シュタウフェンベルク兄弟&シュヴァイツァーさん&ヘフテンさんのお話です
ペルのために人参料理考えるみなさんを書きたくて…←
*attention*
シュタウフェンベルク兄弟&シュヴァイツァーさん&ヘフテンさんの話
カナリスさんもちらっと
ほのぼのなお話です
人参嫌いなペル
ペルのために試行錯誤な皆さんを書きたくて←
カナリスさんも苦笑気味な感じのブラコンお兄さまたち
大佐殿もちょっとブラコン気味なら可愛いんだ←おい
ペルも喜ぶ…と思います←おい
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
いつも通りの食堂。
その椅子に腰かけているのは長い黒髪の少年……ペル。
いつもは明るい表情で此処に座るペルなのだけれど、今日の彼の表情は完全に曇っていた。
そんな彼のところに小さな皿を運んでくるベルトルト。
彼はペルの前にそれを置きながら、言った。
「どうかな、グラッセにしてみたよ」
そういうベルトルト。
ペルはちら、とそこに視線を落とす。
小さな皿に盛られているのは、鮮やかなオレンジ色の野菜。
基、人参である。
食べやすいように小さく切ってあるそれ。
ペルはぷいとそっぽを向いた。
「うぅ……やだ」
食べたくない、というペル。
ベルトルトはそんな彼を見て少し眉を下げる。
彼がいつも使っているフォークで一つ刺しながら、彼はペルに差し出す。
「食べてみたら甘いよ?美味しいよ?」
ちゃんと甘く作ったから、と彼はいう。
ベルトルトは人参嫌いな弟のためにと、こうしてちょっとした工夫をしながら、ペルにどうにか人参を食べさせようとしているのだった。
甘いものが好きなペル。
だから、グラッセにしてしまえば食べるだろうと思ったのだけれど……
ペルは差し出されたフォークから口をそむける。
ふるふると首を振りながら、言った。
「……人参、いや」
食べない、という彼。
頑ななペルを見て少し困ったような顔をするベルトルト。
アレクサンダーは一つ口に運んで、言う。
「ほら、美味しいぞ?」
もくもく、と人参グラッセを食べるアレクサンダーを見て、ペルは顔を顰める。
そして、呟くように言った。
「アレクサンダー兄さんは、人参食べれる……
僕、人参、食べられない、もん」
そういうペルに、アレクサンダーも苦笑だ。
よほど苦手らしいな、という彼。
クラウスはそんな兄とペルのやり取りを見ながら、言った。
「もしかしたら、見た目が人参そのままだから嫌なんじゃないか?
味はともかくとして」
どう見ても人参って感じだから悪いのではないか、とクラウスはいう。
ペルがどうしてそうも人参を嫌うのかわからないのだけれど、見た目が明らかに人参、という感じだから嫌なのかもしれない。
クラウスの発言にベルトルトは少し考え込む表情。
そして、小さく呟くように言った
「じゃあいっそケーキにしてみるかなぁ……」
味に慣れちゃえば食べられるかもしれないし、とベルトルトはいう。
とりあえず口にするのもいやだというこの状況からなんとかすべきだと思う。
兄の言葉にそれもそうかもしれないな、とクラウスもこくりと頷いた。
そんな二人のやり取りを見ていたシュヴァイツァーは小さく首を傾げる。
そして、提案するように言った。
「その前に目を閉じさせてでも食べさせてからのほうがいいんじゃないですかね?
最初からお菓子に頼っちゃうのはどうかと」
見た目がダメだというならそうすれば良いだろう、とシュヴァイツァーはいう。
食べ方を工夫するのもありかもしれないが、それより先に普通の人参を食べれば良いだろう。
しかし……
そんなシュヴァイツァーの言葉にクラウスは険しい顔をした。
そして、怒ったように言う。
「そんな酷い真似出来るか馬鹿シュヴァイツァー!」
そんな無理やり食べさせるような真似!とクラウスはいう。
そんな彼の言葉にシュヴァイツァーは驚いたような困惑したような顔をした。
「えっ私が悪いんですか?!」
「可哀想だろう!」
「えぇ……?」
自分が悪いのか、とシュヴァイツァーは納得いかない表情だ。
クラウスは"大事な弟にそんな酷いことが出来るか"と呟いている。
ペルはそんな兄弟のやり取りを見つめる。
それから、小さく呟くように言った。
「人参……食べなきゃ、だめ?」
そういいながら小さく首を傾げるペル。
ベルトルトはそんな彼の言葉に苦笑を漏らしつつ、言った。
「駄目だよペル。
人参は体に良いんだからさ」
「そうだぞペル、人参食べないと目が見えなくなっちゃうかもしれないんだぞ!」
アレクサンダーも真剣な表情でそういう。
ペルはその言葉に表情をひきつらせて、自分の目に触る。
そんな彼の行動にクラウスは思わず表情を緩めた。
素直で可愛い。
人参が嫌いで食べないとは言っても甘いもので釣れば食べられるし……
ただ、好き嫌いが多いというのはやはり問題だから、改善してやりたい。
どうにかして、人参を食べられるようにしてやりたいというのが兄たちの想いだった。
「ほらペル、一口でいいから食べてごらん?
僕頑張って作ったんだよー?」
「ぅうう……」
ベルトルトが作ってくれたものだから残したくない。
けれど人参は嫌い。
そんな状況だから、ペルは逃げることも出来ず、かといって口を開けることも出来ないまま、
口の周りを人参でべたべたにしてしまっている。
「ほらペル?」
「いやー……」
「じゃあ明日はピーマンで何か作ろっかな」
「それもいや」
ぷいっとそっぽを向くペル。
そんな彼の様子を見ながら、クラウスとアレクサンダー、シュヴァイツァーは顔を見合わせて笑ったのだった。
***
そんな、次の日のこと。
クラウスは仕事を終えてから、ある人が来るのを待っていた。
相手も仕事がある。
それが終わったらでいいから会えないか、という話をしたのだった。
「お待たせしました」
そう声をかけてきたのは、黒髪に金色の瞳の青年。
クラウスとも親しい海軍の青年……カナリスだった。
彼は自分を呼び出したクラウスに小さく首を傾げて見せつつ、訊ねた。
「それで、どうしたんですか?
貴方が僕を呼ぶなんて珍しいですよね」
別に忙しいわけではないから大丈夫ですが、と彼はいう。
そんなカナリスの言葉にあぁ、と頷きながら彼は言った。
「人参とか、ピーマンとかを食べやすくする方法を聞きたかったんだ」
「え?」
クラウスの発言にカナリスは少し驚いたような顔をする。
あまりに唐突、かつよくわからない質問。
きょとんとした彼を見つめて、クラウスは言った。
「ペルが苦手らしくてなんとか克服させたいんだが……
私は普段料理なんてしないからな……どうしていいのかわからないんだ」
そう語るクラウス。
そんな彼の発言にカナリスは幾度か瞬きをした後、おかしそうに笑いながら、言った。
「ああ……なるほど。
だから貴方のお兄さんもそんなことを尋ねてきたんですね」
納得した様子の彼。
それを見て、クラウスは驚いた顔をする。
「えっ、ベルトルト兄さんも?」
驚きの声を上げるクラウス。
カナリスはそんな彼を見て苦笑を漏らしつつ、言った。
「今日仕事場に着くなりアプヴェーアに来るもんだからどうしたのかと思いましたよ。
聞けばピーマンの苦味を取るにはどうしたらとか言うもんだから……
それで夕方に貴方からのお誘いでまた何事かと思いきや……
ほんと、ブラコンですよね貴方たち」
そっくりですよ二人とも、というカナリス。
その言葉にクラウスは唇を尖らせる。
「兄さんほどではない」
「どうだか……
でもまぁ、いいですよ。
ある程度、工夫して子供が食べられそうな料理は幾らか考えてありますから」
そういって苦笑するカナリス。
クラウスは今一つ納得いかない顔をしつつ彼に野菜の料理法を聞いたのだった。
***
そうした後……
クラウスは家に帰ると、ベルトルトに夕方のことを話した。
ベルトルトも"クラウスも訊いたんだ"といって苦笑していた。
それを聞きつつ、クラウスはベルトルトにいう。
「兄さんも訊きに行っているとは思わなかった」
「そういうクラウスこそ普段料理なんて興味なさげなのに提督に聞きに行ったりして……ペルが来てから変わったよね」
全然そんなこと今までなかったのに、と彼はいう。
それを聞いてクラウスは不思議そうに幾度か瞬きをした。
それからちょこりと首を傾げる。
「……そうか?」
実感は、ないらしい。
しかし明確に変わったよ、とベルトルトはいう。
やはり"弟"が出来たことによっていろいろ変ったのだろうかと思う。
と、その時。
ばんっとドアが開いた。
部屋の中に入ってきたのは、アレクサンダー。
「ベルトルト!今帰ってきたぞ!あと図書館で美味しそうなレシピ見つけてきた!!」
明るい笑顔でそういうアレクサンダー。
彼が手にしているのはレシピ本と思しき本だ。
彼もまた、ペルのためにレシピを調べてきたらしい。
クラウスとベルトルトが顔を見合わせて、笑った。
と、同時。
「こんばんはヘフテンですー、メイドさんから美味しいレシピいただいてきました」
「シュヴァイツァーですー、ベルトルトさん、行きつけのカフェのマスターにレシピ聞いてきましたよー」
重なる二つの声。
それを聞いて、クラウスとベルトルトはおかしそうに笑う。
「……どうやら考えることは皆同じだったようだ」
「これは……暫く悩まなくて済みそうだね」
そういって楽しそうに笑う二人。
ちょうど帰ってきたペルがそんな兄たちを見て不思議そうに首を傾げたのだった。
―― Recipe ――
(可愛い可愛い弟のため。
一生懸命に考えるのは、みんな同じことだった?)
(帰ってきたらみんなで笑い合ってる。
…?一体何の話をしていたんだろう)