話題:好きだった人

春が来て。

もうすぐ桜が咲く。

彼とは一回も行くことのなかったお花見。

ほんとは行きたかったなぁって。

当時も今も。

振り返るとね。

あたしが行きたいって思ってた時。

あなたは彼女と一緒にお花見に行って過ごしていて。

あたしの知らない時間を過ごしていて。

あたし、春が苦しい。

たぶん、春だけじゃないけど。


ずっと感じていたことだけど。

あなたを思い出す時。

必ずセットで彼女がついてくるの。

いやでも。

自分と二人の楽しい思い出とかを懐かしんでいても。

どうしても。

彼女との思い出と比べようとする自分がいる。

彼女はああだったのに、自分はなんで、って。

当たり前のことなのにね。

当たり前のことなのに、それでもあたしはやっぱり悲しくなってしまう。

あなたを思い出すのが苦しい。

思い出すと惨めになる。

どんなに素敵な思い出も。

あの子は悪くないのに。

あの子の顔が思い浮かんで。

その思い出をぐしゃぐしゃにしたくなる。

あの子は悪くないから、やっぱりあたしはあなたを憎むしかないのかな。

憎む、とは違うけど。

あたし、あなたと過ごしてきた時間を全て否定したくなる時があるんだ。

あなたが好きで、でもなかなか付き合ってくれなくて、あたしは寂しさと不安を紛らわすためにあなたが好きだと言ってくれた時期に浮気?したこともある。

あたしだってあなたを責める権利はないよ。

自分だけ被害者だ、なんて言わない。

ただ、あなたのこと。

本当に本当に好きだったのに。

大事だった思い出が全部。

あの子の顔と、あの子の言葉と、あの子へのあなたの言葉でもみくちゃにされて。

あたしを真っ黒にしていくの。

あなたを忘れるために何回か、他の人と関係も持った。

自分もあなたと同じような人間に落ちることでしかあなたを許せなかった。

でも、あなたを忘れることなんかできなくて。

もう他に好きな人ができるまで、あたしはあなたという檻に閉じ込められるのかな。

好きだった分、一緒にいた分。

追い詰められる。

時間が経てば経つほど。

あたしにはあなたと過ごす楽しい今が、遠くなるほど。

全部が思い出になればなるほど。

自分の価値を否定されて。

ああ、早くあなたを忘れたい。

結局こうなるんだ。

前の人と同じ。

あたし、きっとあなたをいつか憎んでしまう。

大嫌いになってしまう。

遠くに行けば行くほど。

自分が変わっていくのが怖い。

あたしの好きってなんだったんだろう。