ふとやらせていただきたいな、と思った
ナハトさんのお子さま、ルーデルさんとリスタ兄さんとのお話です!
ちょっと忠実のルーデルさんとリスタが境遇が似てる(?)ので…
出番が少ないリスタさんと絡んでいただきたかったのです…←
*attention*
ルーデルさんとリスタのSSです
ほのぼの時々シリアス、的なお話です
リスタは騎士団時代に事故で足を悪くしているので…
ポジティブな励まし(?)をするルーデルさんを書いてみたくて…←おい
基本的にああいう明るい発想の方と話すのがリスタは好きです(笑)
相変わらず妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
―― 綺麗な青空が広がる冬の日。
冷えたこの冬の空気のなか、長い銀髪を背に流した青年は、
白い大理石の廊下をゆっくり歩いていた。
時折訪れる、かつて自分も勤めていた騎士団の城。
今日は特に仕事という訳ではなかったのだが、
自分の弟やかつての友人に会おうと思ってこうして遊びに来たのだった。
今はちょうど昼の休憩時間なのか、中庭にもあまり人影はない。
いつもならば賑やかなその場所が静かなのは、何だか物寂しいものがある。
銀髪の青年……リスタは周囲を見渡して、銀灰色の瞳を細めた。
幾度もこうしてこの城を訪れている彼ではあるが、
何度来ても、懐かしいと言う思いが沸いてくる。
騎士団をやめてからそんなに時間は経っていないはずなのに。
そんなことを考えると、ふうっとリスタは溜め息を吐き出した。
そして、額に流れてきた長い銀色の髪をそっとかき上げる。
「さて、と……」
こうして感傷に浸っていても仕方ないしな、とリスタは小さく苦笑した。
とりあえず弟に会いにいくかな、と思い、一歩踏み出した時。
「い、ってて……」
ずき、と足が痛んで、リスタは小さく呻き声をあげた。
そのまま反射的にその場にへたりこむ。
冬の冷たい空気の中では昔負った足の傷が痛む。
皮膚を裂いただけの傷ではなく、骨まで至っていたせいだろう。
基本的には歩くことに支障がないのだが、
最近忙しくてやたら歩き回ったり走り回ったりしていたツケが回ったのだろう。
少しおとなしく座っていれば大丈夫だろう。
普通に生活していても時々、そういうこともあったから大分慣れている。
もしそれでも駄目ならば通信機なり魔術なりで、
ジェイドに連絡を入れれば大丈夫だろう。
そう思い、動けるようになるまで……と、
座ったままでいると、不意に声が降ってきた。
「ちょ、ちょっと……大丈夫か?」
覗き込んでいたのは金髪の青年だった。
心配そうな顔をしている。
青年は座り込んでいるリスタの傍に膝をついた。
リスタは金髪の少年を見上げて、言う。
「あ、悪い……平気だ」
「体調悪いのか?」
心配そうにその金髪の青年は訊ねてくる。
恐らく、痛みのせいで顔色も悪く見えたのだろう。
でも、別に体調が悪い訳ではない。
いや、とリスタは首を振る。
そして、軽く自分の右足に触れた。
「ちょっと、昔にやった怪我のせいでなー……いてて」
「怪我?」
ぱちぱち、と金髪の彼はまばたきをする。
そして、彼は視線をリスタの右足に視線を移した。
「うん。昔にやった傷なんだけど……
あぁ、お前イリュジアの騎士じゃないのか……」
制服を見て、リスタはそう思う。
自分が騎士団を退団した理由を知らないのは、まだ幼い騎士か他国の騎士くらいだ。
彼が異国の騎士だと言うのならば、納得だ。
リスタの言葉を聞いて、幾度か金髪の青年はまばたきをした後、
あぁ!と大きなこえをあげた。
「あ、あぁ!自己紹介してなかった!俺、ルーデル!」
「カルフィナの騎士、かな……?
俺はリスタ。リスタ・ロゼル。
風隼の統率官、知ってるか?彼奴の兄貴だ」
よろしくな、とリスタは微笑む。
それを聞いてぽんっとルーデルは手を叩いた。
「あ、なるほど!道理で似てると思った!」
「お、クオのこと知ってたか」
「俺たちとは仕事の内容も全然違うみたいだから直接話したこととかないけどな!」
彼はにっと笑ってそういった。
リスタはそんな彼を見てそっか、といって笑う。
確かにリスタの弟……クオンの部隊は他の部隊と多くかかわったりはしない。
「でも、あれ?リスタ、はこの騎士団の騎士じゃないんだよな?」
制服違うし、とルーデルは言う。
彼の言う通り、リスタが着ている制服はディアロ城の騎士の制服ににているが、
少しデザインが異なっている。
リスタはルーデルの問いかけにこくり、と頷いた。
「あぁ。もう騎士じゃないんだよ、俺。
今は、この国の魔獣調査機関に属してる。
この怪我したときに怪我をしてなぁ……
素早さを要求される騎士の仕事は出来なくなったってわけだ」
ぽんと右足を軽く叩いて、リスタは溜め息を吐き出した。
まだ少し痛むその足を擦りながら、彼は呟くように言う。
「なっさけねぇよなぁ……
足の怪我で騎士をやめざるを得なくなって」
そういってリスタは自嘲気味な表情を浮かべた。
騎士をやめることになったのは、仕方がない事故だった。
仲間を、部下を守るためには仕方のない事故だったのだ。
そんな風にして怪我をしたことを後悔はしていない。
けれど。
その怪我のせいで弟に要らない苦労を押し付けてしまった気がする。
傷の痛みよりも、そちらの方が彼の心を絞めているのだ。
と、リスタははっとした顔をした。
ほぼ初対面の人間に何を話しているんだ、自分は。
そんなことを思って、彼はルーデルの方を見て笑う。
そして、慌てたように詫びた。
「あ、う……ごめん、いきなりこんな暗いこといってごめ……」
「別にいいじゃねぇか!」
不意にルーデルは大きな声でいった。
リスタはその言葉に"へ?"と首をかしげる。
そんな彼を見ると、ルーデルはきっぱりと言い切った。
「片足怪我したぐらいでなんだ!
足なんか片方なくてもスキーとか山登りとかもできなくてつらくても、
そんなことはどうでもいいんだよ!!出撃して闘えるんだからな!!」
彼の言葉に一瞬リスタは一瞬ぽかんとした。
冗談かと思ったのだが……
どうやら、ルーデルは大真面目なようだ。
「へ、は?出撃……」
「俺は出来てるからな!」
出撃できればそれで良い!とルーデルは言う。
彼いわく。
片足に怪我をしようが、片足を失おうが、出撃して戦えればいい、と。
リスタは彼の経歴を、どんな人間なのかを知らない。
けれど、彼が相当の戦闘好きであることは理解した。
「……?リスタ?」
リスタがきょとんとしているのをみて、ルーデルもきょとんとした。
え?何?と首をかしげたルーデルを見て、リスタはくくくっと笑った。
「っ、ははっ面白いな、お前……」
今まで見たことねぇタイプだけどさ、といってリスタは笑う。
自分のよく知っている騎士たちとは少し違う。
この場面で元気出せ、と励ましてくる人間は多々見れど、
こんな励ましかたをされたのは、初めてだ。
でも、少しも不快な気はしなかった。
むしろ、なんだかおかしくて、楽しい。
おかしそうに笑うリスタを見て、ルーデルはぱちぱちとまばたきをした。
そして、首をかしげつつ、リスタに言う。
「お、おもしろいかぁ?
俺は思うようにいってるだけなんだけどな!
あんたも騎士の仕事続けたいなら出来るようにやればいいじゃねぇか!」
にっと笑って、ルーデルはリスタに言う。
リスタはそれを聞くと、ふっと笑った。
「あはは……そうだなぁ。
でも、俺は余計なことすると主治医に怒られちまうからほどほどにしとくよ」
そういって、リスタは軽く肩を竦めた。
ルーデルはそれを見て、にっと笑う。
そしてふと思い出したような顔をして、いった。
「あ、そういえば……大丈夫か?まだ痛い?」
「え、あぁ……大丈夫だ。大分マシになった」
おとなしく座って暫く話しているうちに痛みも大分薄れていた。
そろそろいくか、と手をつけば、ルーデルが手を差し伸べる。
首をかしげつつ、彼は言う。
「立てるか?」
「ん、大丈夫……さんきゅ」
ルーデルの手をとって立ち上がったリスタは微笑んで礼を言う。
そしてズボンについた砂を払いながら、ルーデルに言った。
「さて、俺はクオのとこにいくよ。それか、ジェイドのとこ」
「あ、やばい!俺もガーデルマンに呼ばれてたんだったっ!」
どうやら、ルーデルも用事があったらしい。
それを今の今まですっかり忘れていたようだったが。
付き合わせてごめんよ、とリスタが言えば笑顔で首を振る彼。
「俺は大丈夫!遅刻したりいなくなったりするの、いつものことだしな!
ガーデルマンも探してるかもだけど……ま、許してくれるだろ!」
「おいおい、それでいいのかよ……」
大変だなお前のパートナーは、とリスタは苦笑する。
それにもたいして気を悪くした様子なくにこにこしていた彼だが、
ふと思い出したように、リスタにいった。
「あ、足痛くなったら無理しないようにしろよな?
俺の相棒も軍医だから、何かあったら声かけてくれても大丈夫だし!」
「あはは、ありがと。
お前とはまたゆっくり話してみたいよ、ルーデル」
じゃあな、といって笑ってリスタはゆっくり歩き出す。
またなー、と手を振る明るい金髪の青年に一度手を振り返して。
彼は彼で、彼の相棒のところへいくといって、駆け出していく。
「面白い奴も増えたなぁ、此処……」
そう呟いたリスタは楽しそうに微笑んで、
ゆっくりゆっくり大切な弟の部屋へと向かっていった。
―― Positive! ――
(出来ることを出来るようにやればいいじゃないか!
俺は、自分の好きなことが出来るからそれでいい!)
(そんなポジティブな彼と話すのは楽しくて
あぁ、俺も出来ることを出来るように頑張ってみるよ)