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「めでたしめでたし」では終わらない。
・・Anime/TV
2007/11/30/Fri 23:05
「しゃばけ」。
原作の小説は、昨年、産経新聞の書評で知って夢中になって読んでから、すっかりファンになっています。
活字版贔屓の身としての意見ですので、実写版がお好きな方には、「ごめんなさい」な感想になってしまいます。
その「しゃばけ」が実写化されると聞いて、ものすごく心配していました。
原作のあるものを実写化させて、成功した例って少ないでしょう?
好きな物語だけに、イメージが崩されてがっかりするのが嫌なので、見るのを躊躇っていたのですが、批評するにも実写版を見なくては語れないですしね。
で。勇気を出して、見てみました。
やっぱり───
色々と残念な箇所があって、もったいなかったなぁ… という印象でした。
原作には原作の良さが。
実写版には実写の良さが。
また実写版にはそれなりのstoryの結末があっても、それは仕方ないかと思います。
でも…
一番納得できないかなぁ… と思うのは、ラストシーンを何故あんな形にしてしまったのかな ということ。
ちょっと安っぽくなってしまって、哀しかったです。
それに墨壷が取り憑いたのは、松之助兄さんではなく───。
「しゃばけ」は、「めでたしめでたし」で終わるようなお話じゃないんですよ。
原作を読んで頂ければおわかりになると思うけれど、松之助兄さんは、あんなふうに心の中が真っ黒な感情に支配されている人ではありません。
優しくて誠実な好青年です。
だって、一太郎さんのお兄さんですもの。
「空のビードロ」を読むと、この夜のことや松之助兄さんのことが全てわかるので、是非、読んで頂きたいと思います。
胸の奥が、しくしくっとしますよ。
「しゃばけシリーズ」と小さく書かれていましたが、実写版もシリーズ化されるのでしょうか。
だとしたら、あんな形のラストシーンにしてしまったら、続かないじゃないですか…。
(T_T)
色々あげればキリが無いのですが、屏風のぞきは一太郎さんの身代わりができる位のイイオトコなのに、ごつ過ぎだし。
カワウソは原作では、小姓姿の美少年なんですよね。
お笑い系を当てはめる必要はなかったと思うんです。
原作のイラストを蔑ろにするような設定は、あまりしてほしくなかったなぁ。
個人的には手越くんでは病弱な一太郎さんのイメージが無かった気がするので、神木龍之介くんが良かったかと。
逆に良いカンジかな?と思ったのは、仁吉さんも佐助さんも原作よりも年齢が上ですが、佐助さん役の高杉さんは「踊る大捜査線」のSATの草壁隊長がハマり役でしたから、何気にぴったりだったかと思いました。
二人の妖し姿のCGも素敵でしたし。
とにかく───。
「しゃばけ」は、仁吉さんや佐助さんがカッコイイとかだけで終わるようなお話じゃないんです。
人の心の機微や感情の揺れ、笑ってしまう話の裏側に隠されている暗闇の部分、そういったモノまで絶妙に描かれている作品です。
そういう部分を感じ取ることができる人がたくさん増えたら、素敵だなぁ… と、切実に思いました。
話題:しゃばけ
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