2013-6-15 01:21
心のなかが、喜びも悲しみもない真っ黒な穴になったときだけふわふわと幻想が浮かんでくる。
よろこびがあれば霞み、悲しみがあれば弾けて消える泡のような。
2013-5-10 00:58
一昨年、沖縄に旅行にいったときの話である。
私が訪れたのは、戦争を主題とした展示。そこには、中に水の入った瓶があった。無論、それだけならどうということはない。問題はその瓶が水筒であり、かつ飲み水としての水が当時のまま残されていたということだ。
その瓶は触れられるように展示されていた。ガラスケースに穴が開いていて、持ち上げることもできた。それに触れたとき、言い様のない居心地の悪さが襲ったことを覚えている。当時は戦争の血にまみれた証拠品を触ったからだと思っていたのだけれど、もしかすると違うのかもしれない。
飲むための水を持ち歩くということは"生きる意思がある"ということだ。鈍い私は水筒に触って初めて感じたのだ。生きる意思がある人々が、命を奪われる状況だったのだと。
2013-5-5 00:52
彼女は、私たちをここにつれてきた。
いつもは静かな水面が、今は雨に打たれて乱れた紋様をつくりだしていた。
連れてこられた理由がわからない、けれど酷い胸騒ぎがした。
彼女は、その色の失せた口を開いた。
あなたたちはとてもお似合いだと思うわ。だからどうか、お幸せに。
白くて長い、ほつれを知らない美しい髪が、雨で濡れていた。
私の方を見て、笑ったその顔が、あまりに、きれいで。
落ちていくその瞬間、手を伸ばすこともできなかった。
2013-1-24 19:18
10代は嘘をついていい年代だと壱花さんは思っている。
嘘というのは相手を騙す嘘ではなくて、誰かが絵空事だと嘲笑う理想のことだ。
現実という凶器を振り回して、全てのお話の芽を摘むのは馬鹿げた話。わたしたちが実際に世界を回す訳じゃあないのだから、出来るか出来ないかの話をするのは大人に任せてしまえばいいのです。
これから世界を回すのだから尚更嘘だけついてりゃいいじゃない、とも。
片方が理想の話をしているのに、もう片方が現実の話をしていると暖簾を殴ってるようで空しいし。
どうせ理想が理想でしかないってことなんて、私だってとっくの昔に知ってるのよーう。
真っ赤な嘘を信じる力をもつのは純真なこどもと若者だけなのよ?理想ばっかりだって、喋ることは大切でしょ。
それはだめあれはだめって大人みたいなこと言わないでよ
2013-1-18 02:16
悲しいことと言えばもう一つ。
目が、悪くなってしまいました。
見えなかった。
あの人まであと2m。
手を振ってくれたのに、顔がわからなくて、悲しかった。
悲しいと思えることだけが嬉しかった。