新キャララーク・スカイフォード絡みのお話です。
完全に設定から入った子ですが…こういう子好きです(^q^)
絡みとしては、主人公コラボだけですが…
ラークとも絡んでいただけたら嬉しいです♪
*attention*
新キャララークのお話です
絡みとしては主人公コラボ
ほのぼのなお話です
いや、シリアスなのかも
というかラークの設定がシリアスデス(^q^)
ヒトラーさんも彼に共感するところがあったら嬉しいなとか…
久々に書いた所為でキャラが迷子←おい
ひとまずこれからラークをよろしくお願いします…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
Side " "
静かな空間。
それが、僕の空間だった。
物心ついた時から、僕は此処にいた。
時折僕の様子を見に来てくれる男の人と女の人がいて。
それ以外は、いつも一人。
ごはんや飲み物はいつも届けてもらえたけれど、僕は此処から出ることは出来なかった。
その中で、僕は色々なことを知った。
色々なことを、覚えた。
部屋に来てくれる男の人と女の人。
男の人が僕の"お父さん"で、女の人が"お母さん"であること。
僕は、お父さんとお母さんに言いつけられて、この部屋にいること。
僕は此処から出てはいけない事……
それは、理解していた。
小さい頃からそれが当たりまえで、僕はこの狭い世界の中で暮らしていた。
別に不自由はなかった。
面白い本はたくさんあったし、"文字"は先生が教えてくれた。
本を読むのは好きだったし、本を読み終わってしまっても歌を歌うことが出来た。
自由帳やクレヨンもあったから、絵を描くことも出来た。
退屈なんかではなかった。
けれど、本を読む中で知りたいと思うことは、あった。
外の世界は、一体どんな世界だろうか。
"空"って何?
"海"って何?
知りたい、見たい、そう思ったけれど……
外に出てはいけない、と僕のお父さんとお母さんは言う。
僕のためだから、と。
だから僕はずっとそこにいた。
ずっと、ずっとずっと……――
少しずつ僕は、大きくなった。
それでも僕は、外には出られなかった。
出なくても、生きていられた。
そんな、ある日の事だった。
僕が、外の世界に出されたのは……――
***
「おいっ、まだそこ火が燃えてるぞ!」
「そっちもだ、早く消せ!」
街中に響く声。
怒声。
ざわめく、やじうまの声。
その中で救出活動をしているのは、ディアロ城の騎士たちだった。
夕日に染まる空。
其の中、燃え盛る屋敷……――
本来、消火活動は騎士の仕事ではない。
しかし中に人間が取り残されているということもあって、騎士たちが救出活動を行うことになったのだった。
結局……
屋敷の中からは、三人の遺体が発見された。
まだ詳しい検証がされていないからわからないのだけれど、火の気はなかったらしく、外からの放火ではないかという話が出ていた。
鎮火し始めた。
後は、警察の仕事だ。
そう思いながら騎士が引き上げようとした、その時。
「おい、こっちに階段があるぞ!」
「地下室!?」
そんな、声。
それを聞いた亜麻色の髪の騎士……フィアはその声がする方へ駆け出していく。
「おいフィア!」
駆け出していくフィアを呼ぶ、パートナー……シスト。
彼は少し焦った表情を浮かべていた。
しかし、彼がそうして行動した理由は分かる。
彼もまた、幼いころに火事に巻き込まれている。
そして、最後の最後まで、救出されなかったのだ。
今みつかったという地下室。
もしかしたらそこに人が?
そう思ったフィアはいてもたってもいられず駆け出したのだろう。
シストはそう思いながら、急いでパートナーを追いかけたのだった。
***
「貴方は、誰ですか?」
地下室に飛び込んでいったフィアはそう問いかけられて驚いた顔をした。
だってそこには、無傷の少年が一人、きょとんとして立っていたから。
萌黄色の髪。
そして……片一方は青、片一方は黄色の瞳。
フィアは、彼女が仕えているこの国の王女を思い出した。
「お前……怪我は?」
「怪我?」
不思議そうに首をかしげる少年。
彼は、確かに無傷の様だ。
此処までは火が回らなかったと見える。
火事が起きたことも知らないらしい。
……おそらく、親が、兄弟が、死んだことも。
そういった事情はあとで説明するとして。
今は、彼の疑問に答えよう。
そう思いながら、フィアは自己紹介をした。
「俺はフィア、ディアロ城の騎士だ」
フィアがそう名乗ると、少年は一層きょとんとした顔をした。
"騎士?"と繰り返す彼。
まるで、その言葉の意味を知らないかのように……
「……お前」
「あ、すみません……僕、此処から、出たことがないんです。
"外"の人は、知らないんです」
すみません、と詫びる彼。
微笑むその少年は、この状況を"異常"と感じている様子もない。
とりあえずは……
彼を、保護して連れて帰るしかない。
そう言いたげな顔をした後、フィアはそんな少年に視線を合わせる。
「この屋敷が火事になったんだ。
地下室までは、火が回らなかったらしい……だから、お前は無事なんだな」
「火事、ですか……」
「あぁ。それで、……お前、名前は?
ここは、スカイフォード家……だよな?」
フィアが訝しげに問いかけるのには、理由があった。
この屋敷が、城下でも有名な貴族,スカイフォード家の屋敷であることは事前に知っていた。
みつかった遺体が、この屋敷に住む夫妻と"一人息子"である少年であったことは、明らかで。
―― この少年は、一体何者だ?
一つの予感が胸をよぎる。
フィアはじっとその少年を見つめる。
「……、お前、名前は?」
フィアは彼に問いかける。
もしかしたら、遺体の一つがこの家の子供のそれではなくて、彼が生き残った子供なのかもしれない。
そんな想いを抱きながら。
フィアに名を問われた少年は、にっこりと微笑む。
そして、彼は無邪気な表情で答えた。
「僕はラーク・スカイフォード。
この家の、スカイフォード家の長男です」
そういって微笑む少年。
そんな彼の言葉を聞いて、フィアは驚いたように目を見開いたのだった。
***
―― ところ変わって、ディアロ城。
すっかり夜も更けた時間。
静かになった騎士の棟の食堂……
そこでヒトラーはひとり、紅茶のカップを傾けていた。
砂糖をたっぷり入れた、甘い紅茶。
それを飲みながら、彼は"仲間"を待っていた。
と、その時。
食堂のドアが開いた。
そして中に、亜麻色の髪の少年騎士がはいってくる。
「あ、フィア……どうだった?」
ヒトラーはそんな相手、フィアに問いかける。
フィアは彼の声に顔を上げると、ふっと息を吐き出しながら、言った。
「今は、ジェイド様のところにいます。
怪我はないようでしたが、念のために……」
そう説明するフィア。
そうか、とヒトラーも少しほっとしたように頷いた。
それから、少し躊躇いつつ、彼に問いかける。
「それで、あの子は……」
「あぁ……俺たちの、予想通りでした。
彼は、存在を隠された子供……彼の存在は、実の両親によって隠されていたようです。
あの地下室に閉じ込めることで……」
そういうフィアは、少しだけ悲しげに目を伏せていた。
そして、小さく呟くように言う。
「あの子……ラークは、親に言われていたそうです。
お前を守るためだから、此処から出てはいけないと……
……その実、おそらく彼の"目"を見て、彼を隠す事にしたんです」
「オッドアイ、か……」
ヒトラーはそう呟いて、渋い顔をする。
そして自身の瞼にそっと触れた。
知っている。
この国で、オッドアイの人間がどういう扱いを受けるのか。
この国の王女の話を、正式に言えば彼女の姉の話を聞けば、わかる。
「……不吉の象徴。
そんな思考もだいぶ拭われつつあるようですが……
それでもやはり、古いしきたりに縛られた貴族の家では、跡取りがオッドアイというのは問題なのでしょうね」
だから、彼の存在は隠した。
しかし流石に無碍に扱うことは出来なくて、彼を気遣うフリをして、彼を地下室に閉じ込めた。
……結果的にそのことが、彼を守ったわけだけれど。
「でもあの子は、そのことをなんとも思っていないようですね。
自分を閉じ込めていた父親と母親を恨んでいる様子は皆無でした。
一応一通り、事情は説明したんですが……
なんというかあまり状況を理解していない、というか。
家族が死んでしまった、という事を理解しきっていないようだったんですよ。
いなくなった、ということを説明すれば悲しそうな顔はしていたんですけれど……」
「……よくも悪くも、"何も知らない"といったところか」
ヒトラーはそう呟く。
そして小さく溜息を吐き出しながら、言った。
「……これからどうなる?」
「騎士団で保護する形になりますね。
いつでも誰かしらは此処にはいますし……
……あんな世間知らずな子を適当に放りだせば危険なのは目に見えていますからね」
べつに、孤児院に連れていく事だって可能だった。
けれど……
そうすれば、ほかの子供たちになじめず苦労することも目に見えている。
騎士団に置いておけば、たとえ何かあったとしても、誰かが守ることが出来るだろう。
フィアはそういう。
それを聞いてヒトラーは、それもそうだな、と頷いた。
「私たちも、出来ることがあればするから」
そういって、ヒトラーは微笑む。
フィアは"お願いします"といいながら、その言葉に頷いたのだった。
―― Pure child ――
(純粋で世間知らずな、憐れな子供。
隠されていた、その存在も、その理由も、すべて)
(私たちに出来るのは、彼を保護して、"世界"を見せてやること。
きっと、騎士団の判断はそう言うことなのだろう)