彼と出会ったのは
12月の東京。

その頃の私には複数の恋人(のような存在)がいて。
恋人達以外とも夜を過ごしていた。



真冬のバス停で待ってる間の空気が好きだった。
空は真っ青。刺すような風が心地良かった。

出会った瞬間の事は今も鮮明に思い出せる。
一緒にいた女性が彼の恋人ではないと知った時、安堵したのもよく覚えている。



出会ってからお互い恋に落ちるまでは一瞬だった。
まぁ、毎日のように会ってたから無理もないね。
特に話したい話題があったというわけでもなかった気がする。

彼は学生。私は社会人。
お互い忙しい中、少しでも時間ができれば会いたかったんだね。

彼は女性を知らない人。
かたや私は、男性を知り過ぎてしまった人。

絶対に交わることはなかったであろう2人。
あの日がなければ。



今も12月になると毎日のように思い出す。
会いたいと。
それと同時に彼が別の誰かと幸福でいてくれたらいいと。

この先もし、彼を何処かで見かけても
私はそれが彼だと、すぐにわかるだろう。


誕生日は忘れてしまった。