話題:ごめんね、ありがとう。

セフレと私のお話。

大学3年で処女を捨ててから、私は弾けた。固かったガードも、一途さもなくなっていた。そんな時、セフレができた。去年の8月のことだった。出会いはネット。優しい、面白い、掴めない、しっかり者、そんな人だった。彼は出会った頃から女を毛嫌いしていて、ただのエッチするための相手、それが私。毎日のように電話して、電話が繋がったまま寝る、そんな日常を送った。彼には何もかも話していて、日々の悩み、恋愛、勉強、いろんな話をした。セフレ。いつか必ず切らなければならない相手。それは痛いほどハッキリ理解していて、いつも心の中にあった。彼と出会って約1年の間に、何度か恋をして、何人かと関係を持ち、何度か別れを経験した。その度に、このセフレとの関係も考えさせられた。切ったほうがいい、そう思いつつ、出来ない私がいた。

今年、私は大学4年になった。就職活動がいよいよ本格的になったとき、関東の彼の家に居候させてもらえることになった。当然、夜の営みもあった。セフレだから、何の気兼ねもなく過ごせることがとにかく楽しかった。就職活動という名目で彼に会えること、一緒に過ごせること、ご飯に行けること、一緒に眠れることがとても嬉しかった。女が嫌いで、彼女も好きな子も出来ない彼といることが、とても心地よかった。何処にもいかない。ずっとそばに居てくれる。そんな風に思っていた。

昨日の夜、わたしの親友の女の子と、セフレと、3人で飲みに行きました。そこで、セフレに好きな女の子がいることを知りました。ものすごくショックだった。いろんな感情が波のように押し寄せて、氷のように動くことが出来ませんでした。その瞬間、ああ、私はこの人が好きなんだと知った。いろんなこじつけを考えて涙の理由にしたけれど、何のことは無い。私は好きだった。好きと言えば語弊があるかもしれないけれど、この人と過ごしたい、この人と生きれたら、そう思っていた。
帰り道、駄々をこねた。最後のワガママだと思った。もう、きっと会うことは無い。そんな確信があった。彼も泣いていた。一緒に帰った。聞きたいことがあった。出会ってから、一度でも私のことを好きになったことはある?そう聞いた。彼は、女として?それなら一度もない、と。
一度もなかった。大きなすれ違いを、まざまざと見せつけられているような気がした。どうしようもないことがある、どう足掻いても変わらないことがある。その現実を初めて知った。
彼は別々に寝ようと言った。頑なな彼を拒んで、隣に寝た。腕枕はしてくれなかった。寂しさに身を任せてしまう自分の弱さが、悔しかった。彼に擦り寄ったけれど、以前のようなセフレには戻れなかった。もう触れても、触れさせてもくれなかった。悲しかったけれど、これで良かったとも思った。眠っている彼に、ありがとうと言った。

今朝、一緒に駅まで行って、またねと行って手を振り合った。またなんてないことはきっとお互い知っている。これで良かった、きっと。さよなら。ありがとう。ごめんね。