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鏡像(キキョキキョ)

そんなはずがなかった
確かにあの日
私は見たのだから




「‥誰…」

襖越しに影が揺れた
夜も老けた刻に来訪者など珍しい

「私を忘れたかえ」

「ぁ‥姉上…!?」

思い切り戸を上ける
勢い余って、ぴしゃりと甲高いおと
顔を上げれば、見慣れた金色の髪が月明かりで眩しい


「何を化け物を見たような顔をすることがある」

「申し訳ございません、ですが、ど‥」


「お前が望む物を私は持ってはおらぬぞ」

「え‥」


言葉を失う
姉が紡ぐこと、の
意味
姉の瞳の奥に映る
わたしの、銀と『 』


「真を見誤るでないぞ、死にたくないのならばな」

「それは一体…どういうこ、とっ…!」



揺らぐ視界
重くなる意識
その中で確かに思い出す
姉の弔いの日のこと









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二人でヒトツ
あなたは私
あの日の記憶も全部全部
2009*04*08
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