話題:ドラゴンクエストシリーズ

第四十三話

ベロニカの葬儀を終え、長老の計らいで宿を取ってもらい休むことにした。

しかし、仲間を失ってしまった事に対して頭では決意をしたものの、心は感情が揺さぶられ、眠れずにいた。

そこにどこからともなく、悲しい竪琴の音色が響く。

その音色の元を辿り、雨が降る宿の裏庭に回ると、セーニャが竪琴を奏で歌っていた。

セーニャがワイに気づきベロニカへの思いを語ると、葬儀の時は気丈に振る舞って抑えていた感情が溢れだし、涙を流す。

ワイはただ黙って、隣で見守っていた…

どれくらいの時間が経ったのか、セーニャはスッと振り向くと、姉の事で悲しむのはこれで最期と心に決めたように、髪にナイフを入れ切り離す。

風に舞う髪がキラキラと光ったかと思うと、ベロニカの杖からセーニャに向かって光の玉が揺らめき、セーニャの手の中で小さな炎となった。

そうか、ベロニカも最期のお別れをしたんだな。

そして、その思いはしっかりとセーニャが受け継いでいる。

だからもう大丈夫。

ワイも、セーニャも。

……雨はいつの間にか、あがっていた。