科学者道化師コラボのお話です。
こういうほのぼのなお話もいいなと思いまして…
この二人の関係が好きです←
*attention*
科学者道化師コラボのお話です
本家Laurentia!(学パロ)設定でのお話です
ほのぼのなお話です
生徒と教師と言う関係の二人なので…
カルセも学校いる間は見てるだけなのがもどかしいだろうな、と…←
たまに無意識でこういう可愛いことをするムッソリーニさんでいてほしいなと…!
カルセが言うことは大体いつも本気です(笑)
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKと言うかたは追記からどうぞ!
冷房の稼働音だけが響く、静かな部屋。
消毒液の匂いが満ちる独特の部屋……――
その作業机に向かっているのは長い淡水色の髪の男性……カルセ。
机の上には幾つかの書類。
彼がこうして空いた時間にこなさなければならない、養護教諭としての仕事だ。
いつも保健室にいる彼。
のんびりしているように見えて他の教諭に比べて、
簡単な仕事をしているように見えるらしいのだが、
案外見えない場所で一生懸命に仕事をしているのである。
保健室の先生。
怪我をしたり体調を崩した生徒の面倒をみること。
健康診断の準備や、日程の調整。
それらの結果の記入や、生徒たちへの通知。
そんな仕事の合間合間に日々の日誌や、その他のものをこなしていくのである。
最近大分気温が下がってきた。
体調を崩す生徒も大分増えてきた。
授業中に保健室に休みに来る生徒も多いため、
そんな生徒たちの面倒をみると言う仕事も増えてきていたのだった。
ついでに言うのであれば……
今日は、交流授業で外部の生徒たちが学校に来ている。
体育の授業や部活中の交流試合中に怪我をすると言う事態も想像できるため、
カルセは若干身構えつつ、こうして仕事をこなしていたのだった。
ふぅ、と小さく息を吐き出す。
一通りの書類の仕事はこなした。
気がつけば、いつの間にやら昼休みの時間帯だ。
思えば先程から廊下が賑やかになっているような気がする。
カルセはそう思いつつ目を細めて、ぐっと伸びをした。
そして少し休憩をしようか、と思いながら溜め息を吐き出す。
と、その時。
ふと、窓の外を見たときにあるものが目にと持った。
あるものと言うよりは、ある人……か。
「おやおや……」
ちょうど見えたのは、彼にとって愛しい存在である金髪の少年。
彼はいつも通りの友人たちと、この学校……
イリュジア学園の生徒と一緒に、中庭の方へ駆け出していく。
楽しそうに笑っている彼……ムッソリーニ。
その姿をみるカルセの表情は、穏やかだ。
けれど……少ししてその表情は、少し曇る。
楽しそうに少年たちとじゃれている彼。
そんな彼は賑やかに喋っているらしく、隣にいる友人たちはやや苦笑気味だ。
そのうち、浅緑の髪の少年に軽くこづかれて、頭を抱えている。
そんな彼の姿をみて、他の少年たちは笑っていた。
「……また無理にはしゃいで」
カルセはぽつり、とそう呟いた。
その表情はやや険しいもの。
長い指先が落ち着きなくデスクをとんとんと叩いていた。
ムッソリーニの気質はよく知っている。
友人思いで優しく、彼らの笑顔を引き出すのが得意。
いつでも明るく、楽しそうに笑って、なにも考えてなさそうに振る舞う。
そんな彼をみて友人たちは笑ったり、癒されたりしているのだろう。
彼のそんな気質は、カルセも好きだと思っている。
愛しいと思うし、可愛らしいとも思っている。
でも、その一方で……
そうして振る舞っているムッソリーニがいつも少し無理をしていることも知っている。
何か苦しいことがあったとき、何か辛いことがあったとき、
それでもムッソリーニは笑顔を浮かべ続けていて……
今が、そういう状況かはわからない。
何も辛いことはなかったかもしれない。
でも、彼の笑顔は何処か無理をしたような表情だ。
普段一緒にいる友人と一緒に、この学校の友人たちもいる。
だからこそいつも以上にはしゃいで見せているのだろうと、カルセは思っていた。
―― 出来ることなら……
カルセは心のなかで思う。
できることなら、彼の傍にいきたい。
そして、無理をして笑わなくて、はしゃがなくていい。
そういってやりたいと、そう思った。
けれど……
今この場では、この空間では、二人が恋仲であることは明かせない。
自分は教師。
彼は生徒だ。
彼の傍にいく訳にはいかない。
もどかしいな、と思った。
出来ることならば愛しい彼と、ずっと一緒にいたいと思うのだから。
二人とも一人暮らしをしているのだからいっそのこと一緒に住もうともいった。
それは流石にムッソリーニがもう少し考えてほしいといったのだが、
カルセは割りと本気でそう考えていた。
出来る限り一緒にいたい。
支えたいと思うし、ただ彼が傍にいてくれるだけで、
カルセの気持ちも安らぎ、穏やかなものとなったから。
それが叶わないとしても、もう少し自分に頼ってくれたら……
カルセはそう思いながら小さく息を吐き出したのだった。
***
そんなことがあった後の、放課後……
カルセは残り少しの仕事をこなしつつ、終業と決めている六時までの時間を過ごしていた。
多くの部活が活動を終える六時までは此処にいることを決めている。
と、そんなときだった。
保健室の前の廊下を生徒の影が横切る。
それは別に何と言うこともなかったのだけれど、
一度横切った影が、ドアの前に戻ってきた。
そして、窓からひょこりとカルセの方をみる。
それは他でもない彼……ムッソリーニで。
カルセは少し驚いたように目を見開いた。
ムッソリーニは少し周囲を見渡すそぶりを見せる。
それから、小さく室内に向かって手を振った。
そのまま照れ臭そうな笑みを一瞬見せて、逃げるように走っていった。
カルセはそれを見て藍色の瞳を瞬かせる。
そして、ふっと笑った。
時計を見上げて小さく息を吐き出しつつ、残りの書類の片付けをしたのだった。
***
それからほどなくして、カルセは仕事を終えて学校を出た。
そしていつも通りに学校から少し離れたところで彼と待ち合わせて、一緒に帰る。
「お疲れさま、カルセさん」
そういって、ムッソリーニは笑う。
彼の笑顔とその言葉だけで、一日の疲れもとれるような気がした。
「ムッソリーニも、お疲れさまです」
そういいながらカルセは隣を歩いているムッソリーニの頭を撫でる。
彼は照れ臭そうに笑っていた。
カルセはそれを見て目を細める。
そしてふわりと笑いながら、いった。
「まったく……貴方はどうしてそんなに可愛いんですか?
さっきの、保健室前での行動といい……」
カルセがそういうと、ムッソリーニは青い瞳を瞬かせた。
そして、照れ臭そうな笑みを浮かべながら言う。
「ごめんなさい、ちょっと……会いに行きたくなっちゃって」
「ほら、またそういう可愛いことを言う」
カルセはそういいながら笑みを浮かべて、少し身を屈めた。
そしてそのまま彼の唇にそっとキスを落とす。
ムッソリーニは彼の言葉に一瞬固まった。
そしてみるみるうちに顔を真っ赤にして、訴えるように言う。
「っ!カルセさん、此処外……!」
まだ此処は外だ。
学校も近いのだから、誰かに見られる恐れだってある。
そうなったら苦労するのはどちらかと言えばカルセだろう。
その思いが、ムッソリーニのなかにはあった。
カルセは彼の言葉を聞いて小さく溜め息を吐き出す。
そして、呟くようにいった。
「貴方はいつもそうですからねぇ……」
他人のことばかりを優先する。
自分のことはいつだって後回しにして。
そんな彼のことが心配で、でも愛しくて……
「わ……!」
ムッソリーニは小さく声をあげた。
その理由は、カルセが彼の小さな体をぎゅっと抱き締めたからで……
「か、カルセさん……!」
「早く、貴方が生徒でなくなればいいのに」
そう呟く声は低くて、ムッソリーニは思わずびくりと体を強張らせた。
そのまま視線を彷徨わせる彼を見つめて、カルセはいった。
「貴方が大学にいったら、指輪を贈ろうと思っているんですよ」
「え!?」
唐突な彼の言葉にムッソリーニは驚いたような顔をする。
指輪と言えば、少なくとも男女間で言えば……特別な意味を持つものだ。
目を見開くムッソリーニを見て、カルセは微笑む。
そして優しく彼の頭を撫でながら、いった。
「別に、貴方が身に付けられると言うならいまでも良いのですよ?
……貴方が私の大切な恋人だと言う証を、貴方につけていてほしいのです」
個人的な我儘ですけどねといってカルセは微笑んだ。
そしてそのまま、ムッソリーニの体を離して歩き出す。
でも先程の言葉は、本気だった。
彼と自分の関係が、生徒と教師でなくなるのが待ち遠しい。
そうなくなったとしたら、恋人同士だと言う証をつけたい。
否……出来ることなら、今からでも。
そう思いつつ歩いていくカルセ。
ムッソリーニはそんな彼をみて幾度かまばたきをすると慌てて彼を追いかけた。
追い付いた彼をみてカルセは微笑む。
そんな優しい彼の笑みを見つつ、ムッソリーニは先刻の彼の言葉の意味を考える。
自分は生徒。
彼は教師。
二人の関係は、まだ秘密のもの。
カルセはそれを面倒とは思っていないだろう。
けれど……もっと、近くにと願っている。
それを感じ取ったムッソリーニはほんの少しだけ考え込むと、
おずおずと、躊躇いがちに彼の手を握りしめた。
自分も、同じように思っているよ。
もっと、近くにいたいと思っているよ。
それを、伝えようとするように……――
―― その関係が変わるまで ――
(出来ることならばもっと近くに
出来ることならばもっと長い間一緒に)
(我儘だってことはわかっているんです
それでも"生徒"でない貴方を独占したいと、そう願ってしまうんですよ)