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自分の中のキャラクター‡佐伯克哉




自分の中の克哉は、まず黒い。この一言です。

しかし、メガネとノマの場合で、その黒さは違います。

まず、メガネの場合ですが、彼は確信犯です。確信を持って黒いことを言っています。まあ所詮鬼畜ですからね、原作が笑

しかし実は、弱い部分を持っている。案外好きな人に依存していたらいいと思います。恋人がいなくなって、一番ショックを受けるのは彼かなぁ、と。

逆にノマは、天然で黒い。実は打たれ強い。恋人と別れても、納得していれば平気なタイプ。

誕生日とかも平気で忘れます。「あれ、今日だっけ?」みたいな。メガネは教えてもいないのに知っていて、「今日は俺をプレゼントです」とか言って、相手を美味しくいただきます笑

で、実は言葉攻めなS。天然に。相手の痛いところを平気で口にする。気付かずに。傷口を思いっきり抉る感じ。

メガネはわざと抉るんだけど、限度を知ってる。

だからタチ悪いのはメガネではなくノマだったらいい。

とりあえず、そんなイメージです(^w^)笑



コメ返




柩様>>
ミドノマ、『君と迎えるひとときに』へのコメント、ありがとうございます。
御堂さんに萌えていただけたなんて、すごく嬉しいです!(´艸`*)
原作通りの、攻めで俺様(?)な御堂さんを上手く表現できていたらと思います。
まだまだ作品も少ないサイトですが、もしよろしければこれからもよろしくお願いします。



君に届く想い2*和啓




『これからきっと俺、もっと忙しくなると思うんだ。今より会えなくなる日が増えると思う』

「うん……」

頷きながら、啓太はその光景が、安易に想像できた。今だってそうだ。付き合い始めた当初と比べれば、自分達の会える時間は減っている。

『だからお守り。距離はあっても、俺らの心は離れないって』

「…………和希」

『ん? 何?』

「……それ、すっごく恥ずかしいんだけど」

啓太は自分の頬が赤くなるのを、自覚していた。さらさらと紡がれる言葉は、聞いていて恥ずかしいことこの上ない。言っている本人は、そんなこと感じていないんだろうか。

「和希って結構クサいよな」

『そうかなぁ?』

「そうだよ」

『俺はただ、自分の思ったことを素直に言ってるだけなんだけど』

「はいはい」

和希には適わない。啓太は苦笑しながら言い、携帯を耳と肩の間に挟んだ。ゆっくりと指輪を摘み、箱から出す。

ライトの光を反射させ、指輪が、きらりと光った。

「――うん、ぴったり」

それを自分の、薬指に嵌める。もちろん、左手の。

「でもさ、和希」

『ん?』

「これ、学校で突っ込まれたらどうすればいい? 俊介とか成瀬さんとか……王様も言ってきそうだなぁ……」

左手の薬指に指輪なんて、恋人がいると公表しているようなものだ。相手が同じ男である和希だと、言えるわけでもないし。

「むしろネックレスとして首から下げる、とか」

『それじゃあ指輪の意味がないだろ』

「まあそうだけど。それに、和希が登校してきたときに、同じ指輪着けてんの見られたら……」

自分達の関係がバレるかもしれない。そうなれば、恰好の噂の的だ。

自分の想像に苦渋の表情をするが、電話口から聞こえてくる和希の声は、至って冷静である。むしろ何やら楽しそうな気がするのは、自分の気のせいなのだろうか。

『いいじゃないか。そのときは堂々と、俺達付き合ってますってカミングアウトしたら』

「む、無理だよ!」

いくら和希のことが好きで、そこにやましい気持ちがないといっても、わざわざ自分達が付き合っているとバラすなんて、さすがにできやしない。

『俺はできるけど』

「和希はそうかもだけど、俺は今のところ、わざわざ自分から人に言う気はないよ」

例え周りが、偏見のない人ばかりだとしても。それとはまた関係なしに、啓太は和希との関係を、まだ秘密にしていたい。

他愛のない会話を繰り返し、二人で、笑う。まるで、会えなかった三日分を、埋めるように。

「ねえ、和希。次はいつ、帰って来る?」

『月曜日には帰るよ。これ以上啓太に会えないなんて耐えられないしね』

「――」

『啓太だって、そうだろ?』

「……――うん……」

小さく頷く。すると嬉しそうに和希が笑った、気がした。

『次こそ絶対に帰る。だから、待ってて』

「うん」

『――じゃあ、切るよ』

「……うん」

『啓太』

電源ボタンを押そうとした指が、和希に名前を呼ばれたことにより、止まる。

「何?」

『愛してる』

耳をくすぐる甘い声に、啓太は赤面した。何故彼は、こんなにもさらりと言ってしまうんだろう。恥ずかしいことこの上ない。

……――でも。

「俺も、好きだよ」

嬉しいと思う気持ちも、本物だから。だから自分も、想いを返す。

『うん』

「じゃ、じゃあ、もう切るからな」

だがやはり、多少の羞恥を感じて、啓太は通話を切った。

電話を切ったのに、まだ耳がくすぐったい。愛してると囁いた和希の声が、離れなかった。

ベッドへ体を横たえる。脈打つ心臓を感じながら、啓太はクマのぬいぐるみを拾い上げた。胸に抱き締め、そしてまた同時に、左手を自分の前にかざす。

「指輪なんて乙女チックなものを……」

一体どんな顔をして選んだのだろう。啓太の指は、和希に比べたら細いが、女の子よりは太い。店員に、どんな指輪がいいですかと聞かれて、真顔で相談する和希が目に浮かび、啓太は笑った。

「……」

でも、沈んでいた自分の気持ちを引き上げてくれたのは、紛れもなく、そんな彼。

啓太は、声にならない音で、和希の名前を紡ぐ。風にさえもかき消されそうな声音で、彼への想いを、囁いた。

「大好き」





fin





相互記念として結葵 潤様に捧げます学ヘヴの和啓です。

ラヴラヴをとのことでしたが、結局会えてないです。なんで会わさなかったんだろう、自分。
もう一つのネタとしては、チャイムを鳴らした人が和希で、戻って来ちゃったと笑う和希に抱き締められる、という話だったのですが……。そっちの方がラヴラヴしてる気がしますorz
しかもただ電話してるだけなのに超長い…。こんなにページ数くう気はなかったのに。長いだけで薄い話になってそうで怖いです°・(ノД`)・° 自分じゃ分からないので…。

和啓はあまり書かないんですが、書いてみて、この二人って可愛いなぁと思いました。
余裕ぶってる和希が可愛いです笑

それではこの辺で、あとがきは終わりにさせていただきます。
リア友であり、同時に学ヘヴ・キチメガ仲間の潤様に捧げます。
では。



君に届く想い*和啓




何度目か分からない溜め息を吐きながら、啓太は携帯を閉じた。瞼を下ろし、自分を落ち着かせようと、そのままベッドへ横になる。

「……」

先ほど自分へ送られてきたメールの内容を頭で反芻し、緩く首を左右に振った。仕方ない、と、小さく呟く。

『ごめん、日曜無理になった』

そう和希からメールが届いたのが、つい十分ほど前。その文章を見た瞬間、切なくなるような、苦しくなるような、そんな感覚が、胸を締め付けた。

ごろりと寝返りを打ち、啓太は枕に顔を埋める。

分かっている。これは、仕方ないことなのだ。和希は理事長なのだから、たびたび学校に来なかったり、土日が潰れてしまうことは少なくない。仕事なのだから、それを優先させるのは当たり前だ。

「……でも、もう三日だよ…………」

ぽつりと、口にする。言葉にして、同時にそれが耳に届くと、事実を改めて実感してしまい、さらに胸が痛んだ。

携帯をベッドの、自分の手が届かない場所に放り投げる。

「……っ……」

頭では分かっているのに、感情がついていかなかった。

和希はもう三日、仕事のために学校へ来ていない。学校に来ないため、啓太は和希と、顔を合わせることができずにいた。しかもメールで、今週いっぱいは帰れそうにないと言われた。

でも、今会えないのは寂しいが、今週の日曜日にデートの約束がある。だからそれを楽しみに待っていよう。そう、思っていた。――なのに。

無理になった、なんて。

そういえば、さっきの和希からのメールに返信していない。そう思うが、しかし、だからといって返事をする気分にもなれず、啓太は枕に顔を埋めたまま動かなかった。

仕方のないことなのだと分かっている。だからこそ啓太は、今の自分の感情が嫌だった。

だったら仕方ないね、と、そうメールを返して、気にしていないフリをすれば、和希に変な心配をかけなくて済む。あの和希のことだから、今頃きっと、落ち込んでいるに違いないから、そう言って、安心させてあげなきゃいけないのに。

しばらくの間動かずにいた啓太は、自分がだんだんと冷静になるのを自覚しながら、ゆっくりと起きあがった。先ほど放り投げた携帯を拾い上げる。まだ画面に映る和希からのメールを見ながら、また、溜め息を吐いた。

「……仕方ないんだから」

呟きつつ自分に言い聞かせ、メールの返信ボタンを押す。新規作成されたメールの内容の部分に、ぽちぽちと文字を打ち始めた。

『そっか。仕事だもんね』

そこまで文字を打ち、適当な顔文字を付けると、啓太は改行のボタンを押した。

「仕事、が、ん、ば、っ、て、ね」

親指で操作しながら、打つ文字を言葉にする。よし、と続け、完成したメールの送信ボタンを押そうとした。

瞬間。

コンコンと、部屋の扉がノックされる。

「……?」

軽く聞こえた音に、啓太は動きを止めた。そのまま動かないでいると、また、誰かが扉を叩く音が聞こえてくる。

こんな時間に、一体誰だろう。もうそろそろもう寝る時間なのに――。

そう考えた瞬間、啓太の脳裏に、恋人の姿が浮かんだ。

まさか、和希?

勢いよくベッドから降りると、啓太は扉へ駆け寄った。反射的に笑顔が浮かぶのを自覚しつつ扉を開ける。

和希が来てくれたんだ。きっと仕事を抜け出して、一目自分に会おうと――……。

「和……ッ」

和希、と。

思わず名前を呼びかけた啓太は、目の前に立つ人物を見て、目を瞬いた。

「……俊、介」

「はーい! お届け物などなんでもござれ、あなたの俊介ちゃんでーす!」

おどけたように笑う彼に、内心がっかりとしつつも、啓太は軽く笑む。

「どうか、した? こんな時間に」

「おれが来る理由言うたら一つしかないやろ」

「え?」

「伊藤啓太君に、お届けもんでーす」

途端、俊介に紙袋を渡される。質量を持ったそれにきょとんとしつつ、啓太は紙袋と俊介を交互に見た。

「え?」

「差出人は匿名やねんけど、特に変な感じでもなさそうやからさ。前払いで学食チケットもらったんもあるけど。あ、中身は見てへんで」

「は、はあ……」

俊介はぺらぺらと言葉を繋ぐと、携帯を開き、今の時間を確認した。そして、今の時間がそろそろヤバいということに気付いたのか、慌てたように踵を返す。

「んじゃ届けたしおれ帰るわ」

「あ、うん。ありがとう」

走っていく俊介の背中を見送り、啓太は部屋の中へ戻った。

「……なんだろ」

先ほど渡された紙袋を、中身を確かめるように揺らし、ベッドへ腰掛ける。

そのまま紙袋をひっくり返すと、可愛い袋にラッピングされたものが出てきた。これではまだ中身は分からない。

一体なんだろう。ますます疑問が募る。今日は自分の誕生日ではないし、だがだからといって理由が分からないのでは不信感が募るばかりで――。

「……まあいっか」

俊介も言っていた。変なものではないと。だったらまず、中身を確かめてみてもいいだろう。

意を決し、啓太は勢いよく、可愛いラッピングの袋を開ける。

中から、出てきたのは。

「……くま?」

袋を捨て、ベッドに転がるそれを持ち上げる。しげしげと眺めたそれは、手作りであろうクマのぬいぐるみだった。

「なんで……こんなのが……?」

訳が分からずに首を傾げていると、そのクマの手が、何かを持っていることに気付いた。

きょとんとしながら、啓太はクマの手から、それを取った。これもまた、可愛い袋にラッピングされている。形的に、中身は何かの箱だろう。

手のひらサイズのそれを開け、中身を出した。出てきたのは、予想通り小さな箱。

「……」

落ちそうになるクマを脇に挟み直し、啓太は箱を開けた。

「え……」

そして、入っていたものを見て、大きく目を、見開く。

そこにあったのは、何の装飾もない、シンプルな指輪だった。

何故こんなものが届けられたんだ? しかも、クマのぬいぐるみと一緒に。

疑問に思い、思考を巡らせていた啓太は、不意にハッとした。

クマの、手作りであろうぬいぐるみ。こんなのを作れて、しかも自分に送ってくる人物を、啓太は一人しか知らない。まさか、この指輪の送り主は――。

「和……」

名前を紡ごうとした、瞬間。

勢いよく、ベッドに放り投げていた携帯が、鳴った。

「!」

自分の世界に入り込んでいた啓太は、思考を遮るように鳴り響いた携帯に驚き、脇に挟んでいたぬいぐるみを落とす。指輪も一緒に落としかけたが、さすがにそれはダメだろうと、すんでのところで落とさずに済んだ。

ずっと鳴り響く着信音は、電話がかかってきたことを告げている。

誰だろうか。

啓太は指輪の入った箱を持ったまま、携帯へと手を伸ばした。相手を確かめるために覗き込んだディスプレイには、遠藤和希と記されている。その名前を見た途端、啓太の頭から色々なことが吹っ飛んだ。通話ボタンを押し、耳に押し当てる。

「和希!?」

『久しぶり、啓太』

「和希……」

電話の向こうから聞こえてくる声は、聞き慣れた恋人のもの。三日ぶりに聞く声に、啓太の胸の奥が熱くなった。

たった三日しか離れていないのに、こんなにも懐かしく思うなんて。

『元気にしてるか?』

「もちろん。和希こそ、体壊したりしてない?」

『ああ。でも……』

「でも?」

切られた言葉に、何かあったのだろうかと不安に駆られる。

思わず息を詰めて和希の言葉を待てば、しばらくの沈黙の後、和希が小さく吹き出した。そして、なにやら楽しそうに笑い声を上げ始める。

「え?」

いきなり笑われ、啓太は何回か瞬きをした。何故笑われているのか、理由が分からない。

「和希?」

『ごめんごめん』

ひとしきり笑ったあと、和希は謝罪を口にする。すうと息を吸った気配がした。

『そんなに心配しなくていいよ』

「でも……」

『別に体壊したとか、そういうんじゃないんだ』

「じゃあ……」

何? と呟く前に、和希が答えた。

『ただ、啓太に会えなくて寂しいなって』

一瞬啓太は、何を言われたのか分からなかった。しかしすぐに、頬が熱くなる。

「か、和希!? な、何言って……!」

『だって、最近全然会えないんだぜ? メールか電話ばっかで……きちんと啓太の顔が、見たいんだよ』

さらりと言われたセリフに、何て返せばいいのか分からなかった。ただ顔が、いや、体中が、熱を持ち、熱い。多分今の自分の顔は、真っ赤に熟れた苺みたいになっているに違いない。

『今週のデートも、さ、ダメになっちゃって……』

「で、でも、仕事だから仕方ないじゃん」

申し訳なさそうな和希の声に慌て、啓太は、見えないと知りながらも、首を左右に振った。

『じゃあ啓太は、寂しくないのか?』

「え……」

『三日会えてない。デートもなくなった。メールばっかり。……――少なくとも、俺は寂しい』

どきりと、啓太の心臓が音を立てる。

和希も、自分と同じことを考えてたんだ。そう思うと、さらに胸の高鳴りは増し、同時に、熱くなった。胸の奥が、苦しいくらいに締め付けられる。だが、不快では、ない。

「……――」

『啓太?』

黙り込んだ啓太に、どうかしたのかと、和希の声が問うてくる。

啓太は啓太を握り直し、息を吸った。

「俺、だって……」

そして、薄く唇を、開く。

「和希に、会いたい。こんなこと言っても困らせるだけだって分かってるけど――会いたいんだ」

言葉にして改めて、啓太は自分がずっとそう思っていたことを悟った。仕方ないと諦めるんじゃなくて、本当はこんな風に、ワガママを言いたかった。

『啓太』
啓太が俯いて黙ると、優しげな声が、耳に届いた。低すぎず、だからと言って高くもない彼の声は、電話越しでも、耳に心地いい。

『本当に、ごめんな』

「っ! べ、別に謝ってほしくて言ったんじゃないよ!」

『でも』

「分かってる。仕事なんだから仕方ないって。なのにこんなこと言って……俺こそ、ごめん」

『啓太……』

少しの間、和希は何も言わなかった。啓太も口を閉ざし、和希の言葉を待つ。

『啓太は、大人だな』

「和希には負けるよ」

『なんだよそれ。どういう意味だ?』

「べっつにー」

明るい調子で言い、啓太はクスクスと笑う。すると和希もそれにつられたのか、電話の向こうから、小さく笑う声がした。

「ところで、あのクマは何?」

ひとしきり笑ったところで、ふと床に落ちているクマが目に入り、啓太は聞いた。そういえばまだ、電話を持った方とは逆の手に、指輪の入った箱を持ったままだ。

『ああ、それ届いたんだ』

「うん。ついさっき俊介が持って来てくれた」

『最近できたんだ。俺の自信作』

「仕事、忙しいんじゃなかったっけ?」

『それはそれ、これはこれ。仕事ばっかじゃ息詰まるから、息抜きにだよ』

「ふーん。あと……」

この、指輪。

そう続けようとしたのに、声が出てこなかった。

なんだか照れくさくて、自分から話題に出すことが躊躇われる。

だが啓太の言いたいことを悟ったらしく、啓太が言葉にする前に、和希は疑問に答えてくれた。

『指輪、サイズ大丈夫そう?』

「え? あ、えっと、まだ着けてないけど、多分大丈夫だと思う」

『多分間違ってないとは思うんだけど……。もし入らなかったら、すぐに言って。取り替えるから』

「う、うん」

『俺の指にも、同じやつ着いてる』

聞こえてきたセリフに、啓太は聞き返しそうになった。

『もちろん、左手の薬指』

見えないのに啓太は、和希が笑っていると感じた。左手の薬指を顔の前に掲げて、幸せそうに笑っている気がする。

『啓太にも、着けてほしいんだ。そしたら、離れてても繋がってるだろ?』

心臓が小さく、鳴った。

自分の指に、和希からもらった指輪が着いている。想像するだけで照れくさいような、恥ずかしいような、でも幸せな、そんな想いが、こみ上げてきた。



君と迎えるひとときに*ミドノマ




うっすらと目を開けると、外はまだ少しだけ薄暗かった。

克哉はのろのろとした動作で、今の時刻を確認する。そろそろ起きなくてはいけない時間だ。しかし、まだもう少しなら寝ていても大丈夫な、中途半端な時間。

ベッドの中で小さく伸びをする。目が冴えてしまい、もう一度眠ることはできそうになかった。

起き上がろうかと、ベッドに手を着ける。だが起き上がる前に、ふと気が付いた。

「……寝てる」

自分の隣では、まだ御堂が安らかな寝息を立てて眠っていた。彼が自分より遅いのは珍しい。一瞬、昨夜が激しかったせいだろうかと考えたが、彼がそんなことくらいで、そこまで疲れるような人ではないなと思い直す。

起き上がるのをやめ、克哉はもう一度、ベッドに体を沈めた。

「……」

隣に眠る御堂を眺めていると、昨夜の行為のことを思い出す。穏やかに眠る彼からは、体を重ね合わせるときの、あの雰囲気がなくて、変な感じがする。獣のような……という言い方はおかしいだろうが、しかし、そんな表現がぴったりな気がした。

仕事をしているときの彼にだってそんな雰囲気はないが、出勤中の彼からは、真面目な雰囲気があり、人は容易には近付かない。

だからこそ、今眠っている御堂が、克哉には新鮮なものに感じられた。

伏せられた睫毛は長く、最近伸びたらしい前髪が、少しだけ瞼を覆っている。綺麗な顔つきだと思う。別に女らしいとかではなくて、男として、顔つきが整っているのだ。

そう改めて考えて、心臓がドキドキした。

ゆっくりと、御堂の頬に指を添える。滑らかな肌は白く、触っていて心地がいい。

頬を滑らした指で、唇に触れる。

――いい、かな?

じっと見ていると、無償に触れたくなってきた。昨夜もあんなに抱き合ったのになと苦笑する。

キスだけなら――……。

自分に言い聞かせながら、眠る御堂の唇に、自分の唇を寄せた。

途端。

いきなり、手首を掴まれた。

「え?」

視界が回転する。今までベッドと御堂を見ていたはずなのに、克哉が気が付いたときには、何故か天井と自分を見下ろす御堂の顔があった。

「……御堂さん……?」

きょとんとしながら、名前を呟いた。

「まさか、君に眠ってる間に襲われかけるなんてな」

「へ?」

にやにやとした笑いを浮かべる御堂に、その言葉の意味が分からずに聞き返す。

しかし、すぐにハッとし、顔を赤らめた。

「御堂さん、もしかして起き……!」

克哉の疑問に答えず、御堂は笑みを浮かべている。だがそれが、克哉の言葉が真実なのだと物語っていた。

眠っていると思ったからの行動だったのに……。羞恥に、顔が熱くなるのを、どうしても自覚してしまう。

「せっかくなんだ。君からの好意を無駄にする気はないよ」

小さく楽しそうに喉の奥で笑うと、御堂は克哉の耳に唇を近付けた。ちゅ、と音を立てて軽くキスをする。

耳元で聞こえるリアルな音に、克哉は思わず目を瞑った。

「み、御堂さ……」

反射的に名前を紡ごうとすれば、紡ぎきる前に、御堂の唇が克哉の唇に重なる。

「ん……っ」

初めは軽く触れ、すぐに御堂の舌が、克哉の口内に侵入してきた。動くことを忘れた克哉の舌に絡まってくる。

「ん、ん……、みど……ふぁ……」

名前を呼ぼうとしても、唇が重ねられた状態ではそれも叶わない。

朝からの激しいキスは、克哉の思考を奪うのには充分だった。

「んん、ぅ……ふ……」

頭の中がとろけてくる。快感を追い求めようと、克哉の手は抱き合ったままの姿だった御堂の背中へと回った。自分の方へ引き寄せるように、腕に少しばかり力が込もる。それに気が付いた御堂も、さらに口付けを深いものへと変えていった。

……――いつまで、そうしていただろう。

不意に、アラームの音が鳴り響く。

御堂は克哉に口付けたまま、手探りでアラームを探り出すと、それを止めた。

「時間切れだな」

時間を確認すると、名残惜しむかのように、克哉から唇を離す。

長い口付けに思考がぼやけていた克哉は、自分から離れる御堂を、ぼんやりとした瞳で見つめていた。

「……そうやって誘ってもらえるのは嬉しいが、会社に遅刻するぞ」

「え?」

くすりと笑いながら、糸のように克哉の唇に垂れている唾液を、御堂の指が拭う。

初めは、一体なんのことだろうかと考えていた克哉も、次第に頭がはっきりしてき、その意味に思い至った。

「ち、違います!」

先ほどよりさらに頬を赤く染め、克哉は勢いよく手を顔の前で振る。赤く染まる頬と、潤んだ瞳で言われても、説得力はなかった。

「続きは夜だな」

寝転んでいる克哉の隣から、御堂は床に足を着けながら呟いた。

尋ねるのではなく、あくまでも断定的な言い方に、克哉は苦く笑う。この人らしい。

「何を笑ってるんだ?」

「いえ、別に」

自分もベッドから降り、克哉は床に散乱する自分の服を拾った。

「御堂さん先にシャワーどうぞ」

「いや、君からでいい」

「いえ……」

「……なら」

渋る克哉の手首を、御堂は掴む。克哉の手から服を取り上げると、自分のそれと一緒に手に持った。

「一緒に行くか?」

耳元で囁かれる。

囁かれた瞬間、心臓が高鳴った。御堂と視線を合わせ、克哉はまだ赤く染まる頬のまま、笑う。

「はい」

きっと、二人で迎える朝が、自分にとって一番幸せだ。




fin





他サイトに載せていたミドノマでした。
俺様? な御堂さんが大好きです(´艸`*)



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