中庭の方へ視線を投げた時……
訓練をしている騎士たちの間を縫うようにして歩いてくるひとつの影を見つけた。
それはヘフテンよりもなお小さく、長い髪が風にふわふわと揺れていた。
まっすぐに歩いているようだが騎士たちを避けて歩いている分、
幾らかおぼつかない足取りだ。
ヘフテンはそれが誰であるかに気がついた。
艶やかな長い黒髪。
この季節には暑すぎるだろうという格好。
彼はここ最近で城に出入りするようになった、少年……――
「ペルさん!」
ヘフテンは歩いてくる彼に声をかけた。
自分の名を呼ばれて、ペルは顔をあげる。
元々反応が少ない彼なのだが、ヘフテンに気がつくと軽く手をあげて応えて見せた。
そして小走りでヘフテンのところへ向かおうとした。
……のだが。
「あ」
ヘフテンがみている前で、彼はべしゃりと転んだ。
一瞬何が起きたかわからずぽかんとしたヘフテンだったが、
すぐにはっとするとペルに駆け寄った。
「だ、大丈夫ですかペルさん?」
駆け寄ったヘフテンが屈むと同時、ペルはむくりと体を起こした。
そしてこっくりと頷きながら、いう。
「……平気」
大丈夫、と彼はいった。
そのまま立ち上がって服についた汚れをはたく。
表情は変わっていないが、心なしか顔が赤くなっている気がした。
「急いで来ることなかったのに……
お久しぶりです、ペルさん」
ヘフテンはにっこりと笑ってペルにいった。
彼と会話をしたのは数回という付き合いではあるが、
何処か幼く頼りないペルの世話をこうして焼いてやることが多いのだった。
「シュペーア大臣に用事があって来たんですか?」
ヘフテンはペルにそう問いかける。
彼が此処に来るのは、シュペーアに会いにくるためなのだということは、
彼もペル自身から聞いている。
文字を書くことが出来なかったペルに、シュペーアが教えてやったのだとか。
ヘフテンの問いかけにペルはこくりと頷いた。
"でも"と付け足すようにいう。
「今日は暇か、って聞いてない。
だから、たぶんシュペーア、お仕事」
だと思う、とペルはいう。
そうですかぁ、とヘフテンは頷いた。
そして小さく溜め息を吐き出しながら、いう。
「僕も、大佐がお仕事なので此処で終わるの待ってるんです」
「この前と、一緒……だね」
ペルは小さく呟くようにいった。
この前も、こうして二人で互いの待ち人を待ったっけ、とヘフテンも思い出す。
「そうですね。
ペルさんも、いつもこうしてシュペーア大臣のお仕事が終わるの、
一人で待ってるんですか?」
ヘフテンはそう問いかける。
この城の人間ではないペルが誰か他の騎士と一緒にいるというのは考えづらかったのだ。
しかしその予想は外れて、ペルは少し悩むような顔をした後、
"一人の時も、ある"と答えた。
「でも、一人じゃないときも、ある……
お医者様と、一緒にいるときも、ある」
「お医者……あ、ジェイドさんか」
なるほど、とヘフテンは頷いた。
彼は面倒見も良いし、何より大人だ。
甘えん坊らしい彼が一緒にいるのは納得できるな、と思ったのである。
……もっとも。
ペルがジェイドになついているというか、彼と一緒にいるのには、
もう少し別の理由があるのだけれど……
と、その時。
「あ!」
ヘフテンが明るい声をあげた。
先程からちらちらと視線を向けていた会議室のドアが開いたのだ。
どうやら会議が終わったらしい。
かけだそうとしたヘフテンだったが、すぐにその足は止まった。
ペルが、置き去りになるわけで。
しかしそんなヘフテンの思考を読んだのだろう。
ペルは"大丈夫だよ"という。
「僕も、シュペーア探しに、いく……
よかった、ね?シュタウフェンベルク、仕事終わって。
ヘフテン、すごく、明るい顔……」
今みてて、わかった。
ペルはそういう。
ヘフテンは彼の言葉に幾度かまばたきをすると、嬉しそうに笑った。
「あはは、みてたらわかりますか?」
「わかる。ヘフテン、シュタウフェンベルクのこと、好き」
みてればわかる、とペルはいう。
ヘフテンはそんな彼に"正解ですよ"と笑ってみせる。
そしてぽんぽんっと軽くペルの頭を撫でてやると、
シュタウフェンベルクがいるであろう会議室の方へ駆け出していった。
ペルはその後ろ姿を見送ると小さく息を吐き出す。
そしてぎゅっとマフラーを握りながら、呟いた。
「嬉しい……嬉しい」
その感情の名前を繰り返す。
感情表現がほとんど出来ないペルだが、その感情はわかる。
―― ヘフテンくらい素直に表すことが、できたらな。
シュペーアにも、伝わるだろう。
自分が、貴方といられて嬉しいのだということが。
上手くそれが伝わっている、だろうか?
そんなことを思いながら、ペルはヘフテンにいった通り、
シュペーアを探しに向かったのだった。
***
「大佐!」
シュタウフェンベルクが会議室から出ると同時。
ヘフテンが駆け寄ってきた。
シュタウフェンベルクはそれをみて少し驚いた顔をする。
「ヘフテン、早いな……」
「ふふ、中庭からみてたら終わったのがわかったので!」
飛んできちゃいました、といって笑う彼。
シュタウフェンベルクはそんな彼を見つめて目を細めると、小さく首をかしげた。
「どうした?なにか、良いことでもあったか?」
「え?」
彼の問いかけにヘフテンはキョトンとした顔をする。
シュタウフェンベルクは少し言葉に悩んだ後、いった。
「いや、何だか嬉しそうな顔をしているから……」
シュタウフェンベルクにも、それがわかったらしい。
ヘフテンはいっそう表情を綻ばせつつ、いった。
「いや、やっぱり僕大佐のことが好きだなって」
「なっ……!?」
いきなりの告白にシュタウフェンベルクは大きく目を見開いた。
みるみるうちに顔が真っ赤に染まる。
ヘフテンは彼をみてクスクスと笑った。
「大佐は分かりやすいですねぇ」
「う、うるさい!ヘフテンに言われたくないぞ、それは……!」
お前も分かりやすい!とシュタウフェンベルクはいうが、
それは正直、ヘフテンにとっては嬉しい言葉だ。
分かりやすい。
わかってくれている。
それが、嬉しい。
そう思いつつヘフテンはシュタウフェンベルクの腕に絡み付いて、
"会議、お疲れさまでした"と笑顔で労いの言葉を口にする。
それを聞いたシュタウフェンベルクは溜め息を吐き出しながら、
微かに笑みを浮かべて、"ありがとう"と返したのだった。
―― 感情表現 ――
(感情が分かりやすいというのは誉め言葉です
だってそれだけ貴方が僕のことをみてくれているって証拠でしょう?)
(僕は彼のように表情に感情を出すことは出来ない
それでも、"君"には伝わっている、かな…)