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俺と僕の物語2

「おいしい匂いがするですぅ。
それ、くださいな」
しゃ、しゃ、しゃべったー。
なんだ、この生き物?!
俺は、相変わらず腰を抜かしたまま池の傍に、尻もちをついていた。
そいつは、五歳くらいの子供で、白い着物を着ていた。目がくりくりしていて、可愛い感じの女の子?だった。
俺が怖くないのかペタペタと俺のそばにやってきた。
「僕にも、おいなりさんくださいな」
と、少し汚れた小さな手を出してきた。
俺は、今、起きている状況についていけず、唖然と小さな手を見ていると、
「あっ、いけません。食べる前は手を洗わないといけません」
そいつは、1人そういうと、池でジャバジャバと手を洗いだした。
「はい、これで大丈夫です」
と、濡れたままの手をだしてきた。
俺は、タヌキに化かされているのだろうか…。思いきって、声を出してみた。
「タ タヌキさん?」
すると、タヌキかもしれないそいつは、
「むぅ、タヌキさんじゃありません。キツネさんです」
あ〜、キツネさん!
「僕は、可愛いキツネさんの妖怪さんです。僕は、妖狐なのです」
へっ、今、なんて?
妖怪?妖狐?
俺、今、どこにいる?
何時代にいる?
暑さで、頭やられた?
「どうしましたか?大丈夫ですか?」
と、未だ動かない俺を心配したのか、ツンツンと俺のシャツの裾をひっぱった。
はっ、落ち着け俺!
「あっ、いや、大丈夫。妖怪の君がここにいるのは普通なのか、ここでは?」
「普通とは何かわかりませんが、いつもは、人気がある時は、ここには降りて来ません。母さまに行ってはいけないといわれてますから」
「でも、でも、とてもいい匂いがしたのです。僕は、それを食べてみたいのです」
と、俺のシャツをつかんだまま、大きな目をうるうるしながから、見上げてくる。
うっ、可愛い!
俺、見た目は、身長も高い方で、筋肉もそれなりについたザッ男って感じなのに、可愛い物が好きなんだよね。
あっ、変態じゃないから!
そんな目で見られると、俺が悪い大人みたいじゃないか…。
いつのまにか、得体の知れない物への恐怖は、どこかにいっていた。
小さな手を取ると、首から下げていたタオルで、濡れたままの手を拭いてやった。
妖狐って、狐が人間に化けたやつか?
ん?人間と狐のハーフってのも、何かで見た気がするな。
「そこに座って」
さっき座っていた俺の隣に座るように促しながら、俺は、しまいかけた稲荷ずしの箱を開けた。
「うわぁ〜、美味しそうな匂いなのです」
小さな狐の妖怪は、まんまるな目をキラキラさせていた。
ふふっ。
「好きなだけ食べな」
と、俺がばあちゃんに言われるような感じで、そう言っていた。
あっ、そうだ、名前聞いてないじゃないか!
大事なこと思いだした。
「名前は?」
「チャンミンです。
僕のお名前は、チャンミンといいます」

俺と僕の物語1

「ふぅ〜、やっと着いた。
暑いな〜。」
俺は、大学病院で医者をやっていた。
だが、派閥争いに、うんざりして、元々希望していた医者のいないところでの、
勤務に立候補し、今、その地についた。
木がたくさん、水も綺麗で、何よりもビルがない。
いいところだなぁ〜。
なんて、のんびりこれから勤務する病院兼自宅に向かって歩いていた。
あっ、こんなところに神社がある。
よし、これからお世話になるから、お参りしていこう。
少し高い場所にある神社を目指し、階段を上り始めた。
ひー、普段の運動不足がたたったな。きついなー。
はぁはぁ、ふぅ〜。
きちんと、この町に住む住民が手入れしているのであろう、
綺麗にされている、神社に手を合わせた。
「ぱんぱん。これから、お世話になります。
チョン・ユンホと申します。
よろしくお願いいたします。」
そう心の中で言うと、ちょろちょろと湧水の音が聞こえてきた。
少し、涼んでから行くか。まだ時間もあるし。
俺は、音のする方に向かった。
へぇー!!
そこには、予想に反して、割と大きな池があった。
うぉー、冷たっ、気持ちいい。
腹も減ったし、都会を離れる時、ばあちゃんが持たせてくれた、
俺の好物、稲荷ずしでも食うか。
しかし、作りすぎだよ、ばあちゃん(笑)
はぁー、こんなところで食う、ばあちゃんの稲荷ずしは、いつにもましてうめぇなー。
水のせせらぎを聞きながら食っていると、
カサカサ
カサカサ
後ろから、草がすれるような音がした。
誰か来た?
えっ、タヌキとか?
俺は、少し身じろいだ。
ぴょこ
カサ
ぴょこ
カサ
えー なんだよ、逃げるか?!
俺は、稲荷ずしをカバンに急いで戻そうとした。
ちらちらと、音のする方を見ながらカバンに詰めてると、動物の耳が見えた。
やっぱ、タヌキ?犬か?
そんな事を思っていると、
耳しか見えない動物が、俺の真後ろにある木のところまで来ていた。
ぴょこ
じー
なんか、凄い視線を感じる、、、。
そして、思い切って振りむいた。
えっ!!!!!!!!!
人間?でも、
耳がついてるんですけどぉー。
俺は、あまりの衝撃に腰を抜かしてしまった。
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