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少女は言ったのだ。
生い茂る緑を通る
燦々とした日を浴びながら
少女は言ったのだ。
『どうして君は行ってしまうの?』
それはね、
やって来るからなのだ。
あの暖色に染まる人肌恋しい季節がやって来るからなのだ。
少女はまた問いかけた。
『どうして泣いてるの?』
鳴いている、の
間違いではないだろうか。
死ぬまで自分を叫び続ける。
君に見つけて欲しくて。
君にいつでも求められたくて。
抜け殻さえもを
宝にしてくれよ、と。
蝉の鳴き声が、泣き声がいつやむのかは誰も気づかないのだった。
ー
あの日、瞼の裏側で