大佐殿と影猫ちび勢のお話です。
ちび猫たちの面倒を見る大佐殿を書きたくて…
とりあえず、色々すみません大佐殿(^q^)←
*attention*
大佐殿と影猫ちび勢のお話です
ほのぼのに見せかけてシリアスチック
大佐殿は優しいので助けに来てくれるかなと…
ペルのことが嫌いなブランと、大佐殿を敵視するロシャ
ゲッベルスさんが大好きなロシャなので…
ブランはこういう陰険なイタズラします←
とりあえず大佐殿、ごめんなさい…(^q^)
続くかも?
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKというかたは追記からどうぞ!
任務も会議もなく、静かで穏やかな午後……
黒髪の少年、シュタウフェンベルクはひとり、静かに本を読んでいた。
よく一緒に居る幼げな黒髪の少年も、金髪の副官も、今は不在。
二人とも、各々出かけるなり寛ぐなりしているのだろう。
シュタウフェンベルクはそう思って、別段気にすることなくいた。
と、そんなとき。
軽いノックの音。
彼が顔を上げて返事をすると、ドアがゆっくりと開いた。
底に立っていたのはつい先刻思い浮かべた黒髪の少年……ペルで。
「クラウス兄さん」
彼は少し困ったような声色でシュタウフェンベルクを呼んだ
そんな彼を見て、シュタウフェンベルクは不思議そうな顔をする。
「ペル?どうした?」
何かあったのか?
そう問いかけるシュタウフェンベルク。
ペルは少し迷うように視線を彷徨わせながら、言った。
「今日、お仕事ない……?」
控えめにそう問いかけるペル。
そんな彼を見て、シュタウフェンベルクは不思議そうに首を傾げた。
「ないが……どうかしたか?」
何か用事だろうか。
何処かに行くのだろうか。
何かしたい事があるのだろうか。
そんなことを考えつつ首を傾げるシュタウフェンベルク。
ペルはそんな彼を見つめながら、言った。
「ちょっと、来てほしい……僕たちの、住んでた屋敷に」
困ってることがあるの、とペルは言う。
確かに彼は少し困った表情だ。
ペルの言葉にシュタウフェンベルクは少し驚いた顔をする。
それから、こくりと頷いた。
「?構わないが……」
一体どうしたんだろう。
ペルが自分からあの屋敷に帰るなんてことは、今まであまり言い出さなかったのに……
そう思いつつ、シュタウフェンベルクは頷いたのだった。
***
シュタウフェンベルクはペルと一緒にあの屋敷に行った。
ドアを開けて部屋の中に入るペル。
彼は真っ直ぐに一つの部屋に入っていった。
そこは、リビングルーム。
そのソファに力なく腰かけている癖毛の少年。
ぐったりした様子の彼に歩み寄って、ペルは声をかけた。
「ロシャ」
ロシャ、と彼の名前を呼ぶ。
それを聞いて、彼はゆっくりと目を開けた。
ゆっくりと瞬く瞳。
ペルと同じ漆黒の瞳は微かに潤んでいるようだった。
「う……ペル?」
気だるげな表情を浮かべるロシャ。
彼はぼんやりした様子でペルを見つめる。
ペルはそんな彼に言った。
「クラウス兄さん、連れてきた……」
そういうペル。
シュタウフェンベルクはそっと彼に歩み寄る。
そんなシュタウフェンベルクの姿を見て、ロシャは一度大きく目を見開いた。
「っ……」
動揺したように瞳を揺らすロシャ。
彼を心配そうに見つめながら、シュタウフェンベルクは言った。
「大丈夫か……」
ペルから、話は聞いていた。
久しぶりに屋敷に帰るとロシャが熱を出して倒れていたと。
自分ひとりじゃ何もできないから助けてほしい、と。
見るだけでもロシャはかなり辛そうだ。
大丈夫だろうか。
そう思いながら、シュタウフェンベルクはロシャに手を伸ばす。
しかし。
「触るなっ」
そんな声といっしょに、手を跳ねのけられた。
シュタウフェンベルクは少し驚いたような表情を浮かべた。
ゆっくりとまばたく、青っぽい瞳。
「な……」
なんで。
そう言いたげな、シュタウフェンベルク。
ロシャはそんな彼を睨みつけていた。
そして、掠れた声で言う。
「ゲッベルスがアンタのこと嫌いっていってた……
だから、僕もアンタのこと、嫌い……
アンタの言うことなんか、聞かないからな……っ」
その言葉にシュタウフェンベルクは驚いて目を見開いた。
出てきた、名前。
それは確かに、自分が親しいとはいいがたい人間の名前で。
そう叫ぶように言ったロシャは咳き込む。
ペルはそんな彼に駆け寄ると、その背を優しくさすった。
そしてロシャの額に触れながら、言った。
「ロシャ、おとなしく寝てて……
熱、上がってるから……」
「うー……」
小さく呻くロシャ。
辛いのは事実なのだろう。
ペルには触れられてもおとなしくしている。
ペルはシュタウフェンベルクの方を見た。
そしてやや途方に暮れたように言う。
「クラウス兄さん……どうしたら、いい?」
何してあげればいいかな、とペルは言う。
シュタウフェンベルクはそんな彼に、言った。
「氷水を洗面器に入れてきてくれるか?
それと、タオルと……」
それくらいでいいから、とシュタウフェンベルクは言う。
薬や食べ物はあとで持ってくればいいだろう、と思いながら。
ペルは彼の言葉に頷いた。
「わかった」
ぱたぱたと走っていくペル。
その背を見送った後、シュタウフェンベルクはふらふらと自室のベッドに歩いていくロシャを追いかけた。
そんな彼を無視してもぞもぞと布団に入るロシャを見つめた後、彼は小さく呟く。
「まったく……
こんな子供が風邪引いてるのに、あの堕天使と悪魔は何処に行っているんだ」
この屋敷には二人"大人"がいるはずで。
しかし彼らは両方不在だ。
おそらく何処か出かけてしまっているのだろう。
「子供扱いするな!
もし普通に生きてたら、僕の方がアンタより年上なんだからな……っ」
そう叫ぶロシャ。
よほどシュタウフェンベルクを敵視していると見えて、先程から緊張を解こうとしない。
どうしたものか、とシュタウフェンベルクは思う。
無論彼に危害を加えるつもりはない。
寧ろ、彼を助けてやりたいと思っているのだけれど……
ヘタに近くにいたら、彼にストレスだろうか。
とその時、ドアが開いた。
大きめの洗面器にたっぷりの氷水を入れたロシャがゆっくり歩いてくる。
「クラウス兄さん、お水持ってきた……っ!?」
持ってきたよ。
その言葉は最後まで紡がれなかった。
ペルがその場にべしゃり、と転んだからである。
シュタウフェンベルクは驚いてそちらを見た。
ペルは確かに元からよく転ぶ性質だったが、何の理由もなしに転ぶことはなくて……
その原因。
それはドアの傍に立っていたもう一人の"仲間"の所為だった。
「い、たい……」
「何が兄さんだよ」
ふん、と鼻を鳴らす、グレーの帽子を被った少年。
彼は転んだペルを見下ろしている。
シュタウフェンベルクはそれを見て彼……ブランに行った。
「こら、足をかけるな、危ないだろう?」
「人間の言うことなんか聞かないよー、だ。
大体なんなのさ、いきなり僕たちの家に来て……ノア兄様に叱られるよ」
べ、と舌を出す可愛げのない少年。
それを見て、ペルは顔を顰める。
そして体を起こしながら、言った。
「ブラン……クラウス兄さんに謝って。
僕が、ロシャの面倒見てほしくて呼んだんだ」
そんなペルの言葉にブランは眉を寄せる。
それから、ペルに噛みつくように言った。
「ノア兄様と仲良しなあの人とか呼べなかったわけ?
何でよりによって御主人もノア兄様も、あげく当人ロシャまで苦手な人呼ぶのさ」
馬鹿じゃないの、とブランは言う。
ペルはそんな彼に応戦するように言った。
「クラウス兄さんは、こういうこと慣れてるし、優しいから」
「兄さん兄さんってほんとバカみたい!
ほんとの兄弟じゃないくせに!」
そう叫ぶブラン。
シュタウフェンベルクはその言葉に大きく目を見開く。
ペルもそれにはひるんだようだったが……
「ほんとじゃなくても、兄弟だもん……」
静かな声でそういう。
びしょりと濡れた服を握りしめながら。
そんな彼らを見ながらシュタウフェンベルクは言った。
「二人とも落ち着け、ロシャが休めな……って、何処にいった?!」
気づけば、ロシャがいない。
一体何処に行ったんだとシュタウフェンベルクは慌てて探しに行く。
結局、彼は外にいた。
"ロシャ!"とペルが呼んでいたあの少年の名前を呼ぶが、無視しているのか聞こえないのか彼はふり向かない。
「外の方がよっぽど落ち着く……」
そう呟く彼の肩にそっと手を置く。
「部屋にもどれ、悪化するだろう?」
そういう、シュタウフェンベルク。
心からの心配だったのだが、ロシャは怒りの表情を浮かべ、その手を払いのけた。
「余計なお世話だよ!別に僕は……」
立ち上がってそう叫ぶロシャ。
その体がふらり、と傾いだ。
危ない、と声をあげ、シュタウフェンベルクは彼の体を抱き留める。
ロシャは意識を失っているようで、暴れたりもがいたりはしない。
そんな彼を見つめながら、シュタウフェンベルクは小さく息を吐き出す。
片方しか腕がない彼ではロシャを抱き上げることはできない。
「クラウス兄さん!」
声をかけてくるペル。
どうやら、シュタウフェンベルクを追いかけてきたらしい。
仕方ない、彼に運んでもらおう。
シュタウフェンベルクはそう思いながら、苦笑を漏らしたのだった……
―― 思いやりと、前途多難 ――
(ただ心配しているだけなんだが…
いったいどうしてやるのが、彼らには最善なのだろう?)
(大好きな兄さんと、大切な"仲間"だった子達。
仲良くしてほしいって思うのは我儘なのかなぁ?)