ヘフテンさんとブランのお話です。
ブランの気持ちを汲んであげるのが上手いヘフテンさんを書きたくて…←
*attention*
ヘフテンさんとブランのお話です
ほのぼのなお話です
いまいち素直になれないブラン
でもヘフテンさんにはべたべたな気がします←
そんなブランを甘やかすヘフテンさんであってほしい(^q^)
手を繋ぎなれてないブラン
一緒に出掛けてあげてくださいヘフテンさん
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
柔らかい風が吹き抜けていく、静かなディアロ城の医療棟の一室。
そのベッドに腰かけている、黒髪の少年……ブラン。
彼は一人、ベッドに腰かけたまま、一冊の絵本を捲っていた。
可愛らしい絵で描かれた、街並み。
色とりどりな商品をおいた、お店。
それを見ながら、ブランは目を細める。
ほぅと息を吐き出しながら、彼は指先で絵本をなぞった。
ちょうどそのとき、トントンとドアをノックする音が響いた。
それを聞いてブランは顔をあげる。
反射的に警戒して、腰に手をやった。
いつも短剣をつけている場所。
しかし今は何もなくて、あぁそうだっけ、と思った。
とりあえずブランが落ち着くまでは短剣も返せない。
この騎士団の医療部隊長にそういわれていたのだった。
それでも、警戒は解かない。
冷たくとがった声で、彼は問うた。
「誰?」
「僕ですよ、ブランシュさん」
ドアの向こうで聞こえた声に、ブランはほとする。
ドアの向こうにいるのは、ブランがこの城で唯一といっていいほど心を許している少年だった。
「ヘフテンか、いいよ」
開いてる。
ブランがそう答えると、室内に金髪の少年……ヘフテンが入ってきた。
「具合はどうですか?」
傷の具合を問いかけるヘフテン。
ブランはそれを聞いて"平気だよ"と答える。
「もう大分傷は塞がったんだ。
このお城のお医者様が過保護なだけだよ」
そういって呆れたように肩を竦めるブラン。
彼の様子に小さく苦笑しつつ、ヘフテンはいった。
「それだけ大変な怪我だったってことでしょう?僕も心配したんですからね」
ヘフテンは優しくブランを撫でてやる。
その優しい手に擽ったそうに肩を竦めながら、ブランは目を細めていた。
「大袈裟だよぉ、今は綺麗に治ってるんだから」
そういってブランは笑う。
前よりもよく笑うようになった彼の姿にヘフテンも笑みを零した。
どうやら、それは自分に対してだけ、らしいけれど。
ブランはふと口を噤む。
そして、何か考え込むような顔をしてから、口を開いた。
「ヘフテン、あの……さ」
そう声をかけられて、ヘフテンはきょとんとする。
そしてブランの方を向きながら首を傾げた。
「ん?どうしました?」
微笑んで首を傾げる彼。
その姿を見つめ、ブランは何かいおうとしていたが……ふるふると首を振る。
そして俯きながら、彼はいった。
「っ……何でも、ない」
「そう、ですか」
一体どうしたのだろう?
そう思いながらヘフテンはブランの様子を見つめて……目を細めた。
彼の手元。
そこには、彼の気に入りの絵本があった。
それをぎゅと握る彼の手……
それを見ていると、なんとなくわかる。
彼が言いたかったこと。
彼が時々、自分のものと思しき財布を見つめているのは知っていた。
絵本の店の絵を眺めては息を吐いていることも。
だから。
ヘフテンは少し言葉に悩んでから、口を開いた。
「ブランシュさん、今度行きたいところあるんですけどお付き合いしていただけませんか?」
「え?」
唐突なヘフテンの言葉にブランはきょとんとする。
ヘフテンはそんな彼ににっこりと微笑みかけながら、いった。
「はい、一人でいくのはつまらないので……一緒に来てくれませんか?
そうしたら次はブランシュさんの行きたいところも行きましょう?
お礼に、お付き合いしますから」
そういって微笑むヘフテンに、ブランは目を見開く。
それから頬を薄紅に染めて、視線を揺らした。
出かける?
それに、自分も一緒に……?
それは、本当?
「駄目ですか?」
きょるんとした瞳で、ブランを見上げながら首を傾げるヘフテン。
それを見て視線を揺らしたブランはこくり、と頷いた。
「え、う、うん、いいよ、別に」
付き合ってあげる、とブランは呟くように言う。
それを聞いてヘフテンは嬉しそうに"わぁ、ありがとうございます!"と声を上げた。
ブランは照れくさそうにぷいとそっぽを向きつつ、彼に言った。
「何処に、いくの?」
「城下町のお店ですよ。たくさん可愛いものが売ってるんです」
そういうお店に行くの、僕大好きなんですよ!
そういって、ヘフテンは嬉しそうに笑う。
ブランはそれを聞いて、ふわっと笑った。
「へぇ……楽しそうだね?」
そういって笑うブランを見て、ヘフテンも目を細める。
今までよほど出かけたことがなかったのだろう。
こんなにも嬉しそうに笑う彼が見られるなら、彼を誘って良かったな、と思ったのだった。
***
そんな、次の休み。
ヘフテンはブランを連れて、街に出てきていた。
広い空は青く澄み渡っていた。
夏のもくもくとした雲が幾つも浮かんでいた。
そんな空を見上げながら、ヘフテンは緑の瞳を細めた。
そしてほぉっと息を吐き出しながら、いった。
「晴れて良かったですねぇ」
綺麗に晴れて良かった。
ヘフテンがそういうと、ブランは目を細めた。
そして、こくりと頷きながら言う。
「うん、気持ちいいね」
少し陽射しが強いけど。
そういいながら、ブランは微笑んだ。
嬉しそうに笑っているブラン。
それを見て微笑むと、ヘフテンはぎゅっとブランの手を握った。
唐突なヘフテンの声に、ブランは驚いた顔をした。
ぱちぱちと黒い瞳を瞬かせながら、声を上げる。
「わっ、何?!」
そう声を上げるブラン。
ヘフテンはそんな彼の手をきゅっと握ってやりながら、いった。
「手繋ぎましょうねー」
優しく握られる自分の手を見て、ブランは瞬きをする。
そしてぷいとそっぽを向きながら、いう。
「えー恥ずかしいからやだよ、迷子になんてならないし……」
何で手繋がなきゃいけないの、と呟くように言うブラン。
その頬は真っ赤に染まっていて、照れているようだった。
ヘフテンはそんな彼を微笑ましげに見る。
そして優しく彼の頭を撫でながら、いった。
「たしかにブランシュさん賢そうですもんねぇー。
僕はほっといたらすぐ迷子になるので大佐に呆れられるんですよぅ」
だから手、繋いでてください?
ヘフテンはそういう。
勿論、建前だ。
流石に、此処で迷子になりはしない。
そそっかしくて危なっかしいとは良く言われるけれど……
今のは、ブランに手を繋がせてやるためだった。
その作戦は成功だったらしい。
ブランは少し躊躇うように視線を彷徨わせた後、照れたように顔を赤く染めながら、言った。
「し、しょうが無いなぁ……繋いであげる!」
そういって、ブランはヘフテンの手を握り返した。
子供独特の少し温度の高い手。
それを握り返してやれば、ブランは照れくさそうにはにかむ。
「ふふふ、ありがとうございます」
こうやって手を繋いでいましょうね?
そういって微笑むヘフテン。
ブランはその手を握り返しながら、目を細める。
「……初めて、だ」
ぽつり、とそう呟く。
こんな風に誰かに手を繋いでもらったのも、こんな風に、誰かと一緒に出掛けてこれたのも……
そう思いながらブランはヘフテンの手を握る。
ヘフテンはそんな彼の想いを感じ取っているように目を細めながら、"じゃあ一緒に行きましょうか"と声を上げたのだった。
―― 繋ぐ手のぬくもりは ――
(僕の手を握る優しい貴方の手。
こんな風に手を握ってもらえたのは、生まれて初めてで…)
(素直にありがとうなんて、言えないけど…
こうして一緒に居てもらえて、本当にうれしいんだよ…)