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2023.4.19 22:21 [Wed]

虎杖が思い出す事はなかった。
時計を見ると、19時を過ぎていた。大きな溜め息をつきながら項垂れている宿儺の隣で、虎杖は横になりながら聞く。
「…俺、なんか忘れてたりする?」
声が少し掠れている。
「…なんで普通に話しかける」
「いや…」言葉につまりながらも虎杖は続ける。
「何か理由あるんだろ。お前が、あんな…その、しんどそうな顔するなんてよ」
宿儺は、眉をひそめて虎杖を横目で見た。
「お前に言っても無意味だ」
髪をきながら頭を抱える。虎杖は「いてて」と腰の痛みを庇いながら上体を起こす。
近くに散らばっている服を引き寄せ膝に乗せる。
「俺に関係ある事なんだろ?とりあえず言ってみろって。協力するから」
身を乗り出して言う虎杖に宿儺は考える。実際、手詰まりだった。
かくなる上は、本人に協力をあおる他ないと思えた。必要なのは手がかり。僅かでも良いから進展が必要だった。
しかし、今までもそうであったように、全てを話す訳にはいかない。
聞いて、思い出さない方が良いと考えを翻す可能性が十分あるからであり、2人の関係性を考えれば当然であった。
宿儺は言葉を慎重に選び語った。
「俺とオマエはこの世界より前に会った事がある。オマエは俺を呪い、オマエも呪われた。その呪いを解きたい。その為にはオマエが記憶を取り戻さなければならん」
話している最中、虎杖の顔が呆けていくのが目に入っていたので、これは駄目だなと感じる。
時間を無駄にしたと、立とうとした時、虎杖は「うーん」と唸った。
「呪いか。そりゃ解かないとまずいわな」
「は?」
「よっしゃ、分かった。俺、記憶を取り戻せるように頑張るよ」
「おい」
「前の世って前世ってやつ?俺、どんな奴だったの?」
「おい、待て。…何で信じられる」
虎杖はそう聞かれ、目をぱちくりする。
「や、だってお前、冗談言うタイプじゃないし。それにさ、頼られるの嬉しんだよ」
嬉しそうに答える虎杖に宿儺は唖然とする。こいつは正気かと。先程の事を忘れたのだろうかと呆れる。
「なぁなぁ、俺らってどういう関係だったの?」
虎杖はコートを羽織りながら聞く。宿儺は説明を少し考える。関係性は言うまでもなく険悪そのもの。
互いに疎ましく感じていたし、最期は道ずれに俺を殺した。と、言う訳にはいかない。
「…常に一緒にいた」
絞りだした答えだった。虎杖は常にか、と顎に手を当てて考え始める。宿儺が自分の事を小僧と呼ぶ事があるのを思い出す。
虎杖は宿儺に名前を呼ばれた事がない。小さい頃からたまにそう呼ばれる事があり、その呼び方が関係するのではないかと思った。
「んー…多分だけど、兄弟ではない気がする」
合ってはいるが、自信がないようで語尾に疑問符が付いている。
手の位置を額に変え、頭を抱える様にして考え込んでいる。まるでクイズ感覚になっているようだった。
「友達…」
呟くが、先程までの行為を思い出し首を傾げる。顔を上げると宿儺が横目で見ている。
期待はしていないが、聞くだけ聞くという顔である。
意を決して、恐る恐る一つの答えを口にする。
「……恋人同士だったとか?」
虎杖は、静かな一室がより静まったのを肌で感じた。
宿儺が露骨に嫌そうな顔をしているのを見て「あ、違うな」と思うのだった。




週末、二人は仙台から東京へと新幹線で1時間半かけて向かった。
「全然雪降ってないな、東京!ってか人、めっちゃ多っ!」
駅を出た虎杖は、物珍しそうに行きかう人並みを見ている。
「仙台の比じゃないな、宿儺!」
「はしゃぐな、うっとうしい」
コートに手を突っ込み後ろを歩く宿儺は、はぁ、とため息をつく。仙台よりかは気温が高いがそれでも春手前の季節、息が白い。
「爺ちゃんへの土産、何にしようかな」
「おい、目的を忘れてないか、オマエ」
刺すような視線を向けられた虎杖は、振り返り、「分かってるって」と笑う。その姿は旅行気分であるのは一目瞭然だった。
「じゃ、まずどこから回る?」
東京行きを提案したのは虎杖からであった。あの後、もう少しだけ宿儺は情報を小出しにした。
主に過ごしたのが東京である事。虎杖はそれを聞いた途端、「じゃあ行こうぜ東京!」と言った。
「行った事のある所を見て回ろう。何か手掛かりになるかもよ」
「視覚か」
宿儺は、アリかもしれないと思った。視覚だけではない、場の空気や匂いを体感させてみるのは悪くない案だと考えた。
実際、先程自分が行った行為も似たようなものであった。
「良いだろう、いつ行く?」
虎杖の顔がパッと明るくなる。
「よしきた!じゃあ、今週末の土日!俺、すぐに新幹線のチケット取るよ。えーとスマホは、玄関だわ」
そう言いながら立ち上がると、身体の痛みなど、とうに忘れたかのように小走りで部屋を出て行った。
残された宿儺は、今までにない事の速さに少し呆気に取られていた。さながら、ようやく時計の針が動き始めたかのようだった。
「すっげ、ここテレビで見た事ある店じゃん」
まず向かったのは渋谷だった。人込みの中を歩く。宿儺は前を歩く虎杖を静かに観察する。
虎杖は気になる店を覗いたり入ったりと浮足立っている。どう見ても観光客でしかない。歩道橋に上り、街中を一望してみる。
都会の街並みが視界一杯に広がる。
宿儺はかつて、ここで大量の人間を殺した事を思い起こす。更地になった場所で虎杖は崩れ落ちて泣いた。
その様を笑ったものだと懐かしく感じる。
また、絶望と怒りに染まったあの顔を見てみたいと感じた。
「良い景色だけど、住むのは無理だなぁ、俺」
虎杖は、呑気な感想を漏らす。宿儺は内心、舌打ちをする。
「次だ」
その後も、任務で向かった先、仲間達と出歩いた町や店など様々回ってみた。
だが、特段、何かを思い出す素振りは見えなかった。
次の移動場所を考えていた宿儺は考える。前の世、虎杖とは常に視界を共有していた訳では無い。
心当たりのある場所も尽きようとしていた。一つを除いて。
「なぁ、これどこ向かってんの」
場所は東京郊外を抜けた所だった。都会から離れた自然豊かな山道を歩く。
正直、宿儺は存在するかどうか不明慮だった。だが、実際そこを目にした途端、確信に変わる。
今回、東京に来たのはこれも目的の一つだった。
「ここだ」
「うおっ、何だここ」
大きく立派な門がそびえる。立て看板には東京都立専門学校の文字が仰々しく書かれている。
門は固く閉ざされ、囲いがあって中は正確には見えないが、歴史ある建物が少し見え隠れしている。
当然、外部の者は入れないのでその外観を眺めるに留める。
「学校?」
虎杖は小首を傾げている。
その横で宿儺は、内心安堵していた。間違いなくこの学校は呪術高専である。
という事は、この世界には呪い、そして呪術は存在すると。ずっとこの世界の構造が謎だった。前の世との違い、それを知る術をずっと逸していた。呪力のない身体、呪いに遭遇した事もなく呪術師に会った事さえなかった。
この世界は、元の世界をベースにあると悟った。それが安堵の理由であった。
もう少し、情報が欲しいと思う。
ザワリと風が吹く。冷たい風だが、どこか情緒に染み渡るような気がした。
ふと、横の虎杖に目を向けると、宿儺は目をみはった。
虎杖の頬に涙が一筋流れていた。泣いている事にすぐには気付かなかった虎杖は、「あれ?」と呟き、袖で涙をぬぐった。
「どうかしたか?」
平坦な声で聞く。
「ん…、なんだろ。よく分かんないけど、すっげぇ懐かしい感じがした…気がする」
記憶の糸を手繰り寄せようと虎杖は建物を見つめる。
宿儺にとってここは本命の場所だった。少し揺らぎが見えたのは、ここが最期にいた場所だからかと思い至った。
結局、虎杖は記憶を思い起こす事はなかった。それでも手応えは確かに感じた。
その後も、任務で向かった先、仲間達と出歩いた町や店など様々回ってみた。
だが、特段、高専以上の手応えを感じる場所はなく、何かを思い出す素振りは見えなかった。
前の世、虎杖とは常に視界を共有していた訳では無い。心当たりのある場所も尽きようとしていた。
「ここは?」
虎杖は見上げる。
「廃ビルだ」
5階建で人気のないビルが不穏な空気を立ち込めている。
宿儺はずかずかと中に入っていく。
「えっ、入って良いの?」
虎杖は疑問を呈しながら後に続く。2階に続く外階段を上り中へ入るドアに手をかけると、建付けの悪い扉が開いた。
「お、開いてる。廃ビルとはいえ不用心だな」
内部は、窓が密閉されている為か、外の音をほとんど拾わない。ところどころ汚れていて、以前入っていた業者の荷物が置きっぱなしになっている部屋もある。二人はくまなく歩く。
「俺、ここで何やってたの」
「任務で一度来た事がある場所だ」
「任務、ねぇ」
「五感を研ぎ澄ませてみろ」
虎杖は唸りながら集中してみるが、やがて首を傾げる。
一室に入ると、マネキンがたくさん置いてあるのが目に入った。
「服飾系の会社だったのかな」
マネキンを触りながら虎杖が言う。その様子を見て、宿儺は無理だなと肩を落とす。
「もう良い、帰るぞ」
宿儺はくるりと背を向けると出入口へと歩を進めた。瞬間、背後で虎杖の息を飲む音が聞こえた。
「宿儺っ!後ろ!」
響き渡る声、振り向いた宿儺の目の前に異形の存在が迫っていた。大きく開かれた口が宿儺を噛みつこうとした寸前、素早く横に避けた。床に倒れてもその姿から目を離さない。異形は意味を成さない音のような声をもらしている。
その姿は、間違いなく呪霊だった。
「大丈夫か!」
虎杖がかけよってくる。
「何だこいつ…!」
恐れているというよりかは、警戒しているようだった。
今まで視認できなかったのに、ここにきて視認できるのは、自分達が死に近い状況だからかと察した。
見立てでは等級は、せいぜい3級程度。だが、丸腰の一般人には危険な状態である事は明確だった。
呪霊は二人を見ていて、今にもまた飛び掛かりそうだった。
どう切り抜けるか思考を巡らせていると、出入口にいた呪霊がいきなり衝撃音と共に一室の奥へと吹き飛んだ。
何事かと驚く二人。渇いた靴音を立てながら、一人の男が悠然と入ってきた。その姿に宿儺は目をみはった。
「あらら、人いたの」
男は飄々として二人を見た。奥の呪霊が、鈍い声を上げながら起き上がろうとしている。
「ああ、ごめんね。今、祓うから」
男が素早く手を振るうと、呪力が衝撃波のように飛び、呪霊へとぶつかった。そして塵となり焼失した。
男はふぅと一息ついた後、振り向いた。
「駄目だよ、不法侵入は。最悪、死んじゃうからね」
目をぱちくりさせている虎杖の横で宿儺は、スッと立ち上がり男と向き合った。
「五条悟…」
名を口にされ、五条は虚を突かれた声を出した。
「僕の事知ってる一般人は珍しいね。どっかで会った事あるっけ?」
顎に手を当て、宿儺をまじまじと観察するように身を前に出す。
目隠しで表情は読めないが、少しの警戒と明確な興味を持たれているのは感じた。
虎杖を横目で見るが、五条を見てもピンとくるものはないようだった。スゲーと感想をもらしてるだけであった。
呪術師に会ったら聞きたい事があった。宿儺は口を開く。
「両面宿儺を知っているか?」
「りょうめん…?何ソレ」
とぼけている様子はない、本気で知らないようだった。この世界と元居た世界の違いを改めて理解する。
元の世界と違うもの、自分達二人の関係、そして生前の自身の存在がない事だった。
この世界では、千年前に宿儺は存在していなかった。その事実が重くのしかかる。
「宿儺…?」
虎杖がどうしたと見る。
「もうここに用はない、帰るぞ」
そう言い、宿儺は五条の横をすり抜けると、一室を出て行く。
五条は特に何も言わず引き止めず見送っている。
虎杖も慌てて後を追う。
最中、五条をちらりと見る。一瞬、心がざわついた気がした。だが、すぐに宿儺の元に走って行った。


近くのカフェで2人は休憩する事にした。
窓際の席で横並びに並んで座っている。虎杖は頼んだドリンクのストローから口を離し言った。
「さっきの目隠しの人知り合い?五条って言ったっけ」
宿儺は、自身のドリンクに浮かぶ氷をストローで突きながら口を開く。
「ああ。それより、ああいうのを見たのは初めてか?」
「化け物の事?んー、あんなデカいのは初めてかな。東京は色々すげぇな」
宿儺は虎杖を見る。驚きと非難を込めて。
「何で今まで黙ってた」
「や、ちっさい頃から見えてはいたんだけどさ、何か危害を加えてくる訳でもないし、それに…」
「それに?」
語気の強い宿儺に対し、少し言い辛そうに虎杖は答える。
「…オマエを怖がらせたくないなー…って…いう」
宿儺は露骨に不愉快な顔をし、正面を向き直ると長い溜息をついた。
機嫌を悪くさせた事に気まずさを感じ、話題を変える意味も込めて虎杖は聞く。
「あのさ、リョウメ…なんとかってなに?」
「俺の事だ」
ドリンクを口に含みながら、横目で虎杖を見る。まるでピンときていないという顔をしている。
もはや、落胆の色を見せるのも億劫だった。
宿儺は、ここまでで得た情報を脳裏に巡らせる。この世界に呪術という概念がある事が分かった。
五条は想定外も想定外だったが、ただでさえ遭遇しにくい呪術師に遭遇したのは大きかった。
ならば、絶対に呪力を取り戻したい。宿儺の瞳が暗く光る。手のひらを見つめ、かつてあった呪力の感触に想いを馳せた。
ふと、考えがよぎる。虎杖は、実は呪いが視認できていた。とすれば、呪力がある。もしかしたら術式さえもが。
全て、無自覚だが、虎杖が呪力をせき止めている可能性があるのでは?虎杖が何とか上手く死ねば、自身に呪力が戻るのでは?
だが、すぐにその思考は否定する。
どんな死に方をしようが、虎杖は自身を引っ張る。そういう呪いだ。何度も試した事だった。
宿儺は、堂々巡りとなっている事に嫌気がさした。
「ん、ごめん。俺ちょっとトイレ行ってくるわ」
そう言い、虎杖は席を立ち、店のトイレへと向かった。
一人残った宿儺は、再び溜息をついた。どっと疲れが出た。何はともあれ、次、どうするかを考えなければならなかった。
窓の外に目を向けた。風景は変わらない。人波が行きかっている。
頬杖を付き、ぼーっと見ていると、視界の隅で誰かが手をひらひらと振っているのに気付いた。五条だった。
目が合うと、五条はニコッと笑い、その手を手招きに変えてきた。
宿儺は店の外に出て、五条と向かい合う。
「何の用だ」
「呼び出して悪いね。さっき言うのは、ちょっとアレだったからさ」
五条は手を腰に当て宿儺を見る。
「君、呪われてるね」
宿儺の瞼がピクリと動く。
「分かるのか」
「あ、自覚してるんだ」
そう言いながら、少し目隠しをずらした。露わになった鋭い青が、より見通してくる。
「一緒にいた子、双子?よく似てるね。で、君の呪いはその兄弟の形をしてる」
宿儺は表情を変えず黙っている。
「これも驚かないか。君、珍しいねホント」
「解け」
五条は肩を竦めて僅かに笑う。
「君さ、兄弟に恨まれでもしてる?とりあえず、本人に謝るところから始めてみたら?」
宿儺は眉を顰める。五条は、話は終わりだと言わんばかりに踵を返した。
「貴様…」
苛立つ宿儺の言葉を遮るように五条は言った。
「呪いでもさ、不思議と邪気は感じないんだよね。あまり介入する気にはなれないっていうか、多分僕じゃどうしようもないと思うし」
ま、頑張んなよと言い、五条は去って行った。五条を追う気にはなれず、その姿が雑踏に消えるまで見ていた。
「俺が小僧に謝るだと?馬鹿言うな、詫びるのは小僧の方だろう」
そう呟いた。
ザワリと風が吹く。いつしか辺りが灰色に曇り、いつ雨が降ってきてもおかしくない空だった。
一人になった宿儺は急に寒々しく感じた。元の自分が存在しない世界、呪力もない。
前の世で確かに死んだ為、戻る世界すらない。
虎杖が、思い出す保障はどこにもない。全て無意味なのではと感じ始めた。気だるさが襲う。
宿儺は歩き出すが、後ろから腕を掴まれた。虎杖だった。
「おい、一どこ行く気だよ。置いてくなって」
急いで走ってきたのだろう。宿儺はそんな虎杖に一瞥し、手を振り払った。
「構うな」
「一人で行くなよ、寂しいだろ」
その言い草に、かつて言われた事があると既視感を覚える。
「俺が寂しそうに見えるのか」
俺が寂しいだと?と癪に障る。思っていたより大きな声が出た。
虎杖は一瞬、怯んだ顔をするが、すぐに思いつめたような顔をする。
「というより、俺が寂しいんだよ」
宿儺は、眉をひそめて虎杖を見る。
「俺、宿儺に言ってない事って結構あるな。実はさ、俺、昔からこの世界の人間じゃない気がしてたんだよ。本当に何となくなんだけど。それは宿儺の事もそうで、勝手に仲間意識があった」
宿儺は驚く。
「正直言うと、お前には兄弟というより他人っぽさをずっと感じてたし。だから、お前から話を聞いた時、妙に納得したよ。やっぱ俺ら元は他人なんだって」
虎杖は下を向きながら言う。
「ごめん。俺、はしゃぎ過ぎてた。もっと真面目にやるし、ちゃんと話す。だから一人で行くなよ」
宿儺は、その姿を見つめた後、空を見上げた。雨粒が顔に落ちる。その冷たさに短く、息を吐き、気持ちを落ち着かせた。
虎杖は、前の世と今の世を強く繋ぐ存在。思い出す保障はなくとも、兆しはある。
もう少しだけ、辛抱するかと思い直した




category:プロット comment:0
2023.4.16 11:56 [Sun]



・(死)すくなの目的は愛する人の死者蘇生あるいは再会
(想い人とか、せいしょうたいとか)

・(死)あるいは、天元の解放
(愛してたとか)

・(死)嬉し泣きをして涙を知りそう

・ゆうじが自分の指に魂分離させてめぐみの口にぶち込み、内側から救い出す。
寿命が半分になりそう?

・指の1本くらいはけんじゃくの懐にありそう

・けんじゃくとすくなは完全に組んでいるわけではない。

・先に手を切るのはけんじゃくの方から



category:考え comment:0
2023.4.14 21:28 [Fri]

目を覚ますと世界が一変していた。
居間の一室で、窓ガラスに反射する自身の姿を見て宿儺は唖然とする。
呪印のない顔、呪力のない幼い身体。混乱する中、襖が開く音がして後ろを振り返ると、見覚えのある顔が現れた。
「宿儺、あのさ…」
何か言いかけたのを無視し、宿儺は反射的に相手の胸倉を掴みかかった。
「小僧…!何だこれは…!」
自身と同く幼い姿の虎杖の顔は恐怖に引きつる。堪えようのない殺意に促されるまま、宿儺は虎杖を引き倒し馬乗りになると、首を絞め始めた。体重をかけながら力を込めていく。
「答えろ…!何をした!」
虎杖が苦しそうに呻きながら目尻を濡らす。
「おい!何をしてる!」
割って入った声と共に、宿儺は身体を後ろから引きはがされた。見ると、祖父のワ助が血相を変えている。
「放せ!」
宿儺は暴れるが、振りほどけない。
「お前な、兄弟喧嘩の範疇超えてるだろうが」
その言葉に宿儺の動きが止まる。今、なんと言った?と祖父の顔をまじまじと見る。
「悠仁を殺す気か!」
正面を向くと、倒れ込んだままの虎杖が咳込んでいる。
次の瞬間、強烈な頭痛と共に脳裏に覚えのない記憶が走る。宿儺は頭を抱えてしゃがみ込む。
いや、覚えのある記憶とも言えた。
それは、宿儺と虎杖は双子で祖父と三人で暮らしているというものであった。
虎杖は怯えた目で宿儺を見上げている。
大丈夫か、と叱咤から心配に切り替えている祖父の横をすり抜けて、ふらふらと宿儺は自分の部屋へと行った。
「何が起きている」
宿儺は額に手を当てて考える。2つの記憶が混濁しているようだった。
呪いとして生きた記憶、人間として今まで生きた記憶。だが、どちらも本物の記憶であると知覚している。
今いるここが自室である事も知っているのだ。だからこそ、異常だった。
部屋の隅にベッドが2つ並んでいる。いつも窓際のベッドで自分は寝ている。全て知っている。
判然としない中、虎杖がそろりと部屋を訪れた。
「宿儺、ごめん」
じろりと睨むと虎杖は怯えた顔をする。
「冷蔵庫に入ってた宿儺の分のプリン食べたの怒ってるんだろ?」
「は?」
何を言っているんだオマエはという顔を向けるが、虎杖はぎゅっと自分の服の裾を握りながら謝る。
ふざけている様子ではない。本気で勘違いして謝っているようだった。
強烈な違和感。嫌な予感が脳裏をよぎる。
「…小僧、オマエ、まさか覚えていないのか?」
「…?何を?」
きょとんとした瞳。宿儺はここにきて虎杖が自身に対して全く敵意がない事に気付く。
「俺とオマエは…何だ?」
「え」と困惑する虎杖。「兄弟だろ?」
不思議そうに答える虎杖に宿儺は驚愕する。そして、目の前の虎杖は前の世の記憶を有していないと確信した。
何とかしなければならないと頭の中で警報が鳴っているかのようだった。
この悪夢から早く冷めなければならない。
宿儺は入り口に立っていた虎杖を部屋に引き入れドアの鍵を閉めた。今度こそ邪魔は入れない為だ。
入口横にある机のペン立てからハサミを掴むと、素早く虎杖の胸に突き刺した。
ドッという感触と心臓に達する感触。
虎杖は目を見開き苦しげに吐血する。宿儺はハサミを引き抜くと再び胸に突き刺す。何度も何度も、何度も。殺しきるまで何度もハサミを振り下ろした。
悪夢はこれで覚めるだろう、そう思って。
はっと意識が覚醒する。
寸前まで確かに握っていたハサミが見当たらなかった。それどころか、場所が自室ではない。居間である事を認識した瞬間、背後の襖が開いた。虎杖が立っている。
「宿儺、あのさ…」
恐々と口を開く虎杖は先ほどの惨状を知らない顔だった。
何故だ?オマエは今、俺に殺されただろう。
虎杖は言葉の先を紡ぐ。
「宿儺の分のプリンだけどさ…」
宿儺は虎杖の首を掴み、壁に押し付けた。無言できりきりと締め上げる。
動揺を内に、状況を考える。全てが理解できないでいる。
苦しむ虎杖の顔を見つめながら、ふいに廊下を踏み鳴らす音が耳に入った。宿儺には誰が来るのか分かった。
現れた祖父は二人を見ると「こら!何してる!」と顔色を変え、宿儺を引き離した。
受ける叱責を他所に、宿儺は確信した。時間が巻き戻っていると。
ちらりと虎杖に目を向ける。怯えた顔がこちらを見ている。
宿儺はぎりっと歯を鳴らし、俺に呪いをかけたな、と目で訴えた。
その後、常用確認と整理の為に何度か虎杖に手をかけるが、必ず時間が元に戻る。どんな殺し方をしてもだった。
虎杖の死を感じた瞬間、自身も引きずられるように死に時間が戻る。
コイツの事だ、まだ何かある筈だと考え、試しに、居間で昼寝をしていた祖父を殺そうとした。案の定だった。
殺意を持って近付いた瞬間、尋常ではない頭痛に苛まれ断念する。
そして、それは殺意だけではなかった。
思い返せば、祖父に後ろから羽交い絞めにされた時、力が全く入らなかったのだ。
宿儺は虎杖以外の人間に対して、危害を加えられない身体になっていた。ならばと、宿儺は自死を試みた。
だが、すぐに目が覚めて時が戻っている事を目にし、自死も叶わない世界だと知る。
「宿儺、ごめん」
自室の一室で、何度目か分からない謝罪を虎杖は口にしていた。宿儺は同じ内容の謝罪にうんざりしていた。
謝罪するならこの世界をどうにかしろ、と目でなじる。
厄介なのは、虎杖が記憶を全く持っていない事だった。宿儺の事をやや気難しい弟とでしか思っていない。
だが、自分が自分であるようにコイツもコイツな筈だと宿儺は思う。
ずっと下を向いている虎杖に一瞥をくれ、苛立ち交じりに溜息を付く。
「もう、良い」
目障りだった。だが、完全に突き放す訳にもいかない。まずは記憶を取り戻させる事が重要と考えた。
しかし、記憶を取り戻したところで、はい分かりましたと呪いを解くとは到底思えない。
だが何もしない訳にはいかない。
記憶を取り戻させる事で、何か手掛かりになるかもしれないと僅かな可能性に賭けるしかない状態だった。
呪力がなく、力も振るえず、死すら叶わない。全ては虎杖の呪いである。
自由を得る為に、宿儺はしばらく人間として、兄弟として生活する事を選ぶ。
因果を断ち切り、自由を得た暁には、必ず虎杖に報復すると心に決めて。
小学校。クラスの一室にて虎杖は友達と楽しそうに談笑している。後ろの席で宿儺は頬杖をつきながらその様子を眺める。
記憶が戻らないか常に監視するようにしていた。この日課を何度も繰り返す日々。宿儺は飽いていた。
ふと虎杖と視線が合う。宿儺はうっとうしく感じて目を逸らす。
虎杖が友達と輪から外れ寄ってきた。
「なぁ、宿儺。宿儺もみんなと遊ぼうぜ」
この誘いも幾度目か、遠慮のない舌打ちが零れる。
「寂しくね?」
「話しかけるな、目障りだ」
そう言うと宿儺は立ち上がり教室の出口へと向かう。
あっという虎杖の声を無視する。ずっと監視していても疲れるだけであったし、油断すると衝動的に殺しかねなかった。
実際兄弟ごっこをする羽目になってからも何度か殺めた事がある。
宿儺が廊下に出る時、入ってきたクラスメイトの4人集団の一人とぶつかる。
「いって!」と大げさな声を漏らすクラスメイトを無視して宿儺は出て行く。
その様子を見ていた虎杖の元に友達が集まる。
「お前らって双子だけどホント正反対だよな。性格全然似てねぇ」
「うーん。それもだけど、なんか嫌われてるんだよな俺」
「喧嘩でもしたん?」
虎杖は困った表情を浮かべる。
「そんな覚えないんだけど、…でも多分なにかしたんだろうなって思ってる。それに…」
そこまで言いかけて虎杖はやめた。
ふと、廊下を見ると先程、宿儺とぶつかったクラスメイト達が何か話した後、教室に入らずどこかに去っていたのが目に入った。
校舎の裏庭で風に当たりながら宿儺はため息をつく。
「疲れる…」
人間の真似事は退屈であると痛感する。変わり映えのない日常。いつ終わるとも知れない空虚な日々をいつまで続ければ良いのかと、つくづくうんざりせざるを得ない。
このまましばらくここで落ち着くかと思っていると人の気配を感じる。
「あ、いたいた」
先程、ぶつかったクラスメイトの集団が宿儺に向かってきていた。
宿儺は変わらず無視を決め込んでいたが、一人が宿儺の肩を押す。明確な敵意を感じる。
「虎杖、お前、生意気なんだよ」
残りの3人が宿儺の周りを囲む。
「兄貴の方もムカつくけど、お前はもっとムカつくんだよ。いっつも一人のくせして、偉そうな顔してよ」
くだらん、群れで気が大きくなるのは、どうしてこうも哀れなのかと内心言い捨てる。
「こいつ!」
表情だけで馬鹿にしている事を察した一人が、宿儺は強く突き飛ばす。
思いのほか力が強く宿儺は地面に倒れた。4人が楽しげに見下ろしている。
宿儺の拳に力が入る。地面の土が爪に入るのも気にせずに。
呪いにより、この4人には殴りの一つも喰らわす事は叶わない。何と非力な事かと宿儺は苛立つ。
ギロリと睨みを向けると、4人は一斉にビクりと怖気付く。
「おい!お前ら何やってんだ!」
声のした方を全員で見ると、遠くから虎杖が走ってきていた。
「げっ」という声を漏らす面々。迎え撃とうと体勢を整える前に、虎杖の飛び蹴りが一人に炸裂する。
助走のついた一撃は相手を軽々と吹っ飛ばす。羽交い絞めにされが、正面に立つ者に殴られるが蹴りを入れ返す。
「弟に手を出すな!」
そう言いながら後ろの者に肘で脇腹を付き、振り返りながら拳を入れる。
宿儺はその光景を地面に座り込んだまま、見ている。
何だこいつは、というのが率直な感想だった。
虎杖には、自身はやり返す事もできない非力な弟にでも見えるのだろうと思う。
そして、自身にはない力を振るうその姿に羨望ではすまない明確な殺意が湧く。
ふと、宿儺は気付く。圧勝かと思われた虎杖の後ろにゆらりと立つ者が見える。最初に飛び蹴りを受けた者が起き上がっていた。
軽く助走を付けると、背後から力一杯、虎杖を突き飛ばした。
「うわっ」と虎杖が短く声をもらす。
意図してかは不明だが、そこには泥の入った水たまりがあり、勢いよく倒れ込む。
ばしゃりと大きな水音がする。
「い…行こうぜ!」
4人は今の内だと言わんばかりに一目散に走って去って行った。
「いってぇ…」
虎杖はそう言いながら、上体を起こす。そんな全身泥まみれの虎杖を見て、宿儺は思わず口元が緩んだ。
立ち上がり虎杖に近付くと、改めてその姿を見下ろす。
「間抜け」
愉快でたまらず、遠慮なく笑って見せる。やはり、オマエは醜態がよく似合う、と。
この無様さを見ただけで少しは留飲が下がったと宿儺は思う。
だが、虎杖はそんな宿儺を見て笑った。
「オマエの笑ってる顔、初めて見た気がする」
瞬間、宿儺の顔が引きつる。
苦笑いですらない、純粋に喜んでいるようだった。
「それに、本当は強いのに、やり返さないなんて宿儺は優しんだな」
以前の殺されかけた事すら、過去の話として笑って済まそうしている虎杖に宿儺は言葉を失い、二度と笑わない事を決めた。


度々見る夢があった。真っ暗な空間の中、宿儺は倒れている。
意識はあるが指一つ動かせない状態。声すら奪われているようだった。
そんな自身を虎杖は見下ろしている。憎しみ、怒り、そしてどこか疲れた顔。
酷く不愉快に感じて、唯一、動かせる目で虎杖を睨んで見せる。
虎杖は表情を変えない。
オマエは何がしたいのだ、囚われて辛いのはオマエの方だろう。
そう目で語り掛ける。それが伝わったのか定かではないが虎杖は少しだけ顔をしかめた。
「お前を離さないからな」
虎杖は何度目か分からない呪詛を口にした。




パチっという音と共に視界が明るくなった。
「わっ、何やってんの、寝てた?」
部屋の入口で虎杖が少し驚いた顔で立っている。宿儺は明るさに慣れず目をしばたく。
宿儺は居間で眠っていたようだった。壁にかけてある時計を見ると18時を少し過ぎたところだった。
学校から帰ってきた時はまだ明るかったが、冬はすぐに日が落ちる。
「ストーブくらい付けろよ、風邪引くぞ」
虎杖は手をこすりながら、部屋の隅にあるストーブをいじりだす。虎杖のコートに雪が積もっている。
「爺ちゃんの見舞い行ったんだけど、ちょっと症状重いみたい。本人は何ともないって言い張ってるけどさ」
点火したストーブに手を当てて暖を取りながら続ける。
月日は経ち、二人は中3になっていた。一向に記憶を取り戻す気配のない虎杖との生活は未だ続いていた。
不随して苛立ちは募るばかりであったが。
祖父は先月の年末に体調を崩し病院にかかったところ、そのまま入院する事となった。それから兄弟二人での暮らしが始まった。
「なぁ、宿儺も今度見舞い行こうぜ」
「一人で行け」
そう言い捨てながら、宿儺は立ち上がり居間を出ていこうとする。不満気な顔を見せていた虎杖はふと思い出したかのように、あ、そうだと引き留めてきた。
「宿儺さぁ、進路希望の紙、まだ出してないだろ。先生から出すよう言っとけって言われたんだけど」
宿儺はそんなものあったなとぼんやりと思い出す。
「オマエと同じ高校を書いて出しとけ」
「え、俺が書くの?…ってか同じ高校?」
入り口で足を止め、虎杖をじろりと見る。
「問題あるか?」
「いや、問題ってかさ…」と少し口ごもりながら続ける。「頭良いんだからもっと上の高校目指せば?」
「は?」
ピリッと空気が張り詰める。宿儺は自身のこめかみに青筋が浮くのが分かった。
「適当に俺と同じところ選ばなくてもさ。大体、俺の事嫌いなんだろ」
「くだらん」
「くだらなくないだろ。お前の為を思って…」
瞬間、抑えがたい怒りが沸いた。
「何が俺の為を思ってだ!」気付けば、虎杖に掴みかかっていた。首に手をかけながら組み敷く形となる。
「だったら、さっさとこの世界をどうにかしろ!」
今までにない剣幕に驚く虎杖。ふと宿儺は、その表情に状況に既視感を覚える。
領域内で散々、凌辱した事を思い出した。


(参考1)
試してみるかと考え、虎杖の衣服を引き破り始めた。混乱し暴れる虎杖を抑えつけて行為に及ぶ。「いい加減思い出せ。小僧。俺を、オマエを」
虎杖の身体や体温、匂い、苦痛に喘ぐ声、全てが懐かしく感じる。気付けば途中から虎杖は抵抗を止めていた。
虎杖が思い出す事はなかった。大きなため息をつきながら項垂れている宿儺の隣で、虎杖は横になりながら聞く。「…俺、なんか忘れてたりする?」声が少し掠れている。
「なんで普通に話しかける」「いや…」言葉につまりながらも虎杖は続ける。
「何か理由あるんだろ。お前が、あんなしんどそうな顔するなんてさ」
虎杖を横目で見る宿儺。
「お前に言って何になる」
腰の痛みを庇いながら上体を起こす虎杖。
「俺に関係ある事なんだろ?とりあえず言ってみろって。協力するから」
宿儺は考える。実際、手詰まりだった。本人に協力をあおる他なかった。必要なのは手がかり。
僅かでも良いから必要だった。しかし全てを話すわけにもいかないので言葉を選ぶ。
(協力を断られる可能性があるから。思い出さない方が良いかもとならない為に)
「俺とオマエはこの世界より前に会った事がある。オマエは俺を呪い、オマエも呪われた。その呪いを解きたい。その為にはオマエが記憶を取り戻さなければならん」
話している最中、虎杖の顔が呆けていくのが目に入っていたので、これは駄目だなと感じる。
時間を無駄にしたと、立とうとした時、虎杖は「うーん」と唸った。
「呪いか。そりゃ解かないとまずいわな」
「は?」
「よっしゃ、分かった。俺、記憶を取り戻せるように頑張るよ」
「おい」
「前の世って前世ってやつ?俺、どんな奴だったの?」
「おい、待て。…何で信じられる」目をぱちくりする虎杖。
「や、だってお前、冗談言うタイプじゃないし」
「………」
「なぁ、俺らってどういう関係だったの?」
「…常に一緒にいた」
常にか、と虎杖は考える。宿儺が自分の事を小僧と呼ぶ事がある。という事は、兄弟ではない。
「……恋人同士だったとか?」
宿儺が露骨に嫌そうな顔をしているのを見て違うなと思った。


(参考2)
試してみるかと考え、虎杖の衣服を引き破り始めた。混乱し暴れる虎杖を抑えつけて行為に及ぶ。「いい加減思い出せ。小僧。俺を、オマエを」
虎杖の身体や体温、匂い、苦痛に喘ぐ声、全てが懐かしく感じる。気付けば途中から虎杖は抵抗を止めていた。
虎杖が思い出す事はなかった。大きなため息をつきながら項垂れている宿儺の隣で、虎杖は横になりながら聞く。
「…俺、なんか忘れてたりする?」
「なんで普通に話しかける」
言葉につまりながらも虎杖は続ける。
「何か理由あるんだろ。お前が、あんな…」
「お前に言って何になる」
腰の痛みを庇いながら上体を起こす虎杖。
「俺に関係ある事なんだろ?とりあえず言ってみろって。協力するから」
宿儺は考える。実際、手詰まりだった。
本人に協力をあおる他なかった。
必要なのは手掛かり。僅かでも良いから必要だった。しかし全てを話すわけにもいかないので言葉を選ぶ。
(協力を断られる可能性があるから。思い出さない方が良いかもとならない為に)
「俺とオマエはこの世界より前に会った事がある。オマエは俺を呪い、オマエも呪われた。その呪いを解きたい。その為にはオマエが記憶を取り戻さなければならん」
話している最中、虎杖の顔が呆けていくのが目に入っていたので、これは駄目だなと感じる。
時間を無駄にしたと感じたが、以外にも虎杖は承諾した。何故信じられるのか問うと、冗談言うタイプじゃないから、あと頼られて嬉しいからと答える虎杖。それに、と言いかけてやめる。
「なぁ、俺らってどういう関係だったの?」
「…常に一緒にいた」
常にか、と虎杖は考える。推理して導きだした答えを口にする。
「……恋人同士だったとか?」
宿儺が露骨に嫌そうな顔をしているのを見て違うなと思った。
なんで普通に話しかけてくるんだ
ダメ元で打ち明けてみるか
なんで信じるんだ
馬鹿かオマエは なんか理由あるんだろ。
話してくれよ
なるほどなぁ
冗談言うタイプじゃないし、信じたいから。頼られて嬉しいから。
恋人同士だったの?


category:プロット comment:0
2023.4.10 13:52 [Mon]

何故かはわからないが背に回される手の温かさに心地良さを感じた。

確かに双子なんだけど、同時になんか他人っぽさを感じてたんだよなぁ。


category:プロット comment:0
2023.4.8 19:47 [Sat]

外れる事を祈って

千年前に想い人(愛する人)がいてその人を蘇生させる事が目的。めぐみの術式を応用する形で。
未登場のキャラ、セイショウタイであり天元と同化した人とか。
あるいは天元が想い人で、天元という役割から解放させる為とか。
エバ的な感じ。

天使が何故一番殺したがっているかは、死者蘇生は自我を殺しての受肉以上に神の理に反するからとか。
食が最大の快楽であるのに、即身仏という餓死を選ぶ自身の愛の強さ故に、万の愛を笑ったとか。

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彼に千年の時を超えた純愛物語とか求めてねぇから。
悪だけど、とある人物に対してだけ愛があるとか勘弁。
イメソンの歌詞が可能性を秘めてんの怖い。キミとか。
自分以外どうでも良いというのと矛盾するんよ。
涙も知らんのだろうよ彼は。(再開して嬉し泣きしそうで怖い)


宿の愛はあくまで自己愛。
天上天下唯我独尊、純粋悪たれ

嫌過ぎる。温いのは困る。

お願いします。外れて。
最高からズレないでくれ。

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