ワルキューレコンビのお話です。
映画中でのヘフテンさんかわいいって思ってたら浮かんだネタです←おい
*attention*
ワルキューレコンビのお話です
学パロ(本家Laurentia!)設定でのお話です
ほのぼのなお話です
映画見ててふと台詞をいってほしくなって…
こう言うお二人の関係が好きです←
子犬なヘフテンさん可愛いです(^q^)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
―― いったい、どうしたものか……
黒髪の少年、シュタウフェンベルクはそう思いつつ、自分の前に目を向けた。
そこにいるのは、彼より幾分年上だろうと思われる少年たち。
大人というには幼すぎ、子供というには変な不純さを纏った……
シュタウフェンベルクが抱いたのはそんな感想。
シュタウフェンベルクより若干背が低い程度の彼らは、
にやにやと笑いながら彼をみている。
……俗っぽい言い方をすれば"絡まれている"のである。
「つれもいないんだろう?」
「こんな時間にアンタみたいな綺麗な格好した子が一人でいるのは危ないぜ?」
そんな彼らの言葉にシュタウフェンベルクは呆れたように溜め息を吐く。
金をせびりたいのか、或いは……シュタウフェンベルク自身が目的か。
決して女性的な風貌ではないけれど、シュタウフェンベルクは綺麗な容姿をしている。
背が高く、線は細い。
家柄の良さを思わせる上品さも、人を惹き付けるらしい。
挙げ句に片腕片目を悪くしているために満足な抵抗も出来ないと踏む人間は多い。
しかし……
シュタウフェンベルクは溜め息混じりにいった。
「連れはいる。まだ来ていないだけだ」
さっきからこうして追い払っている。
事実、連れはいる。
本当に、まだ来ていないだけなのだ。
そもそも、シュタウフェンベルクが何もないのに、
こんな夕暮れ時に街中に出てくることなどない。
普段ならば家で兄たちと一緒に食事をしている頃だ。
しかし今日は友人であるヘフテンと出掛ける約束をしていた。
少し街中を回ってから食事にいくというだけのプランではあったが、
基本的に学校の放課後は道草を食わない彼らにとって、
こうして一緒に出掛けられる時間というのは楽しみなもので。
問題が何だったかと言えば、早め早めに行動するシュタウフェンベルクの癖。
ヘフテンを待たせたくない、もっというなら彼をこう言う目に遭わせたくなくて、
待ち合わせ時間よりかなり早く此処に来たのだが……
逆にシュタウフェンベルクが目をつけられた訳だった。
どうやって逃げようか。
そもそも、此処にヘフテンが来たら余計状況は悪化しないか?
シュタウフェンベルクがそんなことを考えていた時、
少年の一人が彼の華奢な腕をつかんだ。
「まぁ、そんなこと言わないでいってみようぜ?
俺たち良い店知ってんだよ……」
そういって男がぐいとシュタウフェンベルクの腕を引っ張った時。
不意にその少年の腕をつかむもうひとつの手。
それに驚いたように一同が視線を向ければ……
「!ヘフテン!」
そう。
そこにいたのは、シュタウフェンベルクの待ち人、ヘフテン。
彼は険しい顔をして男たちを睨んでいる。
「あ?何だ、こいつ……」
「つれってコイツ?」
そういって少年たちは笑う。
案の定、ヘフテンのことを恐れて離れたりはしない。
ヘフテンはシュタウフェンベルクより背も低く、可愛らしい顔立ちをしている。
一緒に巻き込まれるのが関の山だろう、と思った。
しかし。
「大佐に触るな!」
噛みつくようにヘフテンはいった。
緑の瞳で相手を睨む。
その表情は真剣そのもので、シュタウフェンベルクも驚いた。
そんな彼をみて男たちは一瞬怯んだ様子を見せた。
そして顔を見合わせると、興ざめだというように肩を竦めていってしまった。
ヘフテンはふうっと息を吐き出す。
そして、シュタウフェンベルクを見た。
「すみません、大佐。遅くなっちゃって」
遅くなって、といってもまだ待ち合わせの時間までかなりある。
ヘフテンも、シュタウフェンベルクと同じ思考だったのだろう。
シュタウフェンベルクは彼に向かって首を振って見せつつ、いった。
「いや、大丈夫だ」
「……なにも、されてませんね?」
ヘフテンはシュタウフェンベルクを見上げながら、問いかける。
なにもされていないか、というのは先程の少年たちにだろう。
「大丈夫だ。
さっき腕を捕まれただけだ」
それだけ、と彼は答える。
それを聞いてヘフテンは小さく頷く。
そしてシュタウフェンベルクの手を掴むと歩きだした。
シュタウフェンベルクは彼の行動に少し驚きつつ、彼について歩き出した。
その道中、会話は少ない。
いつもならばヘフテンが喋りかけてきて、
そうしているまにシュタウフェンベルクも話を始めているのに……
ヘフテンは何やら険しい顔をしていた。
……怒っている、のだろうか。
「ヘフテン」
シュタウフェンベルクは彼の名を呼んだ。
その声に振り向くヘフテン。
やはりその表情は、何処か怒っているようだった。
「……すまなかった、な。あんな手間を、かけて」
「何で大佐がそれを謝るんですか」
そういうと同時、ヘフテンの表情が変わった。
怒ったような顔から、泣き出しそうな顔に。
それをみて、シュタウフェンベルクは驚いた顔をする。
「え、ヘフテン……?」
「僕が悪いじゃないですかぁ……
もっと早くいけば、大佐が嫌な目に遭うことなかったのに……」
そういうヘフテンはやはり涙声だ。
心なしか、目も潤んでいる。
ヘフテンはシュタウフェンベルクを大切に思っている。
だから、彼があんな目に遭っていたことがショックだったし、
シュタウフェンベルクも嫌な思いをしただろうと思うと落ち込んだ。
もう少し早くいけば。
もう少し早く彼と合流出来ていたら。
そう思わずにはいられない。
シュタウフェンベルクはそんな彼をみて少し困ったような顔をする。
確かに嫌な思いはしたが、それはヘフテンのせいではない。
それにそもそも、彼があれだけ早く来てくれたから、
大きな被害もなくこうして一緒にいられるに……
そう思いつつ、シュタウフェンベルクはヘフテンの頭に手をおいた。
そのままわしゃ、と彼の金髪を撫でる。
驚いたように顔をあげた彼をみてぎこちなく微笑むと、
シュタウフェンベルクは彼にいった。
「お前のせいじゃないだろう、ヘフテン……
それに、嬉しかった……
助けてくれて、ありがとう」
そう。
さっき助けてくれたのは、ヘフテンだ。
彼が来なければ、もう少し嫌な目に遭わされていたことだろう。
ヘフテンは彼の言葉に目を丸くした。
そして幾度も瞬いた後、嬉しそうな顔をした。
そしてぎゅっとシュタウフェンベルクの手を握った。
「僕でよければ、いつでも守りますから……」
絶対に、とヘフテンはいう。
その表情は真剣そのもの。
シュタウフェンベルクを守る。
その思いを確かに抱いている瞳……
さっきの彼は、勇ましかった。
体こそ小さくても、相手が複数でも、怯むことなく……
さながら、番犬のようでもあって。
「そう言われると……照れるな」
そういいつつ、シュタウフェンベルクは頬を赤く染める。
いつでも守る。
いつでも側にいる。
そういってもらえるのは、なんだか照れるのだ。
ヘフテンはそんな彼をみて微笑むと、軽くキスをした。
路上でほんの一瞬交わしたキス。
照れ臭そうに顔を背けるシュタウフェンベルクをみて、
ヘフテンはふわりと笑ったのだった。
―― 小さな番犬 ――
(私を守るという彼の瞳は真剣で
優しくも頼もしい、愛おしい彼…)
(大切な彼。
貴方のことは何があっても僕が守りますから…)