久々の美少女天使コラボのSSです。
ふと、フィアとソルティちゃんの関係というか、
フィアのソルティちゃんに対する態度は独特だな、と思いまして…←
*attention*
美少女天使コラボのSSです
ほのぼの?っぽいお話です
たぶん、家族ネタです
二人ともちょっと特殊な家族構成?なペアだな、と思いまして…
アントレ君やメンゲレさんが大好きなソルティちゃんが愛しいです…
フィアはそんな無邪気なソルティちゃんの言葉に救われるだろうな、と妄想した結果←おい
相変わらず妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
穏やかな日の光が射し込む、午後の休憩室。
食堂でもあるその場所に、今いる騎士は多くない。
比較的静かなその場所に、綺麗な歌声が響いていた。
ひとつのテーブルに座る、幼い少女と一人の騎士。
二人の口からは甘く、綺麗な歌声が紡ぎ出されていく。
透き通った高い声。
それに重なる、少し幼さの残る声。
どちらも美しく、聴いたものは一瞬心地よさげな顔をする。
柔らかい旋律。
穏やかな声色。
まさしく"天使の歌"である。
―― もっとも。
その歌を歌っているのは両方ともまさしく天使なのだから、
その言葉は少しも間違っていない、のだけれど。
一曲歌い終えると、亜麻色の髪の少年は穏やかに微笑んだ。
そして一緒のテーブルで歌っていた、少女の頭を優しく撫でる。
「上手になりましたね、ソルティ様」
「えへへ、アントレといっぱい練習したんだよ!」
得意気に微笑む、金髪碧眼の少女……ソルティ。
彼女を見て微笑むは、亜麻色の髪の少年……フィア。
フィアに教えてもらった歌を、ソルティは覚えて歌っているのだ。
今は此処にいない、片割れとも一緒に練習をして。
そうして歌を覚える理由が"父上さまにも聴いてほしいから"というのが、
また健気で、可愛らしいとフィアは思う。
元々やや不器用で扱いは下手だが子供は嫌いではないし、
寧ろソルティにかわいい声で"フィアお姉ちゃん"と慕われるのは、
くすぐったくもなんだか満更でもない思いなのだ。
だから、仕事がなくて彼女が所在なさげにしていると、
こうしてついつい構ってしまう節がある。
歌を教えたり、一緒におやつを食べたり、お喋りをしたり……
明るく無邪気で、ちょっと悪戯好きな彼女。
時にメイドや他の騎士たちにちょっとした悪戯を仕掛けているときもあって、
フィアはそれをみるたび、或いは自分がその悪戯にかけられるたび、
"もう、ソルティ様は……"と少し呆れたような声をあげつつも、
何処か楽しそうだったりもするのだった。
暫しそうして歌を歌っていた二人だったが、
一息ついたところでソルティがいった。
「そろそろアントレも授業終わる頃かなぁ?」
ソルティは草鹿の講義室がある方へ視線を投げた。
現在、ソルティの双子の片割れ……アントレは彼の父親と一緒に草鹿の棟にいる。
今ごろ、午後の授業を受けている時間なのだ。
ソルティの、待ち遠しそうなその表情。
用意してもらったおやつも半分、きちんとハンカチにつつんでとってある。
フィアはそれを見てサファイアの瞳を細めて、彼女に言った。
「ソルティ様はアントレのことが本当に大好きなんですね」
「うん!あたしたちいつも一緒だもん!」
そういって、ソルティは嬉しそうに笑う。
そして、ふと疑問に思ったような顔をして、いった。
「フィアお姉ちゃんは、兄弟いるの?」
思わぬ質問にフィアは少し驚いた顔をした。
「え?!ん……んー……
いる、ようないないような……」
フィアとしては非常に答えづらい質問だ。
一応、実兄はいる。
けれど、それを兄と認めたくないという思いはあるし、
でも現在は一応休戦中で全力拒否するようなものでもないし……
ソルティが若干不安げな顔をしているのに気がついた。
フィアが悩む顔をしたから、何かまずい質問をしたかと思ったのだろう。
フィアは慌てて、ソルティに問い返す。
「え、っと……何で、そんなことを?」
「え?うん、フィアお姉ちゃんがお姉ちゃんらしいって言うか……
お世話じょーず?っていうのかな。
だから、弟とか妹とかいるのかなぁ、って」
彼女の疑問は、そっちだったらしい。
なるほど、というようにフィアは頷いた。
だったら、答えは簡単だ。
「年下の兄弟はいませんよ。
それは、単純に俺の友人に手のかかる子供っぽい騎士が多いからでしょう。
必然、面倒を見るのも得意になってきます」
「あははっ、そうなんだ!」
ソルティはおかしそうに笑う。
まだまだ幼い彼女にとっては、フィアが子供っぽいとする騎士だって大人に見えるだろう。
それなのにフィアが子供扱いするからおかしい、といったところか。
無邪気に笑う彼女を見て微笑むと、フィアはふと窓の外を見た。
そこに、見慣れた"彼"の姿がある。
「家族……兄弟、と強いて言うなら、彼奴……ですかね」
フィアはそういいながら、遠目に見えた黒髪の青年を指差した。
部下に剣の指導をしている、雪狼の統率官……――
ソルティはそちらを見て、"なるほど!"と笑う。
「ルカさん?」
「えぇ。彼奴が、俺の家族……ようなものですから」
血は繋がっていないけれど、とフィアは言う。
ソルティはそれを聞くと明るく笑って、いった。
「確かに、ちょっと似てるね、ルカさんとフィアお姉ちゃん!」
「え?似てる?」
フィアは彼女の言葉に怪訝そうな顔をした。
少なくとも、容姿は少しも似てはいない。
フィアが先程いった通り従兄ではあるが血は繋がっていないし、
性格も……似てるか?というのが、フィアとしては正直な思いだ。
でも、ソルティは笑顔のままに"似てるよ!"という。
「雰囲気?がちょっと似てる気がするよ!
あと、優しいところも!」
素直な、彼女の表情と言葉に、フィアは微笑みを浮かべた。
「そう、ですか……だったら、ちょっと嬉しいです」
本当の家族はほとんどいないフィアにとって、ルカはかけがえのない家族で。
そんな彼と血が繋がっていないと知ったとき、ショックも受けた。
でも、今のソルティの言葉で救われる。
"似てる"というのだ。自分と彼が。
―― もしかしたら。
フィアは無邪気に笑う金髪の少女を見つめ、目を細める。
彼女たちもある意味で特殊な生まれの子達だから。
だからこそ……――
少し、"形が違う"家族であるフィアとルカも、家族同士だといってくれたのだろうか。
考えすぎか?そう思いつつも……
ソルティの言葉が嬉しかったのは事実で。
「?フィアお姉ちゃん?」
ソルティの声が、うでのなかで聞こえた。
少しだけ驚いたような、困惑したような声。
「!ごめんなさい、ソルティ様!」
フィアは、反射的にソルティを抱き締めていた。
ありがとう、という意味を込めて。
でも、さすがに驚いただろうと慌てて詫びる。
けれど、ソルティは照れ臭そうに笑っていた。
"本当のお姉ちゃんみたいで嬉しいな"なんていいながら。
その言葉に続ける言葉にフィアが悩んでいると。
不意にソルティが弾かれたように立ち上がった。
「あ、アントレ帰ってきた!」
近づいてくる魔力に彼女は声をあげる。
ほどなくして開いたドアから入ってくる、金髪の少年。
彼はソルティの姿を見るとまっすぐに歩み寄ってくる。
「お帰りアントレ!」
「ただいま、ソルティ」
そういって微笑みあう双子を見つめて、フィアは微笑んだ。
"本当に仲のよい兄妹だな"と、ほほえましく思いながら……――
―― 家族の、かたち ――
(大事だって、大切だって思っていたら家族のかたちなんて関係ない
あたしはアントレのことも父上様のことも大好きだもん!)
(そう無邪気に微笑む幼い天使に救われる
嗚呼、そうだ。俺にとっての家族は……――)