話題:ドラゴンクエストシリーズ

第四十二話

不思議に思っていた事がある。

命の大樹が落下する直前、ワイは意識を失っていた。

勇者の力も一時的に奪われていたあの最中、ワイを含めた仲間たちがバラバラになりつつも無事でいられたのは何でなのか。


ラムダに到着し、姉妹の両親はセーニャを見て安堵を息を洩らす。

だが、ベロニカが一緒にいない事で一抹の不安を覚える。

セーニャは姉の気配は確かに感じると、幼い頃に遊んだと言う静寂の森にワイたちを導く。

その中央にある木に、ベロニカの杖と木陰にもたれ眠るベロニカが。

セーニャがそっと起こそうとすると、ベロニカの杖とワイの左手が輝きだした。

杖に手をかざすと、あの時の記憶が映し出された。

あの爆発の瞬間、ただひとり意識を保っていたベロニカは、自分の命を懸けて魔力の全てを振り絞り、ワイらを安全な場所まで飛ばしてくれていた。

その記憶を見たセーニャはベロニカに触れようとするが、幻と消えてしまう…


ワイが至らないばかりに、ワイが未熟だったから、ワイがしっかりしてれば…

後悔してもベロニカは戻ってこない。

ならば、これ以上同じ悲しみを生まない為に、ワイは必ず魔王を討つ。