ワルキューレコンビ&フロムさんのお話です。
昨夜寝る前にちょびっと話をしてたからふと浮かんだネタで…
お二人とも互いのことを考えそうだなと言う←
*attention*
ワルキューレコンビ&フロムさんのお話です
若干BL注意です
フロムさんと大佐殿のやり取りも割りと好きなのであんなノリに…←
ヘフテンさんと大佐殿はお互いああいう風に思っていたらいいなと言う妄想
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
夜の執務室。
僅かにアルコールの匂いが満ちるその部屋……
そこに、黒髪の少年……シュタウフェンベルクはいた。
そこは、彼の上官に当たるフロムの部屋。
当人は、たった今彼が持ってきた書類を眺めている。
壁に寄りかかってそれを見つめるフロム。
シュタウフェンベルクはそれを直立で見つめていた。
と、フロムは書類をぺらりと裏返した後、自分の机の上においた。
そして、その後自分の机の上に置いてあった別の書類を手にとって、
シュタウフェンベルクに歩み寄る。
「先程の書類は確かに受け取った。
これは明日の任務の概要だ。確認しておきたまえ」
"確認不足は危険を招くからな"とフロムは軽く鼻を鳴らしつつ言う。
シュタウフェンベルクは内心で少し顔をしかめた。
確認不足を自分が起こすことは滅多にない。
どちらかと言えば今目の前にいる彼の"確認不足"で、
シュタウフェンベルクが危険な状況に陥ったことはある。
フロムはオリジナルからの因縁故かシュタウフェンベルクを目の敵にしている。
そのためにか、彼が怪我をしようが、それこそ死にかけようがきになどしない。
よって、任務の内容の確認が甘くて情報が間違っていたり、
或いは……わざと情報の違う任務書を届けたりするのだ。
事実それでシュタウフェンベルクが大ケガしたこともあるし、
危険な目に遭ったことも多々ある。
自分だけならまだいいと、シュタウフェンベルクは思っていた。
自分が怪我をしたり危険な目に遭うことは、そこまで気にしない。
しかし……
自分の副官であり、相棒である彼……ヘフテンまで巻き込むことは、避けたかった。
今回の任務はちゃんと副官といっても問題がないらしい。
その事にとりあえずほっとすると同時に、
きちんと情報を確認しておかなければと思う。
そうして書類を持ってきたブリーフケースにいれると……
「っ……!」
驚いた顔をして、シュタウフェンベルクは固まった。
壁際に、追い詰められていた。
「何か、問題でもあったかね、大佐?」
そう問いかけるフロムの顔が目の前にある。
先程まで部屋に置いてあった酒を口にしていたのだろう。
自分は飲まないアルコールの臭いが鼻をついた。
「いえ……何も……」
シュタウフェンベルクはそういって逃げようとするが、フロムの拘束は解けない。
壁際に追い詰められたままの彼の腰に、フロムの手があたる。
びくりと彼の体が跳ねるのをみて、フロムは笑った。
「何やら不服そうにしていたから気になってな……
その書類の何処かに不備があるのではと訝っているのかね?」
ああ癖の悪い、とシュタウフェンベルクは内心で思う。
自覚があると言うことは、やはりわざとやったことなわけで……
それに罪悪感も、何ら感じてはいないらしい。
目の前にいる目障りなフラグメントを痛め付けたい。
その思いが、透けて見える気がした。
しかし、シュタウフェンベルクは肉体的苦痛にはそこまで弱くない。
片目片腕を失っているのだ。
ちょっとやそっとの痛みに音をあげるような人間でないことは、
恐らくフロムもよく知っているところだろう。
だから……
だからこそ、彼は"別の手段"で彼を追い詰めようとする。
「……は、ぁ……っ」
シュタウフェンベルクは小さく息を吐き出した。
抵抗できない側の腰を撫でるフロムの手に、図らずとも呼吸が乱れる。
そんな彼をみて、フロムは目を細めた。
「どうした、大佐?
……お望みなら、もっと先までしてやるが?」
良家の御曹司がみっともない様を見せるのを見るのも悪くない。
フロムは彼の耳元でそう囁く。
シュタウフェンベルクは必死に首を振り、彼から逃れようとした。
しかし彼の腕一本では相手を遠ざけることも逃げることも出来ない。
あげくフロムの手の所為で体に力が入らない。
まっすぐにたっているのが精一杯だ。
どうする。
そう思った時。
トントンと部屋にノックの音が響いた。
フロムはシュタウフェンベルクを見て目を細める。
命拾いしたな、とでも言いたげな視線を向けた後、
彼はシュタウフェンベルクから離れて、ドアの方へ向かって"開いている"と答えた。
しかし。
ドアが開く気配は一切ない。
フロムは怪訝そうな顔をして、ドアを開けにいく。
「……何だ?」
ドアを開けたが、そこに人影はない。
一体どういうことかと訝るフロム。
シュタウフェンベルクは呼吸を整えると、ブリーフケースを抱え直して、
ドアの前にいるフロムに一礼し、すり抜けるように部屋を出ていった。
部屋からでて少ししたところで、彼は壁に背をつけて座り込んだ。
「は、ぁ……」
まだ、呼吸は少し速い。
このまま部屋に帰るのは賢明とは言いがたい。
そう思って呼吸を整えていると……
「だから一人でいかないでくださいっていったのに」
上から、そんな声が聞こえた。
心配そうな、そして少し拗ねたような声。
シュタウフェンベルクが顔をあげると、そこには金髪の彼の姿があって。
「ヘフテン……」
シュタウフェンベルクは掠れた声で彼の名を呼んだ。
ヘフテンはそんな彼を見下ろして小さく溜め息を吐き出すと、
彼の前に屈んで、いった。
「あの人のところに一人でいくのはやめてください、大佐」
何かあってからでは遅いんですから、とヘフテンは言う。
そんな彼の言葉と表情を見て、シュタウフェンベルクにはピンと来た。
「さっき、ドアをノックしたのは……」
「僕ですよ。……ああするくらいしか、方法が思い付かなくて」
彼いわく。
部屋に姿がなかったシュタウフェンベルクを探していた時、
偶然フロムとシュタウフェンベルクのやり取りが耳に入ったらしい。
ある程度状況を察したヘフテンはとっさに彼の部屋のドアをノックして、
そのまま姿をくらませたのだと言う。
「無茶を……見つかったら、叱責どころでは……」
「大佐が嫌な目に遭うくらいなら僕が叱られます」
それでいい、それがいい。
ヘフテンはそういうとシュタウフェンベルクを抱き締めた。
"僕に守らせてくださいよ"と。
それを聞いてまばたきをしてから、シュタウフェンベルクはそっとヘフテンの背に腕を回す。
そして小さく溜め息を吐き出しつつ、目を閉じたのだった。
―― 願いは同じ ――
(抱く思いは同じだった。
自分はいい、彼だけは守りたい、と…)
(愛しいと思うから守りたい。
大切な存在だから、幸福であってほしい…)