赤髪金髪コラボのお話です。
昨日がジークフリートさんのお誕生日だったということで絡ませていただこうと思ってたのですが…
見事に兄勢だけでのお話になってしまいました…
でもこういう絡み方も好きです←おい
*attention*
赤髪金髪コラボのお話です
シリアスめなお話です
兄弟絡みのお話です
仲良し兄弟なアネットとマリン、何処かぎこちないライニさんとジークフリートさん
こういうやり取りをする二人を久々に書きたくて…←
アネットはライニさんにいつも穏やかな気分でいてほしいと思っていると思います(^q^)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
鮮やかな青空が広がる、秋の午後。
任務を終えて帰ってきたハイドリヒはいつも自分の所に駆けてくる少年……アネットの姿を探していた。
殆どこれは癖のようになっている。
別に寂しいとか、構ってほしいとか、そんな風に思うわけではないのだけれど、
いつもいつも彼の方からぴょんと飛びついてきては構ってくれといいに来るものだから、
近くに居ないと何だか少し落ち着かないのだった。
そんな言い訳を自分にしつつ、彼は赤髪の少年の姿を探す。
目立つ髪色の彼はいつもすんなり見つかるのだけれど……
そう思って中庭に視線を巡らせていれば、すぐに見つけた。
鮮やかな赤色の髪の……二人?
一瞬誰と一緒に居るのかと訝ったが、すぐに気がついた。
アネットと同じ赤髪。
けれどそれは彼よりもずっと長く、肩の辺りでぴょんと跳ねている。
アネットに抱き上げられてはしゃいだ声を上げる、金の瞳の少女……
アネットの実妹であるマリンだ。
あぁそういえば、今日は遊びに来るのだと話していたっけ。
ハイドリヒもそう思い出す。
そして小さく息を吐き出しながら、彼らから離れようとした。
兄妹で仲良く遊んでいるのに自分がそれを邪魔するのも良く無いだろう。
そう思って。
しかし、それより先、アネットがハイドリヒの方を見る。
普段は気配にも疎く探ろうとさえしない癖に、自分の魔力を感じ取るのだけは上手いのだ、彼は。
そう思っている間に、アネットはマリンに何やら囁いてから、ハイドリヒの方へ走ってきた。
「ラインハルト!おかえり!」
人懐っこく笑うアネット。
一応マリンの兄、であるはずなのだけれど……
年下の兄弟が居るようには、到底見えない。
おそらく彼の家族構成を知らない人間に聞いたら、
十中八九一人っ子か年上の兄弟がいると答えられることだろう。
ハイドリヒがそう思いつつ溜め息を吐き出せば、彼はきょとんとした顔をした。
「?ラインハルト?」
どうかしたか、と問いかけるアネットを見て、ハイドリヒは首を振りながら、逆に彼に問いかけた。
「良いんですか、妹君を放っておいて」
私のことなど気にしなくて良かったのに、とハイドリヒは言う。
やや拗ねた口調になった気がするのは気のせいだ、と自分に言い聞かせながら。
アネットは彼の言葉に幾度か赤い瞳を瞬かせた。
そして小さく笑いながら、"大丈夫だよ"と答える。
「今日はマリン、俺に会いに来たわけじゃないからさ。
ちょっとした検査?っていうの?」
そういうののためにジェイド様のとこに来ただけ、とアネットは説明する。
マリンは生まれつき目が見えない。
もう少し成長したら手術を受けて目が見えるようにすると話していた。
検査というのはおそらくその検査だろう。
彼女も暇をしていたし、自分もハイドリヒが来るまでは暇だったから、
ああして中庭で遊んでいたのだとアネットは話した。
それを聞いてハイドリヒは納得したような顔をして頷く。
「なるほど」
「んで、ラインハルトが返ってきたから俺もこっち来たってわけ!」
アネットはそういいながら笑った。
そうすることが当然であるかのような反応。
それは嬉しいのだけれど、それと同時に少し不安にさえなった。
本当に無理していないだろうか。
"自分と違って"仲の良い兄弟なのだし……
ハイドリヒはそう思う。
しかしその思考はアネットに読まれたらしい。
「マリンももうすぐジェイド様んとこ行くって言ってたから、大丈夫だぞ?」
このまま遊んでても、と言ってアネットは笑う。
ハイドリヒは彼の言葉に幾度も瞬きをした。
そして艶やかな金髪を軽く掻き揚げながら、いった。
「仲が、良いんですね」
今更な気もしたけれど、ハイドリヒはそういった。
アネットとマリンは仲が良い。
年の離れた、しかも男女の兄弟なのに、びっくりするほど仲が良いのだ。
妹であるマリンは兄のアネットを誰よりも慕っているようだし、
アネットはアネットで妹を守るために騎士になったという。
そんな彼らはある意味理想的な兄弟のように思えた。
アネットはハイドリヒの発言に一瞬きょとんとした。
ガーネットの瞳が幾度も瞬く。
「ん?ああ、まぁなー」
仲は良いよ?と今更のように彼は言った。
ハイドリヒはそれ以上何か言うわけではなく、遠くを見る様な顔をする。
それを見つめて、アネットは小さく溜め息を吐き出した。
何となく、彼が考えていることはわかる。
彼は彼で思っているのだろう。
彼の双子の弟のことを。
時々ディアロ城にくる彼……ジークフリート。
双子であるという事から、一応よく似ている二人だが、
性格やちょっとした仕草は色々異なっている。
明るく気さくなジークフリートに対して、ラインハルトは寡黙で人となれ合うことを嫌う。
そんな彼らの関係は何処かぎこちない。
その原因は互いの想いのすれ違いにあった。
ジークフリートはラインハルトと違って普通の体で生まれ、
普通に他者に愛される自分を兄は嫌っているのではないかと思っているし、
兄は兄で、弟のオリジナルが自分の所為で死んだことを気にしている様子だった。
そのすれ違いを知っているからこそ、アネットはハイドリヒに言った。
「……ラインハルトだって、ジークフリートとそんな仲悪いわけじゃないじゃん?
別段嫌ってるわけでもねぇんだし……
まぁ、多少ぎこちないのはご愛嬌だよ」
あくまで明るく、あくまで気さくに。
アネットはハイドリヒを元気づけたい一心で、そういう。
ハイドリヒはそんな彼を見つめた後、小さく意を吐き出して、言った。
「そんなもの、ですかね」
どうなのか、わからない。
親しくしたいと思うのも今更な気がするし、親しくしたところで……
そんな思いを抱いていれば、アネットにわしゃわしゃと頭を撫でまわされた。
驚いて彼のほうを見れば、彼はにっと笑って、言う。
「んな気に病んだ顔すんなって!大丈夫だよ!」
大丈夫。
彼がくれるその言葉はいつでも、力になる気がした。
ほんの少しだけ、しかも根拠のないものだけれど……
ハイドリヒはそう思いながら小さく息を吐き出して、"ありがとうございます"という。
アネットはそんな彼を見て微笑みながら、もう少し頭を撫でた。
愛しい恋人の沈んだ表情は見たくない。
それが不細工だとかそんなことは全然ないけれど……
やはり、大切な人には笑っていてほしいではないか。
そう思いながら、アネットは彼の頭を撫でていた。
そして彼はふと何か思いついたような顔をする。
明るい声で、それを口に出した。
「なぁ、ラインハルト、どっか行こう?出掛けようよ」
アネットは唐突にそう彼を誘う。
何でまた、という顔をするハイドリヒを見つめてアネットは言った。
「何処でもいいからさ!
最近ラインハルトと一緒に出掛けられてないし……」
な?と強請るように言うアネット。
出掛けていない、というのは半分嘘だ。
本当はただ……少しでも、ハイドリヒを元気づけたかったから。
その思いは、ハイドリヒ自身も気が付いているのだろう。
ハイドリヒは仕方ないですね、とぼやきながら了承した。
「やった!」
アネットははしゃぎながらハイドリヒにじゃれつく。
そんな彼を引きはがすそぶりを見せながら、ハイドリヒは思う。
彼くらい素直でいられたならば、もっと"彼"とも上手くやれただろうか?
そう思いながら彼はそっと息を吐き出したのだった。
―― I think… ――
(いつでも思ってる。
お前にはいつも、穏やかな気持ちでいてほしいって)
(ふとした時に、思う。
私も彼のように素直でいられたら、と…)
2014-9-30 12:14