やっぱり書くことは私にとって必要不可欠なんだよなあ


伝った雫は無味だった。今の自分と同じように、なんにも含んでいない。手に受けていた温かなものはもうすでにどこにも見当たらない。日の当たる場所も見つからない。道しるべを失った今、まるで案山子のように腕をだらりと投げ出して、あとは惰性の海に沈むだけ。虚ろな黒い目で、追うものを忘れてひたすらに息を吸って、吐いて。

あーなんか違うな

こういう文が書きたいんじゃない

テーマがほしい




「鍵はもった?」

それが彼女の口癖だった。僕はすぐ物を忘れるから、彼女はよくそれを注意してくれた。うっかりさんだなあ、なんて微笑むときは大抵、目的の物を手の中に隠しておどけるんだ。可愛らしい悪戯に、僕は怒るふりをして髪を撫でた。やわらかな茶色い線の束は、嬉しそうに跳ねる。見上げる細まった目を彩るまつげすら、ふわりと風に流れて。

そこに浮かべたかったのは、涙なんかじゃなかったのに。

「鍵はもったよね」

最後ですら、その口癖は相変わらずだった。けれど、もう鍵は彼女の手の中には無かった。
忘れることなんてできないよ。もう、二度と訪れないのだから。




あーーーー文が書きたい

別に悲しいことが書きたいんじゃない。
何かを書いていないと、頭が狂いそうになる。
タイプ音を聞いていると落ち着く。


なにが悪かったのか。
どこで間違えたのか。
そもそも答えなんてあるのか?

今はもうなにもわからない。

すべては、私の中に存在しない。

もっと早くに終わっていたら?
そうしたら、何かが変わったのかしら?