ひたり。
――冷たい、と体が認識すると同時に振り返えれば、コカ・コーラの缶を片手に「よー」なんて馴れ馴れしく挨拶してくる眼鏡をかけた男がいた。それを視認すると同時に左腕をそいつの頬あたり目がけて振り下す。あぁ、もちろん手加減はしてる。俺の主観的な加減ではあるが。
「う、ぎっ」
……俺の腕をまともに顔面にくらったそいつは、何とも間抜けな声を上げてよろよろとうずくまった。そいつを無視して、頬から首元まで伝い落ちてきた水滴を袖で拭いながら再び廊下を歩きだす。なんだか水滴からアルミ缶の匂いが体に移ったような気がしてイライラした。
本当は急がなければならない状況だが、早歩きする気も、ましてや走る気なんてさらさら起きない。まぁ面倒になったらさっきの間抜けを言い訳にすればいいし、大丈夫だろ。そんなことを思いながらのんびりと講堂へ向う。
――今日は高校の入学式だ。
入学式と言っても、中学からエスカレーターでそのまま上がってきた身としては、すがすがしい新鮮な気分、胸に膨らむ期待、なんてものには縁がない。可愛い女の子の胸の膨らみになら興味はあるが、所詮そんなものだ。
だから現在入学式が粛々と行われているのを十分理解していたところで、何の焦りもなくのんびり歩いていられるわけ。
といっても、さっき間抜けと遭遇した下駄箱から講堂までの距離はさしてない。すぐに講堂へ繋がる重いドアの前までやって来てしまった。
パチリ、と携帯を開く。入学式が始まって15分経過。まぁ、セーフだろセーフ。ドアにある小窓から覗けば、丁度校長が壇上に上がろうというところだった。今入ればメインには間に合う。皆がご丁寧に校長に頭下げてる間に紛れてしまえばいい。
いいタイミングに来た。いい子だ俺。
自分を誉めて、もう一度小窓を覗く。
皆が椅子から立ち上がるのを確認してドアを開――
「あ、待てよ、りょう!!」
……最悪だ。
Place:私立男子校
◆糸島遼
黒髪/短髪/主人公
社交的/というか中途半端に深く横にも広く/口が悪い/めんどくさがり/ツンデレツン
◆桃山春彦
焦茶/パーマ/腐れ縁
病み気味/可愛いもの好き/一ヶ所集中型/病弱
◆一文字祐希
黒髪/セミロング/腐れ縁
大人しい/ツボが下ネタ/好きなことしか出来ない型
◆柳瀬庄司
焦茶/ボサ髪/腐れ縁
眼鏡/基本中二病/基本KY/プチリッチ
◆米山真琴
黒髪/短髪/友人
秀才/常識的/基本ポジティブ/無意識慕われ型
◇根岸達哉
黒髪/ぱっつん/腐れ縁
根暗ネガティブ/卑屈/トラウマ多用型/ハマるとしばらく止まらない/真琴によくなつく
◇竹ノ内入間
茶髪/短髪/友人
下ネタ好きー/記録好き/良識的//彼氏持ち