二か月ぶりにこんにちわ。原稿期間中アゲハです(`・ω・´)
削らなきゃなあ。
久々にSSもどきなどを。ついったに昨日呟いたのに少し尾ひれをつけて長くしてみました。
あとでサイトにもこっそりあげます。
G.U.時代のハセカイで地底湖。
たぶんこのハセヲさんはそろそろカイトさんにほだされている時期のようなそうでないような。
リアルカイトさん(白)もちらっと。
捏造大丈夫な人はどうぞ!
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例えばこの道。彷徨って着いた先に君がいるとしたら。 僕は元の世界に帰れなくても構わないよ。 君の隣が僕の居場所だから。
二か月ぶりにこんにちわ。原稿期間中アゲハです(`・ω・´)
今日は満月だ。雲一つない空に丸い月が快斗の部屋を照らしている。
大学のレポートを書き終えた彼は大きく伸びをする。開けた窓から入ってくる風が気持ちいい。大事なデータをUSBメモリに保存した後、少しだけThe Worldにログインでもしようか迷いつつメールをチェックしていると意外な人物から新着メールが届いていて、思わず快斗はM2Dを落としかけた。
「ハセヲ…から?」
どうやら呼び出しのメールらしい。
彼らしいそっけなく皮肉の混じった文章の末にエリア名が書かれていた。
時間はまだ間に合うようだ。顔を綻ばせているのに気付かないまま快斗はログイン画面を起動することに決めた。
ハセヲから指定されたエリアに彼はいなかった。不思議に思っていると何でも隠れているから探し出してみろという内容のショートメールが届く。彼にもお茶目な部分があったのだなと驚きつつ、これはこれで面白いかもしれないとも考えた。
幼い頃にしたかくれんぼを思い出す。自分は専ら隠れる方で、なかなか見つけてもらえなかったという少し苦い思い出もあるが。どちらかと言えば探す方が向いてるのかもしれない。
「どこにいったのかな。」
彼が自分を信用はしていなくても、少しでも信じてくれるのなら、探してみたいと思うのだ。
モンスターを一通り退治し、一人獣神殿へと向かう。中には誰もいなかった。宝箱の中のアイテムを手に入れた後、彼が見つからないことに少し心をざわめかせながら獣神殿の裏に回ったカイトはそこに不自然なものを見つけてしまった。
「これは…」
そこにはグリーマ・レーヴ大聖堂の台座に刻まれていたものと同じ傷痕が禍々しく光りを放っていた。
その傷痕からは何かなつかしい気配を感じた…気がする。確かにこんなところにある傷痕に違和感を持たないほうがおかしいのだがそれとは違う…なにか。何気なく手を当ててみるとどこか別のサーバーに転送できるようだ。
(…どこだろう?)
少し恐怖を感じたがそれ以上に希望を抱いた。それはきっと自身が彼女にまた巡り合いたいと思ってしまってるからかもしれない。
(この先にもしかしたらアウラがいるかもしれない。)
あそこにあった傷痕と同じなのだ。もしかしたら何らかの関係があるのかもしれない。巷で騒がれているトライエッジと関係があるならそこにはアウラに繋がる何らかの手がかりもあるのではないかとカイトはわずかな期待を抱いている。
彼女に会って何がしたいのかわからないけれど。でも彼女に会えばこのもやもやが晴れるような気がした。
ちらっとかすめたのは黒い錬装士。何故だかこの場に一緒に居たらいいのにをカイトは思った。実際彼がいたらAIにそんなこと言うなんて馬鹿じゃないかなんて鼻で笑われるかもしれないが。だがきっと自分は、彼女に伝えられる気がした。
『君のことを殺してごめんなさい』
助けられなくて…ごめんね
(君と僕は似ている。)
僕らはまるで許しを請いに彷徨う子供のようだ。
転送された先の光景に思わず感嘆をつく。
たどり着いたそこは地底湖だった。こっそりと隠された洞窟。湖の中央には純白に輝く美しい大樹が根を下ろしている。
Δ隠されし 禁断の 冥界樹
公式設定では死者の国への入口らしい。
湖を覗いてみる。とても深い。水は透き通っていて何故だか引き込まれそうだ。
(この底に彼女が眠っていたりしないかな。)
それはないか…とも思う。
真白き大樹『フラドグド』は現世に攻め込もう
とする死者の王『ケルヌンノス』を封じる為の
封印の役割を担うそうだ。
彼女の居場所は此処ではないと感じた。雰囲気はグリーマ・レーヴ大聖堂に近いものを感じるが、仮に彼女がこの世界に縛られているのならあそこだ。しかしすでに鎖は断ち切られて解放されている。自由になった彼女はこの世界のどこかできっと見守っていてくれるのだと誰かが言っていた。きっと死者の国では眠らない気がする。
(死者の国…か)
本当にこの下にそれがあるのならば。このPCごと右手の力を持って行ってはくれないだろうか。などとふと柄にもないことを考えてしまった。
「……」
ゆっくりと右手を近づけてみる。水面に差し入れた瞬間、黒い手が視界を遮った。
「……やっぱ映んねぇか。」
耳元で聞き覚えのある声がした。背後から行かせまいとするように、カイトはハセヲに抱きしめられていた。
「ハセヲ…」
「あんたが見つけられてどーすんだよ。」
からかいの混じりに彼は言う。表情は見えない。少し声が震えていた気がした。右手は救い出されしっかりと握られている。
「映んないって…何が?」
「あんたのリアルの顔。」
『リアルで満月が出ている時、地底湖に自分のPCの顔を映すと、なぜかプレイヤーである自分自身の顔がうつる。』
噂は噂でしかねえんだな。
少し落胆したような声が響く。
リアルで快斗は思わず空いている手で胸を抑えた。心臓の鼓動がこころなしか早い気がする。もしかしたらハセヲはそんなに自分の嫌っていないのではないかと僅かに希望を抱いてしまう。
「ハセヲは、映ってるの?」
「……」
彼は答えない。
「映ってるのなら君に、会いに行きたいな。」
ハセヲと会って話をしてみたいと思う。本人は嫌がるかもしれないが。しかしかつて自分は同じ境遇にあったからこそ何か助けになることができるのではないかと。カイトは塞がれた視界を見つめながら呟いた。
「あ、でも僕の顔が写ってないとハセヲは僕がわからないよね。」
困ったな。一人悩んでいると盛大にため息をつかれた。
「残念だったな。映ってねえよ。」
再度映った水面にはそっぽ向き少し不機嫌そうなハセヲが隣にいた。
右手は未だ繋がれたままだ。
「カイト」
彼はそっぽ向いたまま。小さな声で、しかしはっきりと呟いた。
「映ってはなかったけど。……考えとく。」
「…うん。」
その言葉だけでも十分嬉しかった。
せっかくだからもう一エリア回ろうという話になった。どちらともなく立ち上がる。
ハセヲはメニュー画面をチェックし始めた。
もう一度、カイトは水面を見つめる。
水面が波紋で揺れた。
「……!」
背を向けていた水面のハセヲが振り返る。
ハセヲと色違いのその姿はカイトを見つめるとまるで獣のように黒い瞳を光らせてニヤッと笑って消えた。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 3月17日 |