シモ・ヘイヘさんとライシスのお話です。
ちょっとずつ二人を近づけたかった結果デス…
嫉妬っていいよねという話(^q^)
*attention*
シモ・ヘイヘさんとライシスのお話です
シリアスめ?後ほのぼのなお話です
嫉妬ネタなお話です
ライシスは女性にこういう態度なので…
それをひそかに気にするシモ・ヘイヘさんだったら可愛いなという話←
ライシスは一応シモ・ヘイヘさんを意識しているはず、なんだけどなぁ…(笑)
今一つキャラがつかみきれないために短め
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
銃を構える。
遠くに見える、的。
しかしその距離もいつも通りの距離なのに……――
引き金を、引く。
撃ちだされる銃弾。
しかしそれは、的から外れた。
それを見て、銀髪の少年……シモ・ヘイヘは目を細める。
そして苛立ちを込めて、溜息を吐き出した。
「当たらない……」
苛立ったように溜息を吐き出す。
彼はもう一度、的を狙った。
何度もこの作業を繰り返している。
何度も、何度も、何度も……――
いつもならば集中して、撃つことが出来たのに。
いつもならば、余裕ですべての的に命中させられるのに。
どういうわけか、今は駄目だ。
全てが外れる。
しかしその理由が、彼には、よくわからなかった。
的を狙う度に頭をよぎる光景。
それは、先刻見た、最近よく声をかけてくる長いピンクの髪の少年……ライシスの姿だった。
先程城の中で見た彼。
また自分に声をかけに来たのだろうか。
そう思いながら、シモ・ヘイヘは彼の方を見ていたのだけれど……――
彼は、城の中で一人のメイドに声をかけられていた。
可愛らしい、小柄な少女。
ライシスは金色の髪の少女に微笑みかけて、その柔らかい金髪をそっと撫でながら微笑んでいた。
彼の微笑みを見て、メイドは頬を赤く染めていた。
照れくさそうに、嬉しそうに、ライシスに何か言っていた。
甘い表情。
柔らかい表情を浮かべている、二人。
その姿を暫し見ていたシモ・ヘイヘだったが……
やがて、ひょいとそっぽを向いた。
そしてそのまま、外に……射撃場に向かったのだった。
―― 何で、だろう。
シモ・ヘイヘはもう一度的に銃を向けつつ、考える。
見たくないと、思った。
先程のライシスの姿を。
正式に言えば……ああして女性と親しげにしているライシスの姿を。
だから、彼から離れた。
見なくていいように。
彼らの、仲睦まじげな表情を見ないで済むように……
そうして彼から離れて、狙撃の練習に向かった。
練習、というよりは気晴らし、だろうか。
こうして何かを撃つのは彼の本職のようなものだったから。
生きるために銃を握っていた彼にとって、射撃は心を冷静にするのに最適と思っていて……
―― 冷静?
自分の思考に、自分で問うた。
冷静になるためにちょうどいい、と思った。
つまり今自分は冷静でない、ということだろうか。
一体、どうして?
そう、考えた時。
不意に後ろに気配を感じた。
反射的に警戒しつつ、シモ・ヘイヘはふり向く。
「こんにちは、シムナ」
そういってにっこりと微笑む、ピンクの髪の少年……ライシス。
その姿を見てシモ・ヘイヘは少し力を抜いた。
ライシスは視線を的の方へ向ける。
そしてすっと目を細めた。
「珍しいですね。当たっていない」
どうやら彼も気づいたらしい。
シモ・ヘイヘが優れた狙撃手であることはライシスも良く知っている。
だからこそ彼が的をはずすというのが相当珍しいことは、わかり切っていた。
「……なんか、調子悪い」
シモ・ヘイヘはそういう。
そして銃を構え直した。
「体調悪いとかではありませんか?」
少し心配そうな声色で、ライシスは訊ねる。
その声に幾度か瞬いた後、シモ・ヘイヘはゆっくりと首を振る。
「体調は、悪くない……」
べつに、平気。
そういいながら、シモ・ヘイヘは銃を構える。
大丈夫ならいいんですが、というライシスの声を聞きながら、彼は銃の引き金を引いた。
すると。
今度は、いつも通りに的の中心を銃弾が撃ち抜く。
先程までの不調が嘘のようだ。
「?どうして……?」
小さく呟く彼。
そして彼はもう一度銃を構え直した。
先程撃ち抜いたものよりも遠くにある的に狙いを定めて、立て続けに撃つ。
その的もすべて綺麗に撃ち抜かれる。
撃った当人も少し驚いたような顔をした。
「わぁ……すごいですね」
ひゅう、と口笛を吹くライシス。
そんな彼を見て、シモ・ヘイヘは不思議そうに自分の手とライシスの顔とを交互に見た。
ライシスは彼と目が合うと、不思議そうに首をかしげる。
「?どうかしました?」
そんな彼の問いかけに、シモ・ヘイヘは首を振る。
どうかした、と問われてもそれに答えることは出来なかった。
そうですか、と呟き、ライシスは微笑む。
それから、ふと視線を城の建物の方へ向ける。
帰ろうと、しているのだろうか。
そう思うのと同時、すっと手が伸びていた。
「え?」
ライシスは少し驚いた顔をして振り向く。
シモ・ヘイヘも彼と目が合うと、少し驚いたように瞬きをした。
彼の手は、ライシスの服を掴んでいた。
それに気づくと、シモ・ヘイヘは少し躊躇ってからその手を離す。
それから、ライシスに言った。
「傍に、いてほしい……
ライシスが、傍にいると……上手く、いくから」
シモ・ヘイヘはそういう。
ライシスはそれを聞いて、少し驚いたように目を見開いた。
それから、ふわりと嬉しそうに笑う。
嬉しかった。
理由は分からないけれど……
自分に、傍にいてほしいと、彼が言ってくれたことが。
「ふふ、いいですよ」
そういいながら、ライシスはシモ・ヘイヘの傍に立つ。
そして、一瞬躊躇ってから、彼の綺麗な髪に触れた。
「綺麗な髪ですねえ」
綺麗な、銀色。
ライシスはそういいながら目を細める。
優しい手を感じながら、シモ・ヘイヘも目を細めた。
そうして触れられる感覚。
それに対して、何かを感じる。
それが"何"なのかは、よくわからないけれど……
安心?
それに、似たような感覚。
ライシスはそんな彼を見つめながら、穏やかな表情を浮かべる。
そして暫し、シモ・ヘイヘの頭をなでていたのだった。
―― 見えない、感情 ――
(その感情をなんと呼べばいいのか、よくわからない
彼が傍にいると、なぜか落ち着いて、綺麗に射撃が出来る)
(傍にいてほしい。
そういった彼の声に、私は少し驚くと同時に、確かに喜びを感じて…)