未完。
いつからか、彼は私にとって大切な人になっていた。
最初はありふれた、ただの友達だったけど。
彼を知って、憧れて、私にとって大切な人になった。
その頃はまだ、恋愛感情なんて持ち合わせてなくて。
今思うと、あの頃から彼を好きだったんだ…きっと。
「好きな人…?」
『うん、教えてよ!』
苦労して聞いたは良かったものの、無性に悲しくなって。
それでも、笑顔で応援しちゃったりなんかして。
私、何やってんだろう…って。
本当にバカだったなぁって実感する。
何年も経った今になって、あの頃を思い出したのは…さっき見付けた日記のせい。
真直ぐに、素直な言葉を書き綴った日記帳。
決意とか、嬉しかった事とか、悩みや苦しみなんかが、いーっぱい詰まった毎日。
『少しずつ正直に生きようと思います』
当たり前の事なのに、忘れてる言葉が並んでた。
短い間でも、積み上げて来た大切なものが確かにあった。
『会いたいなぁ』
彼は今、どうしてるんだろう。
どこで何をして、何を思ってるのかな。
離れて過ごした時が長いから。
私は何にも解らない。
『うー…』
ぼやきながら柔らかな布団に沈むと、直ぐに眠気に襲われた。
「よぉ」
声に気が付き、振り返ると彼がいた。
『えっ!?あ、久し振り…』
夢だと解っているのに、しどろもどろになって答える。
「…ぷっ」
変わらずに笑う彼を見て、緊張が解けた。
「一緒にまわる?」
その問いの意味を理解出来なかったけど、まわりを見回して気付いた。
ここ、美術館だ。
『うん』
その後は無言で絵画観賞。
沈黙は気まずくはなかった。
ただ、胸が…くるしかった。
…ぼんやりと、まわらない頭を回して。
さっきの夢を、曖昧な記憶を呼び起こす。
『あぁ…』
一緒の時を過ごしたんだっけ。
…もっと、見たかったなぁ。
夢で、居たかった。
『はぁ…』
夢で会った人は、自分に会いたがっているんだって、どこかで聞いた事がある。
でも、そんなものは迷信にすぎない。
何年も会ってない人物に、理由も無く、急に会いたくなるものではないんだし。
『んー…』
夢に見る程好きだったのかと自分で関心。
確かなことは。
今も彼が好きだって事だけ。
continue..
いつか、仕上げたいです(^^;