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I'm in you13




最期が、始まりだなんて、誰がいったの?




I'm in you13



信太郎に、言われた言葉。

それが、私の脳内で、何回、何十回と、繰り返される。



『距離を置こう』

  『俺が離れたいんだ』



意味を完全に、理解するまで、かなりの時間がかかった。

頭の中が、真っ白で・・・ボーっとする。

私と、信太郎は、どうやって、付き合いだしたんだろう? どんな日々を過ごしてきたんだろう?

彼のその言葉は、それらの全てを、帳消しにして、忘れて、無にしろと

そういっているような気がした。

信太郎との、すべて。過去も未来も、すべてウソだったかのように。




どんな道順で、家まで帰ってきたのかは、覚えてない。

方向音痴で、あるはずの私が、真っ直ぐ家に帰れることなんて、奇跡に近いのだから

それは、この混乱のおかげとも言えた。

部屋に入って、扉を閉める。

兄貴のいないこの家は、ひっそりと沈みかえっていて。

涙が、出た。

止まらない。

肺の上まで、液体が競りあがって、息が出来ない。

苦しい。

どうして? 彼と過ごしてきた日々なんて、数える程度しかないし、

あんなにも、イヤな男だったのに。

私は、いつの間にか。

アナタなしじゃ、生きていられないほど。

アナタなしじゃ、呼吸が出来ないほど。

おかしいよ。こんなことなら、



「香奈ちゃん・・・」



だれかが、背をさすっている。

顔を、上げれば、皓がいた。

私以上に、悲しく、顔を歪ませるその人は、私の名前を一つ呼ぶ。



「香奈ちゃん、泣いていいから」



そういって、眉を寄せて、無理に笑う姿に。

私は、何もかも、押さえ切れなくなってしまって・・・。


「あきっ・・・ら」


いつの間にか、私は強く、彼へと抱きついていた。

その腕を、私の後ろへと回し、優しく抱きとめる、皓。

ココに来て、私は始めて

うわぁーっというような、泣き声をあげていた。赤ん坊のように。

笑われてしまうんじゃないかとか、そんなことは考えられなくて。

ただ、皓の腕の中が、暖かかった。



何時間、こうしていただろう。

窓の外が、暗くなっている。

私の、意味のわからない、泣き言に、無言で頷いてくれた、皓。

それだけが、ただ、心地よくて。

彼が居なかったら、たぶん、私はとっくに手首を切って死んでいるな、なんてことを思った。



「私、こんなことなら・・・好きになんて、ならなければ、よか・・・た」



涙が、ようやく乾き始めてきた頃

私は、そう口を開いていた。

目の前にある、皓の肩がピクリと揺れる。



「信太郎を?」



皓の低い声が、耳元で、聞こえる。

私は、小さく頷いた。



「ウソ」

「え?」

「今、香奈ちゃんが傷ついてるから、こんなこと言いたくなかったけどさ」



彼は、私を、その腕からはがして、顔を覗き込む。

泣きはらした顔面が熱い。



「ウソだよ、それ」

「なにが・・・」



皓の顔が、笑顔へと変わる。



「香奈ちゃん、嫌いになんて、なれないだろ? 信太郎のこと。
なかったことになんて、いくら努力したって、無理だろう?」

「そんな・・・こと」

「俺は、出来ないし」



口の端を持ち上げて、まるで、太陽のように微笑む、皓。

似ても似つかない彼の笑顔が、なぜだか、信太郎と重なって・・・。


信太郎と過ごしてきた全てを、

忘れること?

そんなこと、無理に決まってるじゃない。

だって、過去の私も、今、泣いている私も、確実に・・・。



「香奈ちゃんは、これでいい? 信太郎を諦めて、理由も分からないまま、終わらせて良いのか?」



確実に、

ねぇ、信太郎。

アナタのことが、好きだから。

まだ、好きなうちは、足掻きたいじゃない。


私は、大きく首を振る。



「そう、だよ。私、まだ、理由聞いてない・・・よね。
チョップもキックも、入れてないし・・・。泣いてる場合じゃない、よね?」

「そうそう」


皓が、カラカラと笑い声を立てる。



「俺も参戦するから、今度は、アイツの仏頂面なんて、恐がらずに、ボコボコにしてやろうぜ」



そうよ、そう。

何かの間違いなんじゃないか、とか、そんな淡い期待は抱かないから。

ただ、ねぇ、信太郎。

アナタの言葉は、受け止めるから。

私のこと、嫌いになったなら、嫌いになってくれて、構わないから。

教えてほしいよ、

知ってほしいよ。

今度は・・・泣かないで、聞くね。

信太郎は、まだ私のこと、想ってくれてる?




気付けば、外の景色は、白みかけていて。

赤みをさした、太陽が、地面の上から顔を出していた。

私も、皓も想ったら、即行動な人間だ。

泣きはらした顔を、洗って、早速、信太郎の家へと向かう。

私の気が変わらないうちに。

私のヒーローが、隣にいるうちに。

なんて、そんなことを考えながら。




ちょうど、信太郎のマンションの前に、差し掛かった時だった。


「しんたろ・・・?」


なんと、信太郎がそのマンションの玄関から、出てきたのだ。

待って、まだ、心の準備が出来てない!

なんて、考えて、私の歩く速度は、少し落ちる。

皓は、気付いていないみたいだ。

シロとクロの横断歩道を、早足に彼は渡っていく。

待って。そういいかけた、口が閉じられた。


「早苗さん・・・?」


そう、彼の次に、マンションから出てきた人物・・・。

信太郎の元カノ・・・早苗さんだった。

体が、飛び跳ねる。心臓がうるさい。

私の歩幅は、どんどんと距離を短くする。

なんで、早苗さんと、信太郎が?

朝帰りとか?

あぁ、そういうことなの?

信太郎、アナタは、私より、彼女を・・・?

だから、別れようなんて、そんなことを?

涙のこみ上げる、瞳のうえで、青が点滅する。



「香奈ちゃん!」



皓の声が、聞こえた。

それから、見つめ続けていた、早苗さんと、信太郎の姿が一気にぶれる。

腰の辺りに、強い衝撃。

そして、彼の、

信太郎の、驚いた表情。

目を見開いて。



ねぇ、信太郎。ごめんね。

もう、

信じられないよ。



ガンっとも、ゴンっともつかない音が、私の頭の中で広がる。

目の前が、真っ暗になった。





***
久しぶりで、ホンマにごめんなさいーい。
しかも、駄文で、すいませーんぅ!
なんか、自分で読み返したら、おなか痛くなった・・・。
今すぐ、自虐したくなったというそんな自分も嫌いじゃないよ。
いえ、大ッ嫌いです。
すべて、無にして還りたいです。もう一回、書き直したいです。
お墓までもってって、むしゃむしゃ食べたいです。
ようやく、第一章終わりですか。
***

I'm in you12





アナタが居ない世界は、寂しいの?

それさえも、分からなくなるコト。

その方が、恐ろしいの。




I'm in you12




その日、私の紹介をしてくれた信太郎。



「今は、いもう・・・香奈と付き合ってるから」




なんて、さりげなく。

一瞬、きょとんっとした表情の、早苗さんだったけど、自分のことのように、嬉しそうに微笑んでくれた。

その後、早苗さんをホテルまで、送り届けにいってしまった、信太郎。

そこまで。

は、確実に普通だったのだ。

すべてが、順調で。

すべてが、幸せを中心に廻っているかのようで・・・。




日常的に開く、携帯。

そこに、信太郎という、三文字が刻まれることは無い。

信太郎からの、一切の連絡が、途切れて。すでに三日が経っていた。

いままで、どんなにクダラナイことをメールしても、きちんと、冷たいながらに返信してくれた、彼。

それが、ない。

心配になって、電話に切り替えても、繋がらない。

そう、音信不通。

皓に対しても、それは同じなようで・・・。

なぜだろう? イヤな胸騒ぎばかりした。

失踪? 夜逃げ? 誘拐? 事故?

心配事は募るばかり。

ついに、私は決心した。

だって、グズグズしても仕方ない。待ってるだけじゃ、彼は来ない。

だったら、自分から行動するしかないのだ。そして、それこそが最終手段であることを、私は知っていた。

そう、信太郎の家へと向かうことを。



「ごめんね、皓。つき合わせて」



もちろん、一人で、信太郎の家へといけるわけも無く、

私は、皓とその道を歩いていた。

私の暗い表情を察してか、微笑んでくれる、皓。



「いいって。俺だって、信太郎のこと心配だしさ。普通に寝てたりしたら、殴ってやろうっ! 香奈ちゃんも、な?」



そう、そうだったらいい。 私がまた、無駄な心配をしていたんだって、分かればいい。

出逢った、信太郎は、いつもどおりに、「寝てた」だとかそんなことをいってくれたらいい。

そしたら、私より高い信太郎の頭へと、ジャンプして、引っ叩いてやるんだから。

その後、思いっきり抱きついて、わんわん泣いてやるんだから。


信太郎の部屋らしき、マンションの一室。

そのトビラの前に立った、私たち。

震える指で、チャイムを押す。ピンポーンっという、間延びした音が聞こえた後の、しばらくの静寂。

足が震えた。もし、信太郎が出てこなかったら? 私はどうしたらいいの?

信太郎が、居ない生活を、続けなくてはならないの?

そんな想いとはウラハラに、開かれた扉。

目の前には、眠そうに目元をこすって現れた、



「し、信太郎!?」



信太郎、彼がいた。

私の、顔を見るなり、ビクッっと肩を震わせて。

あぁ、きっと驚いてる。

愛しい、愛しい、3日ぶりの彼。

ねぇ、気付いてた? その3日間、ご飯がのどを通らなかった。

ねぇ、知ってた? 私はね、アナタなしじゃ、もう生きていけないんじゃないかと思うの。

可笑しいでしょう。だって、アナタと出会う前の、私は酷く普通に生活を送っていたはずなのにね。

居なきゃ、ダメなの。 離れちゃ、イヤなの。

だから、信太郎。

きっと、言ってくれるんだ。「妹?」って。

そしたら、私は予定通り、彼の頭を叩いて・・・そして、



「なんで、」



予測は大きく外れた。

彼は、その顔に暗い影を、落として、低く、とても低くそうつぶやいた。

来てほしくなかったと、まるで、そんなコトを、言いたげに。

無理に声を、明るく搾り出す。



「し、信太郎こそ、どうしたの? 連絡ぜんぜんないから」

「そうそう、香奈ちゃん、マジで心配してたんだからなっ」

「あぁ」



私、そして皓から、視線を外して、小さく頷く、信太郎。

元気が無い? いや、普段の信太郎だって、そんなに元気があるってほうじゃなかったじゃない。

きっと、眠いだけ。今は、機嫌が悪いだけ・・・。



「キョリ、置こう」

「へ?」



その言葉に、私は耳を疑った。

今度は私の瞳をまっすぐに見つめる、信太郎。

距離? え? なんの?



「俺と距離、置いてほしい」

「別れるってコト? わ、私が、嫉妬ばかりして、ウザイから? 早苗さんと違って、子供だから?
だから、もうイヤになったの?」

「そうじゃない・・・」

「だったら、どうして!?」



涙が、あふれそうだった。

たった一つの。それだけのコトバで。

私に、非があるわけじゃないなら、なんで、なんでなの、信太郎?



「俺が、離れたいんだよ!」



信太郎の珍しい、怒鳴り声は

私の鼓膜、そのまた奥まで、強く響いた。

止まらなかった。たまっていた、しずくが流れ始める。

だってもう、私はアナタなしじゃ、居られないのに。



「もう・・・無理なんだ・・・」



そんなコトバを、ただ寂しげにつぶやいた、彼。

無理? 意味がわからない。



「し、信太郎のバカっ!」




そんな言葉を発して、私の足は、走り出していた。

止まらない、止まらない、なに? なんで?



「香奈ちゃん!」



私を追いかける、皓の声が遠くに、聞こえる。

それと同時に、



「皓、」



皓を、呼び止める小さな声も。けれど、混乱している私の脳は、止まることを知らず。



「皓、・・・香奈のこと、頼む」



小さく、皓にだけ聞こえるようにと、発せられた、信太郎の声は

私に届くことはなかった。










***

短いし、久しぶりすぎる更新。
いや、続きももうちょい書こうと思ったんだけれども
次の話にしときました!
さぁ、暗くなってきましたね・・・。

***

魔王プロローグ。パスあり

ラブ・セラのメモ 〜パスは、三人の誕生月。(名前順)〜

I'm in you11



渦巻く、この感情を、抑えきれない私は、滑稽だと。

貴方がもし、軽蔑したなら

ミライは、少しでも良い方へ

進んでいたのかもしれない。




I'm in you11






「帰ってたんだな・・・早苗さん」


「仕事の関係でね、すぐに戻るけど。それより、久しぶりねぇ!」



そんな気さくな言葉を吐いて、微笑む女性。

真っ赤なルージュに、オシャレなスーツ。

いかにも、出来る女、代表なイメージだ。



「あぁ」



そういって、静かに頷く、信太郎に

私は、少々混乱していて。

こんな美人で、キレイで、仕事が出来そうな人と信太郎が知り合い? 

もしかして・・・。なんて勘ぐってしまうのは、仕方ないと思う。



「信太郎、紹介しないと、香奈ちゃんパニックになってるから」



どうやら、その女性のことは、顔見知り程度に、理解しているらしい皓は、困ったように微笑む。

そうだ、私が変な勘違いをしてしまわないうちに、言ってほしい。




「あぁ。この人、早苗さん。俺の元カノ」




それは、言わなくてもいいだろう・・・。

ため息にも近い、声を発した、皓。

元カノ? あぁ、予測どおりね。って、え、なにそれ・・・。なにそれ!!!






「アタシ、レコード会社に務めてるの」



そういって、微笑む彼女、早苗さん。

信太郎の、元彼女。

大人の女性で、仕事も出来る、というイメージは、どんぴしゃに当たっていて。



「え、早苗さんって、お幾つですか?」 と、聞いてみれば

「同じ女に対して、変なこと聞かないでよねぇ。
少なくとも、アナタたちより、一回りくらいは、年上よ。おばさん、おばさん!」



なんて、人懐っこく、笑う。

友人の皓、信太郎、彼女である私、そして、元カノの早苗さん。

私の部屋は、まったくの異空間となっているのに、この人は、それを感じさせない。




「妹、あんま年について、触れると、早苗さんキレるから、気をつけたほうがいいと思う」

「信太郎も、なにいってくれてんの! アタシはそんなに心狭くありません!」




信太郎と、早苗さん。数十年ぶりという、時間差が嘘のように、笑いあう。

なぜだろう、私の心臓が大きく脈打つのを感じた。

それを、察するように、苦笑いを向けている、皓。

なんだか、彼の表情によって、私自身も悲しくなってしまって・・・。




「仲良しですね・・・」 自虐に近い、そんな言葉を発する。

「そうねぇ。イヤな別れ方じゃなかったからかしら? 私は信太郎が、まだ二十歳になったばかりのときに会ってね。
目指す場所は似ていたし。いつの間にか、付き合ってて。
だから、互いに仕事が忙しくなっても、夢のためだから。で、すぐに決着がついたもの」




互いに、夢を支えあって歩いてきた二人。

たとえ、途切れてしまったとしても、その時代はきっと、輝いていたに違いないだろう。

そんな二人の、再会・・・。嫌な予感がしないわけがない。




「それにしても。可愛いわねぇ。信太郎の妹」

「はい?」



そんなことをいいつつ、此方を向いて微笑む、早苗さん。

カワイイだなんて、ものすごく恐縮なのだけれど。もしかして、私と信太郎が兄弟なんだとか、勘違いを・・・?



「や、違うって。確かに、妹って呼んでるけど、血繋がってるつもりないから」

「あぁ。そういえば、信太郎、昔に一人っ子だとか言ってたものね。ごめんなさいね〜」

「い、いえ!そう見えるのは、事実ですから」



それに、元カノを目の前に、普段どおりに゛妹゛と呼ぶ、信太郎もどうかしているのだと思うし。

キッと、小さく彼を睨みつければ、悪びれる様子もなく、私がくんできた、お茶を飲む、信太郎。




「じゃあ、お友達とか?」

「い、いやっ」




次の早苗さんの質問には、口ごもる。

ここで、信太郎の今カノです! なんて、言ってしまっていいものなのだろうか。

だって、顔、スタイル、仕事に、明るい性格。早苗さんのすべてにおいて、私は負けてしまっているじゃないか。

私なんて、腐女子だし、たまにヘタレ笑顔とか言われるし、変えるつもりはないけれど、腐女子だしで・・・。




「あ、あの! 私、学校の課題があるんで、やってきますね。ここの部屋使ってて、いいですから!」

「香奈ちゃん・・・!?」




そんな言葉を、早口にまくし立て、席を立つ私。引きとめようとする、皓の声は聞こえない。

特に急ぎの課題もないし、ココというのは、私の部屋なのだけれど。

早苗さんと一緒にいられなかった。・・・なんだろう、心臓がキュウっと、締め付けられるみたいに、苦しい。




「終わったら、声かけてください」




ムリやりな笑顔を浮かべて、退散する私。

これじゃあ、まるで逃げてるみたい。






まだ、少しの荷物が残っている、兄貴の部屋。

その床へと座り込んだ。

主に、本棚の中には、参考書やら、漫画やらが残っているだけで

本当に、兄貴は私から離れていってしまったのだと思う。

そして、もしかしたら、信太郎も・・・なんて思ってしまう、私は

究極のダブルパンチをくらい、KO寸前なのだろう。



「もう、いい! この少年漫画で、現実逃避してやるんだから!」



独り言とは、思えない音量で言葉を発し、本棚から一冊を取り出す。

明るい髪の男の子が、表紙のソレ。絶対、この人、受けだ。なんて、腕組をして考える。

そんな彼の髪の毛へと、冷たい何かが流れ落ちた。



「なんで、」



それは、雫となって、カバーを伝う。

自分が泣いているのだと気付いた。

兄貴のお別れのとき、あんなに泣いたばかりなのに。変なの。

なんて、思うけれど、本当のところは分かってる。

私のこのナミダは、早苗さんへの嫉妬心から来るものだ。

そして、私なんか気にも留めてくれない、信太郎への。



「バカ・・・信太郎」

「誰がバカ?」



そんなことを言いながら、私の目の前に立っていた人物。

信太郎、だ。



「い、いつの間に、入ってきてたの・・・?」

「現実逃避がどうのこうの、言ってたあたり。トビラに、背向けてるから、気付かないんだろ。
・・・それより、俺? バカなの」



私の目線まで、顔を下げて、首をかしげる、信太郎。

まただ、涙があふれそうになる。




「香奈だろ? また、誠次のことでも、思い出した?」



そう、バカなのは、私。

だけど、兄貴とは、関係ない。




「それとも、俺?」

「・・・信太郎のせい」




再び、首をかしげて問う、彼の言葉を、今度は、固定した。

涙の冷め切らない、瞳で睨みつければ、信太郎がフッと微笑む。




「な、なんで、笑って!?」

「ヤキモチとか。やっぱ、妹可愛いなぁっと思って」




そんな風に、頭を撫でる、信太郎。

究極のSだと思う。計画犯か?コノヤロ。




「早苗さんとは、数十年前の話だし。今更、寄り戻そうとか、考えてないよ。お互いにさ」

「そ、そんなの分かんないじゃん!」




大声で、怒鳴って見せれば、信太郎は少し考える仕草をして。

また、あの意地悪な笑みを浮かべた。




「早苗さん、ダンナいるらしいし」

「え!?」




そ、そんなの、早く言ってくれればいいのに!

それなら、こんな傍から見れば、クダラナイと切り捨てられるような嫉妬。しなかったのに!




「で? 俺、早苗さんに、香奈は彼女だって、紹介する気、満々なんだけど。しない方がいい?」




また、意地悪な笑みを浮かべて、私に問う信太郎。


自分になんか、ひとかけらも自信はない。

早苗さんに、ビジュアルで勝てるとは思えないし、ましてや、その思い出の量だって違うだろう。

それに、すぐに不安になって、何十回も信太郎に迷惑かける、子供な私。

でもね、




「する!」




意地悪で、冷たくて、でもたまに、優しい信太郎を

好きな量なら、負けないと思うから。なんて思う私は、少女漫画の読みすぎ?

でも、構わないでしょ。自惚れたっていいでしょ。



「手、繋いで行ってやろっか?」



アナタが、微笑む限りは。








****
少女漫画ぁぁぁぁぁあー!
んだ、コレ。寒気するよ、うちのかき方に!!
最近そんなに、読んでるつもりないんだけどな。
そして、トントン拍子な気する・・・。ごめそ。
それにしても、だんだんとSになる信太郎。奇跡だ!
そして、皓がしゃべらないのも、また奇跡!
****





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