イリュジア王国警察第二騎馬隊二人&ライニさんのお話です。
ライシスとラヴェントの絡みは初めてでした…←
そしてライニさんとのやり取りも書くの楽しかったです
*attention*
イリュジア王国警察第二騎馬隊二人&ライニさんのお話です
ほのぼのなお話です
前半はライシス&ラヴェントの絡みです
後半はライニさんとラヴェントの絡みです
どうにも気の毒なラヴェント
ライシスはああいう気質ですすみませんライニさん←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
いつも通りの、穏やかな警察署。
その一室のドアがばんっと開いた。
その音に驚いて振り向くピンクの髪の少年……ライシス。
ばんっと音を立てて開いたドア。
そこに立っていたのは、紫髪の青年だった。
短い紫の髪。
たれ目気味な茶色の瞳。
それは、ライシスの上官であるラヴェントだた。
ラヴェント・ソルフィ。
イリュジア王国警察の第二騎馬隊隊長……――
ライシスの上官に当たる青年だった。
彼は息を荒くして、ライシスを睨みつけている。
そんな彼は吠えるような声で言った。
「ライシス!」
大きな声でそういう彼。
その声を聞いて、ライシスはきょとんとした顔をした。
そして小さく首を傾げながら、彼に問いかける。
「どうしたんですか?隊長……
そんな怖い顔をして」
皺増えますよ?などというライシス。
それを聞いてラヴェントは顔を顰めた。
そして、小さく溜息を吐き出しながら、言う。
「怖い顔をしたくもなる!何だこの報告書!」
そういいながらラヴェントは何かをつきだした。
それは一枚の紙。
それを見て、ライシスは目を細める。
そして、首を傾げながら、言う。
「何だも何も……任されておりました報告書です。
見てわかりません?」
そう問いかけるライシス。
それを聞いてラヴェントはぴくり、と表情をこわばらせた。
そして、溜め息混じりにいった。
「わかるよ!わかるからいってるんだよ!
報告ってなんの報告だよこれ……」
そういいながら揺らすラヴェント。
その書類はかなり空白が多い。
それは確かにライシスが出した書類だった。
「見たままですよ」
ライシスはあっさりとそう答える。
そしてにっこりとほほ笑みながら、言った。
「調査に行きましたが、別段目立つことはありませんでしたよ。
だから、それだけ報告したんですよ」
描くことがその程度のものしかなかったんですよ、とライシス。
それを聞いてラヴェントは溜息を吐き出して、言った。
「……じゃあなんであれだけ遅かったんだよ」
かなり帰りが遅かったじゃないか、とラヴェントは言う。
それを聞いて、ライシスはくすりと笑いながら、言った。
「当たり前じゃありませんか。
私が外に出かけていってそのまま何もなしに帰ってくるとでも?」
詳しく聞きたいんですか?とライシスは首を傾げる。
ラヴェントはそんな部下の返答に思わず頭を抱えながら、言った。
「……そうだった、わかってた」
知ってたよ、と彼は呟く。
ライシスの遊び癖。
それは、ラヴェントも良く知っている。
しかも今回は街中への巡回にいかせたから……
その帰りに歓楽街に寄り道でもしたのだろう。
そう思いながらラヴェントは溜息を吐き出した。
と、その時。
「そういえば……」
「そういえば?」
ふと何かを思い出したような声を出すライシス。
それを聞いて、ラヴェントは首をかしげた。
そんな彼を見て、ライシスはにっこりと笑って、言う。
「"金髪の野獣"様に会いましたよ」
その言葉にラヴェントは思わず目を見開いた。
そして、動揺した声を上げる。
「は?!金髪の野獣って、あの……?」
金髪の野獣といえば……有名な人間だ。
この国の人間ではないけれど……――
それでも、ラヴェントが良く知っている程度には。
ライシスは彼の言葉ににっこりと笑った。
そして、ラヴェントに言う。
「金髪碧眼の美人さんですよ。
男性だというのが嘘みたいに綺麗な……
もっとも、メイアン局長とはまた別な感じがしますけどね」
そういいながらにっこりと笑うライシス。
それを聞いて、ラヴェントは幾度も瞬きをする。
それから、呆れたような声で言う。
「そういう問題か?!
またお前、いらないことを言ったりしたんじゃ……」
表情をこわばらせながらラヴェントは言う。
それを聞いて、ライシスは顔を顰めた。
そして、肩を竦めながら言った。
「おやおや、心外ですね。
別に私は何もしていませんよ?ちょっと挨拶しただけで」
にこり、と笑うライシス。
それを聞いたラヴェントの血の気が引く。
「ライシス、お前……」
駄目だこれ、と呟くラヴェント。
彼は何かを恐れるように表情をこわばらせながら、小さく息を吐き出したのだった。
***
そんな、翌日のこと。
「はぁ……ライシスの所為で」
ラヴェントはぶつくさと文句を言いながらディアロ城の廊下を歩いていた。
本当はライシスが向かう仕事だったのだが、"今は別にあの城に用事がないんですよねぇ"と拒否された。
行かせようとしたのだけれど、いったら遊んできてもいいか、と恐ろしいことを言われたために諦めてこうして自分で来たのである。
彼のこの悪癖はどうしたら治るだろう。
そう思いながらラヴェントが溜息を吐き出した、その時。
「貴方……王国警察の方ですよね」
不意に後ろから聞こえた少し高い声。
それを聞いてラヴェントは少し驚いたような顔をして振り向いた。
「ん……何……」
そして、はっとしたように目を見開く彼。
その視線の先に立っていたのは……
「っ、ハイドリヒ殿……」
美しい金髪。
鮮やかな蒼の瞳。
それは、昨日ライシスに聞いた話の人物で……――
ラヴェントの前に立っている美しい少年……ハイドリヒ。
彼はラヴェントの茶色の瞳を見つめながら、いった。
「貴方ですよね、桃の髪の警官の上司は」
「は、はい……ライシスは、私の部下でございます」
間違いなく彼のことだ。
冷や汗を流しながら、ラヴェントはそう答える。
そんな返答を聞いて、ハイドリヒは溜息まじりに行った。
「……部下の管理くらい、しっかりしたら如何ですか」
昨日貴方の部下に会いましたが、というハイドリヒ。
やはり彼が余計なことをしたのか、とラヴェントは顔を顰める。
そして慌てたように頭を下げながら、いった。
「も、申し訳ございません……
このたびは私の部下が大変迷惑かけてしまって……」
重々言い聞かせておきますから!とラヴェントは言う。
ハイドリヒはそれを聞いてふ、と息を吐き出す。
「上官である貴方は幾分まともなようですね」
そういうハイドリヒ。
それを聞いて、ラヴェントは頭を下げつつ、言った。
「本当に、申し訳ありません……」
「やれやれ……
あんなタイプの人間、この国にはあまりいないと思っていましたけどね」
あの後大変だったんですから、とハイドリヒは小さく溜息を吐き出した。
そう。
色々大変だったのだ。
アネットに散々色々言い聞かされて……
それは、口に出さなかったけれど。
「とにかく、頼みますね。
部下の指導は」
そういってハイドリヒは背を向け、歩いていく。
ラヴェントはそんな彼に頭を下げていた。
「……まったく、とんでもない相手に喧嘩売りやがって……」
あの馬鹿はもう一回説教だ。
そう呟いたラヴェントは柔らかい髪を掻き揚げたのだった。
―― Discipline ――
(馬鹿な部下を持つと上司は辛いんだ。
それを口に出すことさえまともに出来ないしね…)
(部下と違って上官はまともなようで。
本当にしっかりと躾をしていただきたいものですね)