ブランとノアールのお話です。
コラボの方でヘフテンさんと絡ませていただくようになったので…
こういうことをブランも気にするんじゃないかなと思った結果デス←
ノアールは元から色々冷たい人なのでああいう態度。
ブランのことも基本的に道具としか思っていません。
ブランもそれがわかりつつ、恩人だから離れられない…
そんな二人だったら可愛いなと←
ともあれ、あの子をそろそろ解放してあげたいです…(^q^)
では、追記からお話デス!
久しぶりに夢を見た。
自分が生きていた頃の夢。
そして、自分が操り人形として生まれ変わったときの夢を……
誰にも必要とされなかった。
誰にも求められなかった。
誰からも疎まれ、蔑まれ、一人で死んでいった。
悲しかった。
寂しかった。
苦しかった。
……辛かった。
だから……操り人形として蘇ることが出来た時、嬉しかった。
今度こそ、今度こそは、誰かに必要とされる。
そう思って……
けれど、彼は"不良品"だった。
本来体も魔力も精神も強くなるはずなのに、ブランは体が酷く弱かった。
身体能力が低かった。
これは不良品だ。
失敗作だ。
破棄しなければ……――
そんな声を聞きながら、酷く悲しくなった。
あぁ、此処でも自分は必要とされないのか。
そう思って……
けれど。
"彼"は自分を求めてくれた。
使えると認めて、傍に置いてくれた。
それが嬉しくて、堪らなかった。
初めて自分を必要としてくれた人。
その感謝は、いつの間にか崇拝に変わっていった。
大好きだと。
愛しいと。
そんな感情に変わっていった。
彼が言うなら何でもする。
命じられたら何でもこなす。
そうすることで自分を認めてくれた愛しい人に愛されようとした。
自分が生まれ育った街も焼いた。
笑いながら焼いた。
その時、彼は……ノアールは、優しく頭を撫でてくれた。
ブランシュ。
自分と対になる名前をくれた人。
服を与え、仲間を与えてくれた人。
それが、ノアールだった。
ノア兄様。
ブランは彼をそう呼び慕った。
彼が愛してくれるなら。
彼が、必要としてくれるなら。
そう思って……――
その感情は今も変わっていない。
今も、彼に愛してほしいと思っている。
今も……
自分を、必要としてほしいと……――
―― でも。
一つ、頭を過るもの。
それは、最近屋敷に遊びに来てくれた、金髪の少年の姿。
自分に穏やかに微笑みかけてくれた、金髪の彼の姿だ。
彼は、ブランを呼んだ。
優しく、明るい声で。
"仲良くしましょう"
そういってくれた彼の優しい声が、頭をよぎる。
仲良くしたい。
"友達"という存在に、憧れていたから。
でも……
彼は……正式に言えば彼の上官は、ブランが誰より愛しいと思うノアールと敵対している。
だから、きっと。
自分が金髪の彼と親しくしている事が知れたら……
―― ……ラン、ブランシュ、起きろ。
はっとした。
顔を上げれば、怪訝そうな顔をしたノアールと目が合う。
「あ……ノア兄様……」
「何をぼうっとしている」
「も、申し訳ありません……」
ブランは彼に詫びる。
ノアールは小さく鼻を鳴らした。
それから、冷淡な声で言う。
「仕事だ。俺と一緒に来い」
そういって彼は歩き出す。
それを見て幾度か瞬きをすると、ブランは慌てて彼を追いかけた。
「ノア兄様、お仕事、とは……?」
そう問いかけるブラン。
ノアールはそちらへ視線を向ける事もなしに、言った。
「暗殺だ」
冷たくそういい放つノアール。
それを聞いてブランは大きく目を見開く。
暗殺。
……殺しの仕事は、久しぶりだ。
そう思いながら、ブランはくっと息を飲む。
すると、ノアールが彼の方へ視線を向けた。
その視線は鋭く冷たいもので……
「……何だ。何か、文句でもあるのか」
そう問いかけるノアール。
ブランは視線を揺らして、ぶんぶんと首を振った。
「い、いえ、滅相もございません……っ」
ちょっと、ぼうっとしていただけで……!
そういうブラン。
ノアールはふん、と鼻を鳴らした。
「貴様なら油断が誘える」
「……囮ということですか」
「そうだ」
あっさりとそういってのけるノアール。
彼はそれだけ告げるとブランを置いて歩き出した。
遠ざかる後姿を見つめるブラン。
彼の瞳には、迷いが揺れていた。
―― "彼"は、どう思うだろう。
自分がしてきたことを、自分がしている事を、彼が知ったら……
彼はいったい何を思い、どういう反応をするだろう。
そう、不安になった。
……不安?
どうして?
だって、自分は……ノアールにさえ、必要としてもらえれば……
……嗚呼、違う。
"誰か"に、必要としてほしかった。
……それも、違う。
利用価値のあるものとして見られたいわけでは、なかった。
一人の人間として自分を必要としてほしい。
それが、願いだった。
だって、わかっているのだ。
ノアールが自分を愛してはくれないこと。
ノアールが自分を道具としか見ていないこと。
……そんなことを求めているわけではない。
出来る事ならば、自分を愛してくれる人と一緒に居たかった。
「なんて、ね」
そんな人がいるはずないか。
そう呟いて、悲しくなった。
そうだ。
望んじゃいけなかった。
ノアールにも、望んではいけなかった。
彼から自分に向けられる感情などない。
利用価値。
ただそれだけ。
それで満足していたつもりだった。
満足、しているつもりだったのに……
ぽつり。
涙がこぼれ出して、ブランは慌ててそれを拭う。
ノアールに見られたら、ことだ。
「どうした、ブランシュ」
聞こえた声に、やはりなと思う。
気づかれる前に、ブランは首を振る。
そして笑顔を浮かべて、いった。
「大丈夫です、お供致します」
そういって、ブランはノアールを追いかける。
彼が遅れて居ることに気づいても、足を緩めようとはしない"恩人"を……
―― Chain ――
(断ち切ることなど出来ない鎖。
それを断ち切ってほしいと願っているのか否か、もう自分にもわからない…)
(好かれたいの?必要とされたいの?
どちらの感情がつよいのか、そしてその願いが叶うのか…わからない)
2015-6-22 00:49