秘密

月が白い。私、何してるんだろう。

私はなんてつまらない人間なんだ。月の光が眩しいから私はとても恥ずかしくなった。こんな醜い私を照らさないでくれ。おちおち夜も出歩けない。私は蛞蝓だから塩をかけられて消えてしまうの。そう思ったら蛞蝓に失礼な気がして、私は自分をこの世で一番醜く詰まらない生き物のように感じたのだった。

一体何が私をこうさせるのか。夢や希望やなにかそういったきらきらしたしたものをもうずっと持てないでいる。物心ついた頃から、私は本当につまらない人間だった。どうしてもっと前向きに明るく楽しく生きられないのだろう。

考えていたら悲しくなって涙が出てきた。自分の零した塩辛い涙でこの身を溶かして消えてしまうのはどうだろう。人魚姫みたいで素敵じゃないか。…などと考えてみたところで、所詮蛞蝓以下の私では童話の中のお姫様にはなれやしないのだ。


眼、その小さな海へ私は身投げをしてしまいたい。