2019.1.12 23:43 Sat
[文庫感想]
秋期限定栗きんとん事件 上
あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月には揃って初詣。ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。―それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい…シリーズ第三弾。
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今回は新聞部員の瓜野くん視点で、連続放火魔の謎を突き止めていきます。
そして、小山内さんに彼氏が出来たり、小鳩君に彼女が出来たりします。
堂島くんの安定感のある堅物キャラは健在だった笑
2018.7.6 21:23 Fri
[文庫感想]
夏季限定トロピカルパフェ事件
小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?待望のシリーズ第二弾。
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今回の事件は、小山内さんの計算された計画に小鳩君が巻き込まれていく感じのお話でしたが…
小山内さんが怖い。
容赦のない徹底ぶりというか、前作のいちごタルト事件の方がまだ可愛げがあった気がする。
小鳩君との今後の関係に響いてしまうような終わり方だった。シビアな回だったな。
2018.3.24 04:33 Sat
[文庫感想]
春期限定いちごタルト事件
小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。
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小鳩くんの名推理と、小佐内さんのまさかのギャップが面白かった。食べ物の恨みは激しいのです。
個人的には氷菓と並行しているかのような世界観があって、読んでいて楽しかった。スピンオフじゃないよね?
2018.3.15 10:29 Thu
[文庫感想]
蹴りたい背中
高校に入ったばかりの蜷川とハツはクラスの余り者同士。やがてハツは、あるアイドルに夢中の蜷川の存在が気になってゆく…いびつな友情? それとも臆病な恋!? 不器用さゆえに孤独な二人の関係を描く、待望の文藝賞受賞第一作。第130回芥川賞受賞。
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クラスの中での孤独感というか。そういうのは、なんか痛いくらいに共感してしまった。
掴み所がない蜷川と、自分を偽った友情に疲れてしまい孤立するハツ、仲間と群れるためにハツの元から離れて行く絹代。
蜷川とハツの間を匂わせる、恋でもない、友情でもない何か。
2回蜷川の背中を蹴るハツですが、1度目は弱い自分と蜷川を重ねながらも、虐める側の快感に共感してしまう蹴り。2度目は情け無い背中を押すような、どこか優しさにも似た蹴り。
青春の言葉にできない何かを上手くストーリーに織り込んでいる気がする。
2018.3.11 22:17 Sun
[文庫感想]
あなた
過疎が進む山間の小さな町。遠い昔、この町の少女を騙して郵便局から金を盗ませ、彼女から金だけを奪って東京へ去った青年がいた。彼はその金をもとに実業家として成功し、今、四十年ぶりにこの町を訪れた。誰も彼が昔この町を逃げ出した青年だとは気付かない。そう、ただ一人、「あのときの少女」を除いては…。
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赤川次郎先生の第1作目。
「あなた」が繋ぐ奇妙な縁。
というかもはや呪いである。
一番哀れなのは、町田の奥さんだよね。
増田は最後までクズだった。
けどなんだろう、最期に吊り橋の上で色々なものが清算されたような気がして、憎む気にもなれない。